(2024年04月19日[金])
(3月に) 先日も地震があったばかり…「日本一細長い佐田岬半島の付け根に位置する伊方原発は、周辺住民にとって、“日本一避難しにくい原発”」だというのに。《大島堅一教授…は「原発が立地するのは半島やへき地が多い。政府が指針で立地周辺が低人口地帯であることを求めたからだ。エネルギー政策で、インフラが不十分で逃げにくい場所を選び、差別的にリスクを押し付けてきた」と原子力政策の構造的な問題を指摘》。
東京電力、原子力「推進」委員会…最早、狂気を感じてしまう。3.11東京電力核発電所人災から13年、《原状回復》に何の責任も果たさない東京電力にアノ柏崎刈羽核発電所を再稼働する資格など全くないというのに…。案の定、《トラブル相次ぐ》…。志賀原発、女川原発、柏崎刈羽、そして伊方原発…稼働させたいという核発電「麻薬」中毒者に好き勝手やらせていると、日本中が迷惑し、世界にも事故の影響が及ぶ恐れ。
『●能登半島地震と珠洲核発電所建設計画凍結と断層の上に建つ志賀核発電所
…それでも再稼働・新規建設したいという核発電〝麻薬〟中毒患者ら』
『●小出裕章さん《今回一番学ばなければいけないことは、志賀原発が止まっ
ていてよかったということ。…原発が1年間稼働すれば、広島原爆が…》』
「能登半島地震の「警告」を無視し続ける気らしい、キシダメ首相
らは。正気だろうか。この間も、愛媛県で地震があり、震源は
アノ伊方原発の極近傍。10kmほどの位置だったそうだ。
さらに、千葉県沖でも、地震が続いているようだ。」
『●《原子力規制委員長「慎重にやっていただきたい」》《花角英世知事、核燃
料セットは「検査の一つの過程」》…委員長も県知事も何を言っているの?』
「先日も地震があったばかり…「日本一細長い佐田岬半島の付け根に
位置する伊方原発は、周辺住民にとって、
“日本一避難しにくい原発”」だというのに、昨夜、またしても
豊後水道を震源として大きな地震発生。即座に
《伊方原発「異常なし」》だそうだ…。」
曽田晋太郎・山田祐一郎両記者による、東京新聞の記事【こちら特報部/半島の原発を大地震が直撃したら… 四国の震度6弱で避難リスク再燃 「逃げ場がなくなる」能登と同じ構図】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/322130)。《四国で初めて震度6弱を記録した17日深夜の地震。愛媛県の四国電力伊方原発は運転を続けているが、発電機の出力が2%低下した。典型的な半島部の原発で、能登半島地震で浮上した避難リスクが再燃。想定震源域に入る南海トラフ巨大地震以外にも、多くの地震の危険を抱える。大地震が直撃したら、本当に逃げられるのか。地元住民や周辺の関係者はどう受け止めているのか。(曽田晋太郎、山田祐一郎)》
『●「日本一細長い佐田岬半島の付け根に位置する伊方原発は、
周辺住民にとって、“日本一避難しにくい原発”」』
『●森一岳裁判長《原発の危険性検証には『福島原発事故のような
事故を絶対に起こさないという理念にのっとった解釈が必要…』》』
『●伊方原発3号機、広島高裁(森一岳裁判長)が運転差し止めの
仮処分決定…種々の問題に加えて《約10秒》《2~3秒》全電源喪失』
『●森一岳裁判長が下した伊方原発3号機の運転差し止め仮処分決定は
正鵠を得ていた…全電源喪失後《43分間》核燃料プール冷却停止』
『●大阪地裁《関西電力3原発の運転差し止め認めず》、水戸地裁《東海
第二原発の運転禁じる》、広島高裁《伊方原発3号機の運転容認》』
『●「「過ちは繰り返しません」。広島の、福島の
嘆きが胸に突き刺さ」らないとは…吉岡茂之裁判長』
『●古賀茂明さん《国民の前で、ちゃんと議論すれば、止めろと言わずに
止めるのは簡単だ》…裁判で勝つために ――― 樋口英明理論の浸透を』
《日本では2000年以降、千ガル以上の地震が18回(ガルは揺れの
強さを表す単位)、七百ガル以上は31回起きていることを示す。
そのうえで、「民間の耐震住宅並みの強度は達成できていますよね」
と質問すると、社長たちは、答えに窮する。なぜなら、住友林業、
三井ホームの耐震性は、3400ガル、5100ガルだが、伊方原発は
650ガル、高浜原発は700ガルと日本の原発の耐震性は非常に低い
からだ。
国民の多くは、原発は民間住宅の何倍も頑丈に作られている
と信じている。…三つ目に、避難計画の万全性を担保する
