世界でも有数の天然ガス生産国であるロシアは、サハリンで極東を視野に進めてきた「サハリン2」から、日本に液化天然ガスを今回初めて輸出出来た事を喜んでいるようです。このように「サハリン2」で生産された製品をロシアは、ヨーロッパ一だけでなく極東周辺国にも輸出するのがロシアの悲願だっただけに・・ロシアとしてはこれによって天然ガスの供給先を多角化出来る重要な第一歩を歩みだしたともいえます。
ロシア政府は、今後2030年までに日本を中心としたアジア・太平洋地域への輸出を全体の30%近くにまで増やす方針のようです。特に現在ロシアでも金融危機の影響で経済の立て直しを行っているようですが・・ロシアにとっての重要な輸出品である天然資源の供給先が広がり、今後は極東やシベリアの開発にも展望が開けた思いをもっているようです。
欧州諸国にとって天然資源をロシアからの供給を受けていたのですが・・ロシア政権の石油エネルギーを使っての経済政策のために・・・従来のようなパイプラインを経由しての輸入にさまざまな問題が発生しているようです。その点でLNGガスの場合は、輸送が滞ることはない様で、今後はエネルギーの安定供給にこの極東地域の展望が開けたことはロシア側にとってはこの資源外交の巾が広がり、従来の欧州一辺倒とは違って、政策が進めやすくなったといえます。
ロシア極東の大規模な資源開発プロジェクト「サハリン2」を完成するまでに15年以上の年月をかけて生産されたLNG=液化天然ガスであり・・・それが今月6日初めて日本に到着しのですから・・日本からこの事業に参加した企業も何度の挫折を味わいながらこの「サハリン2」からやっと輸入された6万7000トンのLNGを積み込んだタンカーが、6日午前、千葉県袖ヶ浦市にあるLNG基地に到着したとの事です。
今後は、東京ガスと東京電力が都市ガスや火力発電所の燃料として使用するとの事です。ご承知の通り「サハリン2」はロシア政府系のガス会社や日本の大手商社「三井物産」と「三菱商事」などが出資し出来上がり、総事業費に2兆円に上り、現在はロシア政府系の資源開発プロジェクトとして、その生産量は世界最大規模の年間960万トンも産出されるとの事です。
そもそもこの「サハリン2」構想は旧ソビエト時代に生まれたとの事ですが、現在ロシア政府にその遺産は引き継がれ、設備の完成まで15年以上かかって、ようやく今年2月にLNGの生産が始まりた。この企業に対して東京電力袖ヶ浦火力発電所の宮本忠所長は「中東や東南アジアに偏っていたLNGの調達先の多様化を進めることができ、日本のエネルギーの安全保障の向上に役立つと思う」と感慨を込めて語られたそうです。
「サハリン2」からは日本の電力会社やガス会社が15年から20年余りにわたってLNGを購入する事が出来るそうです。その点で従来のように中東への依存度が高かった日本の資源の調達先が分散化され資源の安定的な確保に役立つ事が出来た点で収穫だと思います。
この冬、ウクライナがロシアからガスの供給をストップされたことが脳裏に焼き付いています。ウクライナのNATOへの接近をけん制する意図があることは確かでしょう。エネルギー企業と政治が一体化した国ですから・・。
「うれしさも中くらいなりおらが春」と思うのは杞憂でしょうか。
コメント有難う御座います。ご指摘の点私も心配も在りましたが、中東も昨今は相当キナ臭い状態も続いており、こんな近距離から液化天然ガスを輸入できる点は嬉しいのですが・・
いずれにしても中・露両国は現在日本の技術を必要としており・・しかし他面では、契約も自国の政策に合わないと破棄する国である点も似ている・・と感じます。日本も政治、外交面で高度になって欲しいものです。