臓器移植法を問い直す市民ネットワーク

「脳死」は人の死ではありません。「脳死」からの臓器摘出に反対します。臓器移植以外の医療の研究・確立を求めます。

公立福生病院への抗議文

2019-03-13 04:22:02 | 声明・要望・質問・申し入れ
2019年3月12日

 福生病院組合 管理者 加藤育男 様
 公立福生病院 院長  松山 健 様

臓器移植法を問い直す市民ネットワーク


透析を必要とする患者を死に追いやる病院運営に抗議します


 私たちは、脳死判定基準を満たしたら人の死とすること、および「脳死」からの臓器摘出に反対し、臓器移植以外の医療の研究・確立を求めて活動している団体です。
 私たちは、2019年3月7日付『毎日新聞』をはじめとする各種の報道により、貴病院において、20人にも及ぶ患者が透析導入をあきらめ、あるいは、透析を中止して死亡していることを知りました。とりわけ、昨年8月16日に、透析の再開を求めながら死に至らされたとされる44歳女性のニュースには、大きな衝撃を受けています。
 
(1)患者を死へと誘導する医療および病院運営は容認できません。直ちに改めて下さい。
 腎臓を患う患者にとって、透析治療が必要と診断された場合、ほとんどの患者が、人生に対する不安や絶望を感じてしまうでしょう。医療スタッフは、そのような患者に対して透析治療で人生に希望が持てるように、励まし、支えて治療に当たることこそが求められます。
 透析の導入あるいは実施そのものが患者の生命に危険をもたらす場合以外において、透析を導入しなかったり、それまで行ってきた透析を継続しないことは、患者を死へと誘導する行為であり絶対に容認できません。
 44歳女性への透析取り止めを判断する際に、病院は倫理委員会を開催していなかったことも報道されています。患者を担当した医師個人の生命観によって患者の生命を左右してしまわないように、複数の医療関係者の合議が必要なことは、過去の不適切な終末期医療の反省から指摘されている事です。

(2)透析の再開を希望した患者の意思を無視して死亡させたことは許されません。
 日本透析医学会の「維持血液透析の開始と継続に関する意思決定プロセスについての提言」ですら、「医療チームが見合わせた維持血液透析は,状況に応じて開始/再開される」として
・患者の全身状態が改善し,維持血液透析を開始または再開できる場合.
・患者および家族が維持血液透析に対する治療方針に関する自己決定を変更した場合
を例示しています。
 ところが毎日新聞記事によると、2018年8月16日午後5時過ぎに死亡した44歳の女性は、15日には明白に透析の再開を求めたことが報じられています。女性は、死の当日(16日)の午前7時50分の発信で「とうたすかかか」という7文字をスマホに残し、これは「父ちゃん助けて」という夫に向けたSOSだったのではないかと記されています。この必死のSOSに対して、外科医は鎮痛剤を注入し、その後、患者は死亡したと報道されています。
 患者の最後の意思を無視して死なせたことは、殺人にも相当する行為であり、絶対に許されません。

(3)患者の意思を恣意的に選別することは許されません。
 前記患者を担当した外科医は、「正気な時の(治療中止という女性の)固い意思に重きを置いた」と語ったことが報じられています。これは担当医の恣意的な判断です。助けを求める患者の訴えを「正気でない」と無視する行為は、苦しむ患者の人権を認めない、法的にも人道的にも絶対に許されない行為です。こうしたことがまかり通れば、「認知症」「精神障害者」「知的障害者」とされた人たちの意思、人権も踏みにじられていくことになります。
 
 このような事実が報じられているにも関わらず、公立福生病院は、3月8日付の声明で「密室的環境で独断専行した事実はございません」とコメントし、反省の意思すら示していません。

 以上、私たちは、透析患者を死に追いやる病院の運営と医療の在り方に大きな衝撃と憤りを覚えるとともに強く抗議するものです。

                                    

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