ために原子力規制委員会の審査を受けろと要求する。実際には
審査されていないからだ。国民は「えっ?避難計画は規制委の
審査を受けたんじゃないの?」と驚き、審査してもらえとなる。
だが、専門家が審査したら、絶対に今の避難計画では通らない》
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【https://www.tokyo-np.co.jp/article/322130】
こちら特報部
半島の原発を大地震が直撃したら… 四国の震度6弱で避難リスク再燃 「逃げ場がなくなる」能登と同じ構図
2024年4月19日 12時00分
四国で初めて震度6弱を記録した17日深夜の地震。愛媛県の四国電力伊方原発は運転を続けているが、発電機の出力が2%低下した。典型的な半島部の原発で、能登半島地震で浮上した避難リスクが再燃。想定震源域に入る南海トラフ巨大地震以外にも、多くの地震の危険を抱える。大地震が直撃したら、本当に逃げられるのか。地元住民や周辺の関係者はどう受け止めているのか。(曽田晋太郎、山田祐一郎)
四国電力伊方原発 愛媛県伊方町にあり、九州方面に伸びた佐田岬半島の瀬戸内海側に立地する。いずれも加圧水型軽水炉で、1号機は1977年、2号機は82年、3号機は94年に営業運転を始めた。現在、1、2号機は廃炉作業中。3号機(出力89万キロワット)は2019年12月から定期検査で運転を停止していたが、21年12月に再稼働した。
(敷地内に施設が密集する伊方原発。
左から1、2、3号機=2020年3月)
◆「ずごい揺れ、原発は大丈夫か」
「すごい横揺れで、今までの地震で一番怖かった。同時に原発は大丈夫だろうかと不安になった」
伊方原発の東約10キロの愛媛県八幡浜市に暮らす「伊方から原発をなくす会」代表の近藤亨子さん(69)が地震発生時を振り返る。同市の震度は5弱。自宅の団地のエレベーターは止まり、2014年に同県西予市で震度5強を記録した地震よりも大きな揺れを感じたという。
1月の能登半島地震で浮き彫りになった半島部の原発避難リスク。佐田岬半島にある伊方原発では、避難計画が必要な30キロ圏に約11万人が居住。県などの自治体は事故の際、陸路のほか、港から船で大分県などへの避難も想定する。
◆「一斉に逃げようとすれば大渋滞に」
だが、近藤さんは「この周りは山あいの地域。西日本豪雨の時も土砂崩れが起きて道路が通行止めになった。もっと大きい地震が来れば道路が寸断されて逃げ場がなくなる」と不安を口にする。原発事故を想定した避難訓練では、強風の影響でヘリコプターの着陸や船の着岸ができないこともあったという。「津波が来ることを考えれば、船での避難は現実的ではない。道路も少ないので皆が一斉に逃げようとすれば大渋滞が起きて混乱する」
八幡浜市で原発から約6キロの瀬戸内海に面する集落で漁業を営む鎌田建一郎さん(76)も「近くに避難する道は1本しかない。土砂崩れで道路がふさがり、津波で海が荒れたら船で逃げることもできない。避難計画通りにうまくいくとは思わない」と語る。
今回、原発がある伊方町は震度4。四国電力は18日、伊方原発3号機でタービンに送る蒸気の水分を除去する加熱器タンクの弁が不調となり、熱効率が下がって発電機の出力が約2%低下したと発表した。「安全性に問題はない」として、運転は継続している。
(四国電力伊方原発3号機が再稼働されたことを受け、
反対の声を上げる人たち=2016年8月、東京・永田町で)
◆「危険な原発は止めてほしい」
それでも鎌田さんは「震度4でも影響が出るなら、震度7の地震が起きたらどうなるのか。津波も来れば、考えられない被害が起こるはず」と不安を吐露。「海を糧にする人間として、原発事故で福島のように故郷に帰れなくなったらどうすればいいのか。危険な原発は止めてほしいし、早くなくすべきだ」と訴える。
伊方原発運転差し止め訴訟の弁護団長を務める薦田(こもだ)伸夫弁護士は、細長い半島に集落が点在し、避難する幹線道路も1本しかない現地の状況から「伊方の場合、能登以上に孤立集落が発生する」と指摘。「集落は過疎地域で(避難時に支援が必要な)高齢者がほとんど。避難計画に実効性はない。地震と原発事故が起きたら大惨事になることは歴然としており、伊方は本来原発を建ててはいけないところに立地している」と強調する。
◆江戸時代末期に2度の巨大地震
