『ネット王子とケータイ姫』―悲劇を防ぐための知恵
香山リカ+森健(著)
<編集者の日記 概要・目次より>
(概 要)
少年犯罪が起こるたび、
ネットやケータイが悪玉にされ、規制を求める声が飛ぶ。
だが、今やそれらの機器が子どもにとって「唯一の居場所」であり、
「自己の鏡」となっている以上、やみくもに押さえつけるのではなく、
上手に情報社会に適応する術を授ける必要がある。
本書は、学校現場や家庭への現場取材にもとづき、
子どもたちの内面に迫る。
また「ゲーム脳」等の科学論と、
それをセンセーショナルに報じるメディアを、
冷静に見つめ直すヒントを提供する。
(目 次)
1章 あまりにもアナログな、デジタル機器
2章 学者とメディアを疑え!
3章 電脳世界の恐るべき子どもたち
4章 学校が教えられないネット世界
提言 王子と姫を護るヒント
その昔、ケータイがない時代もあったという――あとがきに代えて
<感想>
この手の本を10年近く経って読むとピンと来ない部分も多いなぁ~と感じた。
だが、王子と姫を護るヒントの中の文章には共感できた。
知性というものは、すべからく総合的なものであり、ひとつの操作や計算、反応や所作が独立してできるものではない。学校での学習科目から、日々の礼儀や身の振る舞い、役に立たないような豆知識、人と触れ合ったときの多様な心の化学反応など、ありとあらゆる体験や知識が総合的に判断されるものが、実社会を生きていくうえで本物の力となるからだ。言い換えれば、大局的な視野なくして、ネットやパソコン、ケータイといったツールを与える意味はないだろう。事実上、ネットやケータイで得られるものは、些少の利便性でしかないからだ。
・・・本文より引用・・・