Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

書き文字から描き文字へ

2024-02-01 21:07:13 | 読書
書道の対象は書き文字だ.わが臨書の対象も書き文字だが,ぼくの関心は描き文字にも及んでいる.20 世紀の「能筆」としてぼくが思い浮かべるのは (敬称略で...),佐野繁次郎,花森安治,和田 誠 あたりである.
佐野は画家,和田はイラストレーターとするのが妥当と思うが,花森は...わからない.

佐野の書き文字による装丁は今では本業の油彩画より高く評価されているかもしれない.でもぼくが最初に彼の文字はパピリオ化粧品のロゴだった.化粧品のことは何も知らなかったが,文字はパピリオという語感そのものだった.


伊東胡蝶園 (ちなみに papillon は蝶) という お白粉メーカーで広告のブレーンをしていた佐野の下でアルバイトをしたのが花森安治であった.そして佐野の洗練された美的感覚を自分のものとした.戦時中は大政翼賛会宣伝部で「欲しがりません勝つまでは」のコピーを作文したと伝えられている.しかしいっぽうでは雑誌「婦人の生活」を作っている.当時のパンフレットの「みだしなみとくほん」の題字はわが臨書のお手本に良さそうだ.
花森は「書き」と「描き」を併用している.「本」と言う字を「大」と「十」に分解するのがおもしろい.
和田誠による「殺しの手帖」は暮しの手帖のパロディだが,花森の書き文字をまねたページがある.



その和田の著書「装丁物語」には「文字について」の一章がある.書き文字は下手だが文字を描くことは こどものときから好きだったらしい.
ぼくだけかと思ったら,たくさんの人が,ふだん使いの和田文字のフォント化を期待している.上の画像の右2点は昨年の和田誠展からだが,フォントという見地からの展示のように見うけられる.
上記「装丁物語」によれば,ご本人もフォント化に乗り出したことがあるが,あまりの漢字の数に辟易して中止となったらしい.現在なら,AI を使えば比較的少数のサンプルからあらゆる漢字のフォントを作れるんじゃないの...ひょっとしたらぼくにもできそう...なんちゃって.
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