歴史的に見れば、この地域では巨大地震が起きている。江戸時代末期の1854年にマグニチュード(M)8.4の安政南海地震が発生。2日後には、今回の震源に近い佐田岬半島でM7.4の地震が発生した。
リスクは南海トラフ巨大地震以外も。原発の北側には、東日本から九州まで続く断層帯「中央構造線」が走る。地元だけでなく、大分や広島、山口でも原発訴訟が相次いできた。
「昨夜は相当揺れて、テレビを見たら震源が伊方原発近くということで恐ろしさを感じた」と話すのは、大分県杵築市のシイタケ農家で、大分での運転差し止め訴訟の原告団共同代表を務める中山田さつきさん(69)。2011年の福島原発事故の際、大分県産のシイタケの価格が下落した。「伊方で事故が起きれば、風評被害どころではなく大打撃を受け、生活できなくなる」と懸念する。
(北陸電力の志賀原発=
2024年1月(本社ヘリ「まなづる」から))
◆「立地は不適」と判断した高裁判決
訴訟で地震や火山に対する四電のリスク評価が不十分と訴えたが、大分地裁は今年3月の判決で「具体的な危険はない」と退けた。今回の地震を受け「佐田岬半島の住民がフェリーで大分に避難する計画があるが、絶対に無理だ」と話す。
17年には、広島高裁が伊方原発から130キロ離れた阿蘇カルデラについて四国電力の想定は過少だとして、3号機の運転差し止めを決定。火山の活動可能性が「十分に小さいと判断できない」と指摘し、過去の噴火で火砕流が原発敷地まで到達した可能性が小さいと言えず「立地は不適」としたが、四国電力の異議申し立てで18年に覆った。
20年にも同高裁が断層調査が不十分として差し止めを決定したが、異議を受けて取り消しに。現在、広島地裁で原爆被爆者約20人を含む350人が運転差し止めを求める訴訟が続く。
◆南海トラフ巨大地震の想定震源域内
原告団事務局の哲野イサクさん(75)は、今回の震源が南海トラフ巨大地震の想定震源域内で起きたことを懸念する。「能登半島地震でも想定外の活断層の連動があった。地震はいつどこで起きるか分からないのに、原子力事業者は、分からないことを『ないこと』にしている」。広島は伊方原発から約100キロ離れているが、「事故が起きれば内部被ばくの恐れは変わらない。被爆地の広島を再び、被ばくさせてはならない」と訴える。
(大規模な土砂崩れの影響で、孤立した石川県珠洲市
仁江町の集落㊦=2024年1月、本社ヘリ「わかづる」から)
山口県上関町では、中国電力上関原発の建設に住民が反発、計画が中断している。「上関原発を建てさせない祝島島民の会」代表の清水敏保さん(69)は「海がしけたら離島からはどうやって避難するのか。もし上関原発ができるようなことがあれば、ますます逃げ場がなくなる」とこぼす。
◆へき地にリスクを押し付け
改めて問題視される半島からの避難。龍谷大の大島堅一教授(環境経済学)は「原発が立地するのは半島やへき地が多い。政府が指針で立地周辺が低人口地帯であることを求めたからだ。エネルギー政策で、インフラが不十分で逃げにくい場所を選び、差別的にリスクを押し付けてきた」と原子力政策の構造的な問題を指摘し、こう強調する。
「能登半島地震の実態を見ると、避難計画は『絵に描いた餅』でしかない。他も同様で、伊方も現状では安全とは言えない。人口減少が進む中でますます安全な避難は難しくなっている。一度、原発を止め、実効性ある避難ができるのか検証しなければならない」
◆デスクメモ
東日本大震災では、まず内陸の主要道を復旧させ、そこから海岸に向かう道を通す「くしの歯作戦」が奏功したという。それでも福島原発事故によって転々と避難を重ねる人たちが続出し、多数の関連死を招いた。大地震と原発災害に同時に対処する余力が、弱ったこの国にあるのか。(本)
【関連記事】「今の石川県で原発災害が起きたら避難できない」 それでも災害指針を見直さない、楽観論の背景にあるもの
【関連記事】地震で孤立した集落は原発から避難できない 弁護士ら、全国の原発停止と避難計画の見直しを求める意見書
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[※ 「3.11から12年 「脱原発の約束はどこに」」(週刊金曜日 1415号、2023年03月10日) ↑] (2023年10月08日[日])
蛇足だけれど、《「一時的」欠落》…「経済的実害」をさらに煽る結果に。
『●「廃炉終了の定義」も無く、0.1歩の前進もない…汚染水という名の《処理
水の海洋放出が政府や東電が言う「大きなステップ」となる》はずもない』
