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●原状回復できない現実: 「12万円で、あとはもう黙ってろ、自然に放射能さがんの待ってろっつうこと」

2016年02月22日 00時00分21秒 | Weblog


asahi.comの記事【首つったおやじ、無駄死にさせたくねえ 福島の農家】(http://www.asahi.com/articles/ASJ2N0Q9QJ2KUPQJ00K.html?iref=comtop_pickup_03)。

 《12万円で、あとはもう黙ってろ、自然に放射能さがんの待ってろっつうことでしょう。とても、そんなんで済む損害じゃねえべ》。

 原発さえなければ」「福島の百姓は終わりだ」。

   『●言葉が見つかりません・・・
    《須賀川市の野菜農家の男性(64)は、福島産野菜の一部に国の
     出荷停止指示が出された翌日の二〇一一年三月二十四日に自殺した。
     遺族によると、男性は原発事故後福島の百姓は終わりだ」と話していたという》

   『●哀しい遺書: 「原子力さえなければ」
   『●ドキュメンタリー映画『わすれない ふくしま』:
        「震災さえ」ではなく 「原発さえなければ・・・」
   『●「「3.11」から2年② 原発という犯罪」

         『週刊金曜日』(2013年3月8日、934号)
   『●「原発さえなければ」「福島の百姓は終わりだ」:

         東京電力原発人災と自殺には因果関係あり

 《もう取り戻せない、償うことなどできない現実》…「原状回復」なんて決してできない「現実」だ。一体誰が「こういうふうにした者たち」なのか、こんなとんでもない「現実」を生み出した者たちなのか? 誰一人、責任をとろうともしない。

   『●「こういうふうにした者たち」とは誰だ?
      ……東京電力原発人災の自覚無き犯罪者たち
    < 失ったものは永遠に帰っては来ない
       元通りに出来ないはずだのに/
       責任をはたすって?/
       何の責任をだ
       一体責任って何だ?>

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http://www.asahi.com/articles/ASJ2N0Q9QJ2KUPQJ00K.html?iref=comtop_pickup_03

首つったおやじ、無駄死にさせたくねえ 福島の農家
聞き手・萩一晶 2016年2月20日05時05分

     (樽川和也さん=萩一晶撮影)

 土と生きる豊かな暮らしは、あの日、一変した。福島県須賀川市で農業を営む樽川和也さんは、東京電力福島第一原発の事故後まもなく父親を自死により失った。田畑も放射能で汚染された。東京で20日公開のドキュメンタリー映画「大地を受け継ぐ」で苦悩を訴えている。もう取り戻せない、償うことなどできない現実を聞いた。


 ――事故から5年。いまの状況を教えてください。

 「放射能は、こっちの中通りにも降りました。田んぼも畑もビニールハウスも、みんなやられて、うぢらは職場を汚染されたんですだけど、東電は資産への賠償をしたわけでもねえ、放射能を取り除いたわけでもねえ。ただ、5年の月日が流れただけたーだ被害かぶって苦しんで、うぢらはいったい、なあんなのって」

 「精神的な慰謝料として事故の年に8万円、翌年に4万円はもらいましたよ。ただ、それだけ。12万円で、あとはもう黙ってろ、自然に放射能さがんの待ってろっつうことでしょう。とても、そんなんで済む損害じゃねえべ


 ――生前、お父さんは野菜の有機栽培に熱心だったそうですね。

 「環境のこと、よく考える人でした。寒キャベツをつくり始めたのも、冬なら1回も消毒やんねくたって虫がつかねえからです。雪の下で成長して、味もかなり甘くなる。地元の学校は全部うぢのキャベツを給食に使ってました。本当に安全でおいしいものを子どもらに食わせられる、って喜んでた。学校に呼ばれて、食の教育でしゃべったこともあんだ。そういうのが誇りだったの

 「国から野菜の出荷停止の連絡が届いた翌朝、首をつりました。収穫前のキャベツ7500個がダメになった。畑も汚された。これから先、どうやって生きてくっぺ、と思い詰めたんでしょう」


