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【町山智浩著、『キャプテン・アメリカはなぜ死んだか/超大国の悪夢と夢』】
オリバー・ストーン監督の映画『W.』について。「・・・チェイニーは石油のことしか頭にない。/・・・「湾岸戦争でパパが倒せなかったフセインを私がやっつけてみせよう」と。/それぞれが勝手な思惑で始めたイラク戦争。・・・しかしビジネスの才能はなく、どれも失敗。酒に逃避し、酔っ払い運転で警察に捕まった。/・・・ますます酒に溺れるようになった。ローラ夫人は真剣に離婚を考えた。/そのアル中地獄のドン底でブッシュは突然神の光に打たれた。・・・福音派キリスト教徒として「再誕」する。・・・/・・・キリスト教原理主義という西部男のスタイルを演じた。・・・ただ父を見返すために。/・・・ブッシュは父の愛を求めて3000人を超えるアメリカ兵と10万人を超えるイラク人の命を奪った」(pp.126-131)。
村上隆作品に代表されるアート市場の如何わしさ。「こういう詐欺まがいの商売を見ると、自分がいかに地道に働いているのか実感できる」(p.169)。
アメリカ放送禁止歌(pp.181-183)。ラジオ局の重要さ(pp.199-202)。
「・・・スーパーマンのユダヤ性にアメリカ人はまるで気づいていなかったが、ナチス・ドイツはさすがに敏感で、宣伝相ゲッペルスはスーパーマンをユダヤ的だと決めつけて禁書にしている。/・・・思い出したのは力道山だ。朝鮮人でありながら日本人の愛国心を鼓舞して国民的ヒーローになった力道山は、日本のスーパーマンだったのだ」(p.222)。
「それに対して日本のアニメ、いやTVドラマでもいい、身体障害者や被差別出身者、いや片親の子供が「テーマ」ではなく「日常」として当たり前に登場することがあるだろうか?/・・・『おかあさんといっしょ』という番組名を耳にするたびに母のない子供がどれだけ傷ついているか考えたことはあるだろうか? 「普通」という無意識の均一主義がいまだ日本には横溢しているのだ」(p.256)。
「モーガン・スパーロックの実験TV『30デイズ』」(pp.257-258)。「実験25日目、デイブはイスラム教徒に対する差別に抗議する署名運動に参加する。・・・しかし道行く人は「お前らアメリカから出ていけ!」とデイブに悪罵を浴びせる。25日前のデイブもそうだったのだ。/・・・少数派の気持ちは自分で経験しなければ決してわからない。日本でも「外国人を追い出せ」とか騒いでる奴に30日間だけ中国か韓国人の名前で生活させる番組を作ればいいのに」。
「アイアンマンは一人軍産複合体/ベトナム、アフガン、繰り返す失敗」(pp.242-245)。「・・・ベトナム戦争は激化し、米軍のナパーム爆撃で全身焼けただれるベトナムの少女やソンミ村で米軍に虐殺された赤ん坊や老人の死体がアメリカのテレビで連日放送された。ベトナムの民衆を踏みにじる悪の軍団はアメリカの方だった。・・・/今回の映画『アイアンマン』では主人公・・・ゲリラに拉致される。ゲリラは・・・水責めで拷問したり、民間人を爆撃したりするが、それはアメリカがアフガンやイラクでやってることじゃん!/・・・ショックを受け、記者会見で「もう兵器製造はやめます!」と発表する。今で知らなかったのかよ! アメリカはアフガン・ゲリラにもイラクのフセイン政権にも軍事援助してたんだよ!」。
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