『●まさに汚染水、海洋投棄してはいけない…トリチウム以外にも
《炭素14…コバルト60…ヨウ素129…セシウム137》が含まれる汚染水』
『●【こちら特報部/応じないと非国民? 岸田政権が旗を振る「国民運動」に
違和感 国産水産物の風評被害を招いたのはそもそも】汚染水の海洋投棄』
日刊スポーツのコラム【政界地獄耳/水産物輸入禁止の表現「一時的」欠落に見る日中外交ゲームの失敗】(https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202309090000066.html)によると、《政治キャンペーンや経済制裁なのはわかっているが、日本政府はこの発表を意図的に改ざんした。中国税関は「一時的に」という一言をつけて発表したが、なぜかそこが抜け落ちていて、反中感情をあおった節がある。別の政界関係者は「自公の親中派も寄せ付けないので、年内は軟化の兆しはない」。両国にとって政治・外交ゲームの失敗とみるべきだろう》。
『●《脱原発へ政策のかじを切り、際限のない健康被害の脅威に歯止めを
かける。それが最終処分場問題の解決に向けた国民議論の最低条件》』
《高レベル放射性廃棄物の最終処分場選定に手を挙げそうな北海道
寿都町。町内に不安が広がり、道や隣接自治体との亀裂も深まって
いる。巨額の交付金で誘致を促す手法。このままでいいのだろうか》
《原発から出る核のごみを最終的にどこで処分するのか。国民に
突き付けられた課題であることは間違いない。とはいえ町の判断は
地域の行く末を委ねる手段としては余りに安易ではないか》。
『●空虚な《地域振興》…《核のごみ問題で過疎の町に「最大20億円」
財源の魅力 識者「札束で頬を叩くのはやめるべき」》(野村昌二氏)』
『●【NNNドキュメント‛20/核のごみは問いかける 「尊重」の先には…】
…空虚な《地域振興》なことは立候補しなくたって《学》べます』
『●《(文献調査後の)概要調査前に住民投票で意見を聴いて判断させて
いただきたい》…足抜けできるのか? NUMOにからめとられて…』
『●《原発を動かせばごみが出る…なすべきことは明白。原発を止め、ごみ
増を防ぎ…しかし国は稼働ありき。ごみが増えるほど後始末に困るのに》』
『●マンションからたれ流しにしておいて、トイレをどうするのかとか、放
先どこにするのかなんてナンセンス…しかも、《被爆地の長崎》で…』
「「防人の島」の《町民の皆さんがその道を選んだ》のですか?
足抜けできるのか? NUMOにからめとられて、泥沼に足を
突っ込み、抜け出られなくなるのではないか。しかも、被爆地の
ナガサキで。《改めて誘致が浮上した背景には「深刻化する人口減少、
最近までの日韓関係の悪化、観光需要の落ち込み」があるという》
…意味が分からない? そんな理由で死の灰を受け入れるの?」
『●はぁ? 東京新聞【「原発マネー」で生まれた奇策 使用済み核燃料の
中間貯蔵施設を上関町に 中国電力と関西電力で苦肉の共同開発案】』
『●山口県上関町…《さんざん町民を分断してきた挙げ句に郷土を核のゴミ
捨て場…正真正銘の原発の墓場にするという動きに反発が高まっている》』
『●《「まるで反社以下の関電」…今も経済産業省と岸田政権に守られてぬく
ぬくと生き延びている》《関電と経産省、岸田総理は「亡国トリオ」》』
『●長崎県対馬市長、《文献調査…「市民の合意形成が不十分だ」…処分場に
ついて「将来的な想定外の要因による危険性が排除できない」とも語った》』
さて、「閉じない環」、破綻した核燃サイクル。中間貯蔵施設は最終処分場と化す。なぜ関電の核のごみを山口県上関町に廃棄するのか、意味不明だ。使用済み核燃料プールの現状を理解できているのか? どこを最終処分場にするかの議論の前にやることがあるでしょうに? 《核のごみ問題を解決すらせず、国が「原発回帰」を進めるのは無責任というしかない。少なくとも最終処分のめどが立つまで、原発を動かして、ごみを増やすべきではない。貯蔵プールがあふれるのを防ぐには、それしかない》(東京新聞)。それに、福島の原状回復さえできないではないか。無責任過ぎ。(こちら特報部)《◆デスクメモ タンクがもう満杯でどうしようもない、だから薄めて海に捨てさせてくれという話。使用済み核燃料プールがもう満杯で燃料入れ替えができないと原発が停止、だからちょっと置かせてくれという話。どちらも同じ、ごみ捨て場がないのに開き直って、弱い地方に押しつけている話だ》。