 ――この件は原子力損害賠償紛争解決センター(原発ADR)の仲介で和解し、東電も事故との因果関係を認めたんですね。

 「おやじの無念を晴らしてえ、無駄死にさせたくねえと思って訴えました。ようやく和解して、賠償も出た。やっと東電も線香上げに来てくれる、謝罪してくれると思ってたんだ。だけど違った。届いたのはファクスでした」


 ――除染は進んでいますか。

 「田んぼは、やりました。大型のトラクターで40センチぐらい耕し、ゼオライトをまいて、また耕す。その粒に土の放射能が吸着する、それが除染だ、つうから」

 「だけど、おがしいっしょ。稲は放射能、吸わねくなるかもしんねえよ。でも土にある絶対量は変わってねえんだから。汚染された土の上で、俺たち毎日、朝から晩まで働いてんだよ。将来どうなんのかな、いつか影響出んじゃねえかなって不安だらけだもん」

 「国との交渉のときも、ひな壇に座ってる農水省の人に向かって何度も言いました。あんたら除染の『除』って、どういう漢字書くか、わがってんのかって。たーだ混ぜただけで、なんで除染になんのって。したら、みんな下向いて書類見てるんだ。その通りだって、思ってんじゃねえの


 ――汚染された表土を、はぎ取れないものですか。

 「薄くはぎとれんなら、まだいがったの。だけど事故の翌月に、耕していいっていう県の指示があったんだから。俺も半信半疑だったんだけど、みんな耕したんだ。あそこで耕さねきゃよかったの。1年は作物つくんな、補償は出すって言えば、いがったんだ。おっきな分かれ道だったんだ」

 「機械で、はぎとんのは簡単です。だけど40センチも土とっちゃったら、今度はろくな作物できねえから。ふかふかのいい土、1センチつくんのに何十年もかかんだよ

 「8代目の俺の代で、田んぼを荒らすわけにいがねから続けてんだ。やんねで、ぶん投げとけば、すぐに荒れ地になる。周りにも迷惑がかかる。それに、つくんねきゃあ賠償も出ねえし、収入もねえもん。生活できねえ」


 ――育てた農産物への賠償は?

 「販売実績があって損害を証明できるものにだけ出ます。たとえば、事故前に2000円で売れたのが1500円にしかなんねえんだったら、その差額は東電が賠償する。だけど、天候不順で値が上がったキュウリはこの2年、賠償出てねえんです。事故前より高い値段で売れたんだから払いませんって。おがしいっしょ。もしも事故なかったら、もっと高く売れてたんだよ。他県より安いんだよ。もう、東電はカネ出したくねぐて、しょうがねえんだから

 「俺たちだって請求もできねえようなものも、いっぱいあんだ。もう戻ってこねえものが。うぢで毎年つくって食べてた椎茸(しいたけ)も、山のふきのとう、たらの芽も、全部ダメになったけど一切出ねえ」


 ――風評被害はどうですか。

 「うぢのコメも、11年のは放射能が最高値30ベクレルぐれえあったの。規制値が500ベクレル以下(1キロあたり。12年度以降は100ベクレル)だったから十分に大丈夫な数値なんだけど、やっぱ口に入れるもんでしょう。俺も本当は食いだくねかった。まあ、よそで買うわけにもいがねから食いましたけど」

 「ただ、出荷すんのは、なんか悪いことしてる気がして。だから東京の人が、福島のは食いたくねえという気持ちは、よくわかる。こんなボロ原発あっとこの、わざわざ買って食いてえかえ。これは風評被害じゃねえよ根も葉もない噂(うわさ)が広まって売れねえのが風評被害だけど、じぇねえっしょ。根も葉もあんだから。現実に降ったんだよ、放射能が


 ――いまも検出されますか。

 「コメは去年もおととしも、放射能は未検出だったの。やれることはやったから。放射能の吸収を抑える塩化カリウムも毎年まいてるし。全袋を検査して、もしも数値が出たら出荷できないんだもの、いま福島のコメは、他県よりずっと安全だと思ってる」

 「実際、コメは売れてますよ。外食産業とか病院とか、福島県産とわがんねえところで表には出ねえだけで、すごい量が動いてんの。うまいから、福島のコメは。粘りと甘みがあって。だから外食産業の人らは、いいみたいです。うまいコメを安く買えて」

………。
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