【Q&A】新型万能細胞「STAP」とは 再生医療・創薬応用に期待
産経新聞 1月30日(木)7時55分配信
【Q&A】新型万能細胞「STAP」とは 再生医療・創薬応用に期待
STAP細胞の作製方法(写真:産経新聞)
理化学研究所が作製に成功した「STAP細胞」は、動物細胞では不可能とされていた外部からの刺激で作られた新型の万能細胞だ。再生医療などへの応用を目指して研究が活発化している万能細胞とは何か。
Q 細胞の万能性とは
A 皮膚や神経、筋肉、血液など体のあらゆる組織の細胞に変わる能力のこと。受精卵がこの能力を持っているが、人工的な万能細胞が動物や人で作製されている。皮膚などの細胞を、受精卵に近い状態にリセットする初期化と呼ばれる技術が使われる。
Q 万能細胞にはどんなものがあるのか
A ノーベル賞を受賞した山中伸弥京都大教授が平成18年に開発した人工多能性幹細胞(iPS細胞)や胚性幹細胞(ES細胞)がある。iPS細胞は皮膚などの体細胞に遺伝子を導入して作製するが、ES細胞は受精卵を壊して作るため、倫理的な問題が大きい。
Q 幹細胞とは
A 体の細胞に分化する能力があり、その能力を維持しながら増殖できる細胞のこと。万能細胞のほか、神経や血液、筋肉などさまざまな細胞の大本になる幹細胞が体内にある。
Q 初期化のとき、細胞内では何が起きているのか
A メカニズムの全容はまだ分かっておらず、今後の課題だ。世界中で研究競争が行われている。
Q 万能細胞は、どんなことに役立つのか
A 病気やけがなどで機能を失った細胞や組織を移植で元通りにする再生医療や、創薬への応用が期待されている。iPS細胞の再生医療では、理研の高橋政代プロジェクトリーダーらが加齢黄斑変性という目の病気治療を目指し、昨年から臨床研究を始めた。今夏にも世界初の人への移植が実現する。海外ではES細胞の臨床応用が進んでいるが、倫理上の問題に加え、他人由来の細胞を移植するため、拒絶反応を抑える薬が必要になる。
Q 創薬の動向は
A 患者の細胞からiPS細胞を作製し、病気のメカニズムを解明する研究や、薬の有効性や安全性の試験に応用する動きが加速している。
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