東京新聞の【<社説>中間貯蔵施設 その場しのぎに過ぎぬ】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/271723?rct=editorial)。《中国電力と関西電力が共同開発を目指す使用済み核燃料の中間貯蔵施設を巡り、山口県上関町が建設に向けた調査を受け入れた。推進派と反対派。町を二分する争いの中で浮き彫りにされるのは、核のごみの後始末を深く考えず「原発の最大限活用」にひた走る「国策」の危うさだ。中間貯蔵施設とは、使用済み核燃料のリサイクルが可能になるまでの間、核のごみを一時保管する施設のことである。その後の搬出先として青森県六ケ所村に建設中の再処理工場すなわち、使用済み燃料からプルトニウムを取り出して再び燃料にするリサイクル工場は一九九三年の着工以来、完成延期を二十六回繰り返し、操業開始はおぼつかない。リサイクル燃料を消費する高速増殖炉計画もトラブル続きで中止になった。最終処分場の建設予定地も決まっておらず、一時保管された核のごみに行き場はない》。
関西電力はどこまで傲慢なのかね? 醜悪な「原発マネー」のアノ関電としては《福井県外に保管場所の候補地を確定させ、30年ごろに2000トン規模で操業》だそうです。
西田直晃記者による、同紙の記事【こちら特報部/「なぜ、他の地域の核のごみをこの島に」 中間貯蔵施設の調査容認で揺れる上関町民が語る歴史的背景】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/271894?rct=tokuhou)。《粘り強い反対運動で原発建設を防ぎ続けたのに、今度は遠く離れた関西からの「核のごみ」受け入れ―。山口県上関町が大きく揺れている。同町長が、使用済み核燃料の中間貯蔵施設建設に事実上のゴーサインを出したからだ。中間貯蔵と言いつつ、本来その先にあるはずの再処理、核燃料サイクルの夢物語はとっくに破綻しており、「中間」が「半永久」になる恐れも十分ある。原発推進の国策に翻弄され続ける町を訪ねた。(西田直晃)》
さらに、同記者による記事【こちら特報部/核燃料の中間貯蔵施設計画に揺れる山口・祝島 自然との共生求めてきた移住者の思いは】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/276345?rct=tokuhou)。《瀬戸内海に浮かぶ祝島(山口県上関町)。船着き場近くに一軒の喫茶店がある。マスターの堀田圭介さん(57)は11年前の春、自然と共生する暮らしに憧れて妻子と移り住んだ。この夏、町に原発の使用済み核燃料の中間貯蔵施設を建設する計画が浮上し、40年近く原発に反対してきた島は揺れた。「分断の構図を作り出し、物事を先に進める手法だ」。島民と心を寄せた歳月の重みが憤りを生む。(西田直晃)》
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【https://www.tokyo-np.co.jp/article/271723?rct=editorial】
<社説>中間貯蔵施設 その場しのぎに過ぎぬ
2023年8月22日 06時56分
中国電力と関西電力が共同開発を目指す使用済み核燃料の中間貯蔵施設を巡り、山口県上関町が建設に向けた調査を受け入れた。推進派と反対派。町を二分する争いの中で浮き彫りにされるのは、核のごみの後始末を深く考えず「原発の最大限活用」にひた走る「国策」の危うさだ。
中間貯蔵施設とは、使用済み核燃料のリサイクルが可能になるまでの間、核のごみを一時保管する施設のことである。
その後の搬出先として青森県六ケ所村に建設中の再処理工場すなわち、使用済み燃料からプルトニウムを取り出して再び燃料にするリサイクル工場は一九九三年の着工以来、完成延期を二十六回繰り返し、操業開始はおぼつかない。リサイクル燃料を消費する高速増殖炉計画もトラブル続きで中止になった。最終処分場の建設予定地も決まっておらず、一時保管された核のごみに行き場はない。
「国策」に従って原発を動かせば動かすほど、危険な核のごみがたまり続けるというのが現実だ。
使用済み核燃料は今、各原発内のプールで冷却保存されている。
原発依存度の高い関電は、容量の八割以上が埋まっており、あと数年であふれ出すという状態だ。
