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二人の恋のゆくえは・・

2013-05-26 08:32:29 | お夏と清十郎(菅笠節)
和楽民謡ファンのみなさま  本日は、山岸諒子さんの文面をお借り致しましてここに転記させて戴き皆様に お夏と清十郎がどのような流れになったのかを知っていただこうと思います。  尚、山岸さんのお名前を入れることにより転記は可能であると書かれておりましたので、宜しくお願い致します 山岸さんありがとうございます















~ すがたひめじ せいじゅうろう ものがたり ~


    お夏の巻




お夏は、姫路の米問屋但馬屋の当主、九右衛門の妹です。




世間から、京の島原の太夫を上まわる、と讃えられたほど、

その美しさは言うにおよばず。




十六ながら、

すでに匂うように艶やかな女っぽい娘だったので、

降るほどの縁談も、相手の姿かたちをより好みして袖にしつづけていました。






この但馬屋へ、

同じ播磨の室津から、清十郎という男が奉公に上がって来ます。




もともとは造り酒屋の跡取りですが、

遊女と心中事件を起こして勘当ものとなっていました。




相手の女から死に遅れて寺へ預けられていましたが、

将来のためを考えて、

世間のほとぼりが冷めるまで、手代として修行を積むのが良いだろうと、

但馬屋へ世話してくれる人があったのです。






清十郎は大変な美男で、

室津の八十七人の遊女すべてと深い仲になったというほどの、

女に好かれる男前でした。




もともと育ちがよく、やさしくて頭のいい男だったので、

但馬屋に上がってからも、女中たちはみんな清十郎に色めきたちます。




しかし、清十郎は、恋の遊びにも飽き果てて、

人が変わったようにひたすら実直に勤めていました。







ある日、

清十郎は自分の帯のくけ直しを、女中の一人に頼みます。




女中が帯の縫い目をほどいて見ると、

中から十四、五枚も、遊女の恋文が出て来ました。




しかも差出人はすべて別人。




室津の有名どころの女郎たちが、

商売の手管ではない、本気の想いを綴ったものだったのです。







女中たちは、興奮して文の数々を読み回し、

それをお夏にも見せます。






商売女がこんなに夢中になるなんて、あの手代はどういう男なんだろう。




この時から、清十郎を意識し始めたお夏の気持ちは、

いつしか恋心へと変わっていきました。





清十郎はと言えば、恋文の件以来、人気は増々過熱し、

女たちの攻撃をさばきかわすだけで精一杯となり、

ついには仕事もおろそかになってきます。




めんどうになって、ぼんやりすることが多くなってくる日々の中、

お夏からの恋文が次から次へと送られてきます。








他ならぬ、お夏からの文。





一つ家にいながら、垣間見るぐらいの隙しかない中でも、


お夏の魅惑の姿は、やはり清十郎をも虜にしました。 






今は互いに、思いを遂げたいと、そればかりを願いながら、


身分違いという無情の隔たりが、二人の前に横たわります。





逢いたい思いを募らせたまま、


恋やつれの日々が過ぎていきます。






   








春、尾上の桜が咲いて、

但馬屋の女たちも、花見見物へと繰り出すことになりました。





海沿いの桜並木は夕暮れに染まり、見物の人たちの顔が美しく映えています。

綱に小袖を掛け広げた幕の内で、但馬屋の花見もたけなわです。




けれど、お夏の心は上の空で、幕の外ばかりが気になります。




清十郎も、女たちの監督係として来ていたのです。




千載一遇の今、早わざで逢い引きできたらいいのに・・・




そんな思いでじりじりしつつ、

けれど初めから、二人きりになどなれるわけもありません。






そんな時、向こうの方で人だかりがします。

大神楽がやってきて、獅子舞を始めたのです。




物見高い但馬屋の女たちも、あっという間に見に行ってしまいました。





幕の内にはお夏ひとり。




ハッと手招きするより早く、お夏はもう清十郎に掻き抱かれ、

髪のほどけるのも気にかけず、ものを言う余裕もないままに、

二人は結ばれました。






そのまま二人は港へと走ります。




お嬢様と手代の恋です。

離ればなれにならない為に、二人には駆け落ちしかありませんでした。




船は上方へ向けて港を出ました。




大坂あたりで裏長屋を借り、五十日は夜昼なしに抱き合おう。

お夏清十郎は、幸せそうに微笑みます。




ところが、なんとしたことか、

船が引き返し始めてしまいます。




乗船した飛脚が、荷を忘れて来たと言うのです。




港に戻るやいなや、姫路からの追っ手に見つけられ、

お夏は籠に押し込められ、清十郎は縄で括られて、

その日の内に連れ戻されてしまったのでした。















座敷牢での幽閉の日々ののち、清十郎は奉行所に召し出されると、

思いもよらぬ詮議を受けることになりました。




但馬屋の内蔵から、小判七百両がなくなったのです。




清十郎がお夏を騙して盗み出させ、

それを持って逃げようとした、という嫌疑でした。




身の潔白を証明できぬまま、

清十郎はそれから数日の内に処刑されてしまいました。






ところが、

六月も初めの頃になって、虫干しをしていた車長持ちの中から、

その七百両がひょっこり出て来たのです。




内蔵から移しておいたのを、みんな忘れていたのでした。






連れ戻されてからというもの、


お夏は二度と清十郎には会わせてもらえず、

どうしているかさえ、誰にも教えてもらえません。




ひたすら、この恋のお咎めが清十郎におよばないようにと、

お夏には、もうその思いしかありませんでした。







清十郎が死んでしまったことなど露とも知らぬまま、

苦しく沈んだお夏の耳に、ふっと子供の囃す歌が入ってきました。




「清十郎殺さばお夏も殺せ」




取りすがって問い詰めるお夏に、

乳母は顔を背け、堪え切れずに涙を流します。




その涙の意味を知った瞬間、

お夏の心は砕け散ってしまいました。








むかい通るは清十郎じゃないか  笠がよくにた菅笠が

清十郎ころさばお夏もころせ  生きて想いをさしょよりも





子どもたちの中に混じってケラケラと笑いながら、音頭をとって歌いだすお夏。




清十郎の亡骸が眠る塚に、

雨の日も風の日も通っていくお夏の目は、

もう何もとらえてはいません。




嘆き悲しむ兄の顔も、女中たちの顔も。




心はただ、あの尾上の桜の浜辺に飛んで、

ときめきの中に、清十郎を待ちつづけているのでしょうか。





















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