ネコのヒトビト

ネコにまつわるヒトビトについてのお話等

オソロシイ猫とオソロシイ餌やりおばさん

2015-06-16 22:49:31 | ネコのヒトビト
毎朝散歩している山道に薄汚れて雑巾みたいな色になった太った猫が潜んでいた。

ニャーニャー鳴いて餌をねだっているんだけど
私は餌を持っていないので

御免ね
何も持って無いよ

と通り過ぎる

その猫は
草むらか

付近の野球場のコンクリートベンチなどの
物陰に隠れており
普段は鳴き声しか聞こえない

時々餌やりをするひとがいるとき
姿を確認する事が出来た

餌をやるひとは一人ではなく数人

だから猫も太ってまるまるとしている

せっせと餌やりに通う人は

餌をやったという満足感を胸に
またさらに運び続けているようだった。

その
餌やり人の中に

フリルの付いたようなガーリーな
幅広い帽子と服装で
赤毛でややパーマがかかった白髪混じりの長髪
背が低くて横幅の広い体型で
膝が曲がって不自然な程体を傾けながら
手提げ袋を持って歩くおばさんがいて
時々見かけるとその出で立ちにギョッとしていた。




すれ違いざまに
「おはようございます」と言うと

素っ頓狂なトーンの高い声で
歌うように

「おはようございま~す」と返されて
余計にギョッとしてしまうような
感じだった

しばらく
そこの
猫がいる茂みの周辺は
その猫の切ない鳴き声と
そのおばさんに出会ってしまうかもしれない
さらに山道の傾斜がやや急な場所だった為

私にとって余計に心臓がドキドキしてしまう
関所のように
感じていた

その頃は、猫に餌をやるひとは
単なる自己満足のためにやっている
非常識な
それしか楽しみの無い
かわいそうなヒトビトで
寂しさを紛らわす為に人の迷惑を顧みず
行動する
人間社会のあぶれ者だと解釈しており

そのおばさんの異常な出で立ちと
攻撃的なほど甲高く表情の無い
素っ頓狂な挨拶を聞くと

そんな風に人を侮蔑している心を
見透かされ

その上で
絶対的に無視されているような
表情の無い挨拶を返される事で

なんとなく傷つくような


色んな意味で
怖かったのである。

その猫は覚えている限り7年は生きていたように思う。