来月には「日本最古」の高浜原発1号機など現有七基がフル稼働する予定だが、その分、核のごみの排出も加速するばかりで、立地する福井県からは県外搬出を強く迫られている。中国電との共同事業は「渡りに船」である。
調査の受け入れに伴って、国からは多額の交付金が出る。財政難に悩む過疎地に原発施設を押しつけて地域を分断させてきた、「国策」の在り方は相変わらずだ。
上関町には中国電の原発誘致を巡り、推進派と反対派が四十年以上にわたり、争ってきた歴史がある。受け入れたのは「調査」であり、このまますんなり施設の建設が進むとは限らない。「原発のごみ」にはこれまで以上に強い反発も出よう。よしんば建設に進むとしても、あくまでも「その先」が見えない中間貯蔵であり、搬入量にも保管期間にも限度がある。
核のごみ問題を解決すらせず、国が「原発回帰」を進めるのは無責任というしかない。少なくとも最終処分のめどが立つまで、原発を動かして、ごみを増やすべきではない。貯蔵プールがあふれるのを防ぐには、それしかない。
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【https://www.tokyo-np.co.jp/article/271894?rct=tokuhou】
こちら特報部
「なぜ、他の地域の核のごみをこの島に」 中間貯蔵施設の調査容認で揺れる上関町民が語る歴史的背景
2023年8月23日 12時00分
粘り強い反対運動で原発建設を防ぎ続けたのに、今度は遠く離れた関西からの「核のごみ」受け入れ―。山口県上関(かみのせき)町が大きく揺れている。同町長が、使用済み核燃料の中間貯蔵施設建設に事実上のゴーサインを出したからだ。中間貯蔵と言いつつ、本来その先にあるはずの再処理、核燃料サイクルの夢物語はとっくに破綻しており、「中間」が「半永久」になる恐れも十分ある。原発推進の国策に翻弄され続ける町を訪ねた。(西田直晃)
◆原発反対デモが1300回以上続いた
「また来たか、という気持ちじゃ」
21日、瀬戸内海に浮かぶ上関町祝島。漁港近くで旅館を営む田尾久子さん(82)は静かに語った。
(2005年6月、「きれいな海を守ろう、エイエイオー」
と声を出しながら、デモをする人々。長年に渡り原発反対の
声は続いてきた=山口県上関町祝島で)
島民の7割超が高齢者で、新型コロナ禍以降は中止しているが、中国電力による原発計画が浮上した1982年から島内で1300回以上続いた「月曜デモ」の列に加わってきた。「だから(原発は)できていないっていうことですよ」と胸を張る。現時点で再開するかどうかは未定だが、「右足が痛いけど、また始まれば行きますよ」と続けた。
原発予定地は島のちょうど対岸。漁港近くには、原子力関連施設を活用した町づくりは「イメージダウンにつながる」と警鐘を鳴らすポスターが貼られ、「ふるさとを守りましょう!」と殴り書きされた画用紙が添えられていた。
◆「なんで、そんなに急ぐんか」
東京電力福島第1原発事故後、上関原発の計画が停滞する中、代替の地域振興策を望んでいた町に対し、中国電は今月初旬、使用済み核燃料を数十年間貯蔵する「中間貯蔵施設」を、関西電力と共同建設するための調査を申し入れてきた。福島原発事故後も続々と再稼働をさせてきた関電は、立地県の福井県から使用済み核燃料の県外搬出を求められ、窮地に立っている。
18日、臨時議会の場で、西哲夫町長が建設に向けた調査容認を表明した。中間貯蔵施設の建設に向けた調査に議決は必要ないが、10人の町議が意見を表明する機会があり、3人が反対を表明。当日は庁舎入りする西町長の車を反対派が取り囲み、30分ほど動けなくなる事態に発展した。
「上関原発を建てさせない祝島島民の会」代表の清水敏保さん(67)は「なんで、そんなに急ぐんか」と語気を強める。「なぜ、他の地域の核のごみをこの島に運んでしまうのか。関電の原発の再稼働を念頭に置いた出来レースじゃないか」。26日に急きょ、中間貯蔵施設に関する学習会を開くという。
◆「レッテル貼り」に懸念も
22日朝、町中心部で学習会のチラシのポスティングをしていた大谷利夫さん(72)は「動揺している人が多いためか、頑張れよと励ましてくれる人も多い。原発ほど金が入らんから、というのもあるかもしれない」と語った。
祝島は、上関町中心部と1日3往復の定期便で結ばれている。だが、町民同士の行き来は少ない。観光地としての知名度もそれほど高くないため、分断や風評被害を懸念する声は多い。
