帽子から飛び出した死

同じような作風なのにディクスン・カーに比べると、
小説の出来がアレ？、な感じがします。
ミスディレクションがどれだか分からないくらいに
素材が盛り沢山というのは、奇術師ならいざ知らず、
小説家としてはちょっと素人ぽいのではないでしょうか。
トリックは素晴らしいのにもかかわらず。
これと対になるのはディクスンの「爬虫類館の殺人」ですね。

惜しい、というか。
「天井の足跡」「棺のない死体」も
これに輪をかけたような状況であるのは言うまでもありません。

クレイトン・ロースン著　ハヤカワミステリ文庫