祝島で育った町議の山戸孝さん(46)は「原子力施設に依存した経済振興は継続性がない。自然を生かした町づくりが必要だ」と表明しているものの、「過激な抗議活動がテレビで報じられると、『政治的な島』だとレッテルを貼られてしまうかも」と揺れる胸の内を明かす。反対運動の中核を担ったかつての青年層は60〜70代になった。
もともと、中間貯蔵施設の話が持ち上がったのは、前任の柏原重海町長時代の2019年だった。複数の町政関係者によると、前町長は施設による分断を懸念し、「議員の全員一致でなければ公にしない」と非公式に約束していたという。
◆町長は取材に「決めるのが首長の仕事」
(中間貯蔵施設の受け入れに反対するポスターを示す
島民の会の清水会長=21日、山口県上関町祝島で)
前出の清水さんは「話はそこで終わっていたと思っていた」と顔をしかめる。町議会では、昨年から非公開の全員協議会が5回開催されていたが、水面下での動きが町民に伝わることはなかった。だが、昨年10月に前任町長は病気を理由に辞職し、現在の西町長が初当選した。
原発の代わりに核のごみ。今月になって急転直下した話に、多くの町民が戸惑いを感じている。原発計画自体には賛成してきた漁師歴45年の小浜鉄也さん(64)は「いきなり中間貯蔵施設と言われても、何じゃそれはという話だ」とし、「知り合いの町議でさえそんなことは口にしなかった。視察や意見交換を続けてきたなら、中国電ではなく、町として主体性を持って発表するのが筋だった」と語る。
22日、「こちら特報部」の取材に応じた西町長は、受け入れの検討を表明した理由を「過疎化などで、今のままではこの町が5年、10年先には存続できない。拙速だという気持ちは分かるが、長引かせるほど、分断は深まっていく」と説明した。
「10のうち10が賛成することはない。決めるのが首長の仕事だ」と強調。「あくまで検討で建設ではない。上関のことは上関の町民で決める。建設を決める際には議会で採決することになる」と話した。今後、予定される町主催の説明会では出席者を町民に限定する意向も示した。
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◆「中間」は「最終」にならないのか…他地域での懸念は
「中間貯蔵施設」は、原発から発生する使用済み核燃料を再処理工場に運び込むまでに一時的に置いておく施設で、既に青森県むつ市で建設が進み、原子力規制委員会による認可審査が最終段階を迎えている。計画では、貯蔵期間は最長50年で、事業開始後、40年目までに使用済み燃料の発生元の東京電力や日本原子力発電(原電)と搬出について協議することになっている。(山田祐一郎)
「これまで下北半島は国の原子力政策に翻弄され続けてきた。核燃料サイクルの先が見通せないことが住民の一番の不安だ。中間貯蔵と言いながら、実質的には永久貯蔵の場になるのでは」。こう懸念を口にするのは、市民団体「核の中間貯蔵施設はいらない!下北の会」の栗橋伸夫事務局長(72)。2000年8月、財政難に苦しむむつ市は中間貯蔵施設調査の受け入れを発表した。下北の会は、住民投票条例の制定を目指して必要数を超える署名を集めたが、市議会で否決された。「施設受け入れを巡っては住民同士の対立を生んだ。上関でも同じことを繰り返すことになる」
(汚染土の中間貯蔵施設=2020年8月、福島県大熊町で)
中間貯蔵は、東電福島第1原発事故で汚染された土壌でも実施されており、福島県双葉町、大熊町の施設には15年から汚染土の搬入が始まった。大熊町出身で「30年中間貯蔵施設地権者会」の門馬好春会長(66)は「広い意味では、汚染土も使用済み燃料も原発によって生まれたごみ。国は、経済的に困る自治体に押し付けてきた」と国の原子力政策を批判する。その上で「受け入れによって一時的に地元が潤っても、リスクは子孫の代まで続く。上関町の住民はよく考えてほしい」と訴える。
福井県内の原発の使用済み核燃料について関西電力は、中間貯蔵の県外候補地を23年末までに示すと約束しており、上関町での受け入れによって実現することになる。だが、市民団体「サヨナラ原発福井ネットワーク」の若泉政人さん(56)は「核燃料サイクルが破綻する中で中間貯蔵施設をつくれば問題を複雑化するだけだ。福井で出たごみを上関に押しつける形で、関係がこじれてしまう」と危ぶむ。「一番の解決策は、使用済み燃料を生み出さないことだ」と原発に頼らないエネルギー政策の必要性を強調した。
◆デスクメモ
タンクがもう満杯でどうしようもない、だから薄めて海に捨てさせてくれという話。使用済み核燃料プールがもう満杯で燃料入れ替えができないと原発が停止、だからちょっと置かせてくれという話。どちらも同じ、ごみ捨て場がないのに開き直って、弱い地方に押しつけている話だ。(歩)
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【https://www.tokyo-np.co.jp/article/276345?rct=tokuhou】
こちら特報部
核燃料の中間貯蔵施設計画に揺れる山口・祝島 自然との共生求めてきた移住者の思いは
2023年9月10日 12時00分
瀬戸内海に浮かぶ祝島(山口県上関町)。船着き場近くに一軒の喫茶店がある。マスターの堀田圭介さん(57)は11年前の春、自然と共生する暮らしに憧れて妻子と移り住んだ。この夏、町に原発の使用済み核燃料の中間貯蔵施設を建設する計画が浮上し、40年近く原発に反対してきた島は揺れた。「分断の構図を作り出し、物事を先に進める手法だ」。島民と心を寄せた歳月の重みが憤りを生む。(西田直晃)
◆有機豆を自家焙煎しながら…島民に溶け込んで11年
白塗りの壁に無造作に手書きされた「岩田珈琲コーヒー店」の文字。引き戸を開くと、鼻をくすぐる潮の香りが生豆の香りに変わる。8月下旬の昼下がり、店に堀田さんを訪ねた。
フェアトレードや有機栽培の豆を用い、自家焙煎(ばいせん)のコーヒーで客をもてなし、島の人々に「珈琲屋」と親しまれている。年配者や他の移住者、観光客がひっきりなしに訪れる。「ホッタくん、ネットのことはよく分からん」と年配の男性が堀田さんに声をかけ、計画に反対する情報発信のために助言を求めていた。日が沈みかけたころ、漁師が取れ立てのタイと生ガキを持ってきた。「コーヒー1杯と交換でいいね」。物々交換も珍しくない。
(11年前に祝島に移住し、喫茶店を営む
堀田さん=山口県上関町で)
札幌市内で喫茶店を営んでいた堀田さんが移住したのは福島第1原発事故後の2012年4月のこと。祝島の対岸で進む上関原発計画への島民の反対運動を追ったドキュメンタリーを見て、山や海とともに生きる人々の姿に心を引かれた。
もともと、原発に「おかしいだろう」という義憤があった。酪農学園大(北海道江別市)に在学中、チェルノブイリ原発事故に心を痛めた。にもかかわらず、泊原発(泊村)の新規稼働を進める政治に不信感を募らせた。抗議活動に赴き、稼働後も友人らと協力し、風力発電や太陽光発電の資料をトラックに乗せ、全国各地を周回する「脱原発移動資料館」を企画した。
◆賛成=悪、じゃない 町思う気持ちは双方に
そんな堀田さんも、移住直後には「受け入れてもらえるか不安だった」と振り返る。島民280人(9月現在)、その8割が高齢者の別世界で、店をオープンさせたのは引っ越しから2年後。仕事は少なく、移住者の定着率は「半々程度」にとどまるという。船着き場の荷物運び、冬場のヒジキの収穫、水産物の加工、ごみの収集…。何でもやってきた。島民との信頼関係を育み、現在は町の教育委員を務めている。
降って湧いた中間貯蔵施設の建設計画。「原発に反対してきた人も高齢化し、心労や肉体の衰えもある。コロナ禍が終わり、穏やかな暮らしに戻れると思ったのに」と嘆く。
先月18日の臨時議会で、町長が建設に向けた調査容認を表明した際には、反対派に車を取り囲まれた町長が30分ほど立ち往生した。ただ、堀田さんは「計画に賛成する人=悪だとは思わない」という。「財政難で疲弊したこの町を何とかしたいという気持ちは賛否双方にある」と語り、語気を強めて続けた。
◆「お金、ないんでしょ」と近づき、食い物にする
「原子力関連施設はいつだって、つながりが豊かな過疎地に建てられる。疲れ果てた地域に『お金がないんでしょ』と近づき、施設を受け入れざるを得ない状況をこしらえ、分断させて食い物にしてしまう。地域のコミュニティーを壊す存在としか思えない」
祝島への移住は「反原発運動のためではない」とも強調する。店から目と鼻の先にある漁港を眺め、さばいたタイの刺し身と生ガキをほおばりながら言った。
「海で採れたカキを食べ、殻をそのまま海に放り返しても大丈夫。そんなぜいたくな生活があったっていいし、大事にしたい。自然に囲まれた暮らしを守る気持ちが先にあって、原発関係のハコに反対するんです」
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