はさみ屋のブログ

理・美容師の使うカットシザーのメンテナンス・アドバイザー(研ぎ・調整・販売)

はさみ研ぎ ハサミ研ぎ

2008年02月07日 | 職業

はさみ研ぎの手順

 お客様からお預かりしたカットシザーを作業台に並べます。
目視による状況確認なんてしません。 まずはバラします。 そして汚れ取り。

現状を確認する行為をしないのは、時間の無駄だからですね。
砥石に当てて研ぎながら劣化の具合を確認する方が良く判るのです。

一番はじめに裏押し(裏刃研ぎ)を数回入れてやると
一番使用している部分だけ、刃先まで綺麗に裏刃が付かない事が有ります。
大抵は刃先の先端から2~3cmの場所に集中する現象なので
その部分を表から充分に研ぎ込まないと完璧な研ぎは望めません。

ルーペで確認するより、この方が確実に劣化具合を判断出来るんです。

ちなみに頭皮の状態をテレビ画面で確認する100倍の光学式のルーペも有ります。
研究用に買ったのですが・・・ 出番は殆ど皆無と成りました。
(200倍も有りますが、これも出番がありません)
見える事と直す事は違う行為ですので、裸眼で確認するだけで充分です。

さて、表刃の研ぎに入ります。 ここからが本格的な研ぎに成るんです。
幾つかの手順が有りますが、一般的なのは回転盤やエンドレスなどの
機械を使って表刃の薄皮をはがすイメージで、峰から刃先までを研ぎます。

表刃の研磨で刃角が決まるので、ここは要注意。

研磨機の上で手首の回転でクリックリッと研ぐ方法や、一段刃の様に
任意の角度を保持してジッと待つ方法が有ります。

段刃や剣刃は、ジッと待つ方法で研ぐ事に成りますが・・・
カップ麺の出来上がる3分ほど待たずとも、裏刃側に返り刃(バリ)が出てきます。

ハマグリ刃だとクリックリッと手首を回転させる要領で、同じ様に返り刃が裏刃側に
満遍なく見えてくるまで研ぎ込みます。 手首を返さず少しずつ角度を変えて
面の連続で峰をハマグリらしく仕上げる方法でも可です。

面の連続でハマグリ形状を作る場合、峰の厚みのつながりを綺麗にすれば
それで構わないでしょう、切れるのは刃先なので峰の仕上がりは見た目で有って
切れ味には殆ど関係有りませんので・・・
剣刃っぽく仕上げても、峰の厚みを薄く仕上げても、段刃でも・・・ お好きにどうぞ。


さてさて、刃物の研ぎは、この返り刃が出た時に研ぎと呼ばれる主作業は完了ですね。
後は返り刃を取る方法に各自の秘法が有ると思ってください。 以上。


ご自分が研ぐ方ですと・・・
出来るだけ返り刃が自然に取れる様に砥石の番手を細かくしていく方法が
一般的だと思っています。

でわっ あくまで一般的な仕上げ研ぎの解説に及びます。
研ぎを生業にしているプロでは無くて、自分で研ぐスタイリストを対象に
説明して行くつもりです。 (もちろん特殊な工具や奥義なんて内緒です)

仕上げ研ぎに使用する砥石の番手は切れ味の好みに寄っても違いますが・・・
#3000番~#6000番の砥石が利用されますかね。

理容師だとノコギリ刃と呼ばれる、滑らない切れ味を良しとする人も居ます。
美容のスタイリストですと滑らかな刃付けで無いと嫌がりますね。

ハサミの使い方に違いが有るので、人それぞれの感が有りって事でしょう。
切れ味には「好み」が有り、どれが正解でどれが駄目なんて無いと思いますので。
只・・・ そのハサミの持つポテンシャルを充分に引き出せば
理美容どちらも、同じ刃付けで満足してくれる様ですので・・・ 。

砥石は色々有りますが、最近の合金鋼にはダイヤモンド砥石をお勧めします。
平面保持に優れ、研ぐ刃物(ここではハサミ)を良く削るからです。
いくら高価な天然砥石でも、合金鋼には歯が立ちません。 時間の無駄です。
砥石選びで失敗すると、やりたい作業に結果が付いてきません。


裏刃側にバリが出たら研ぎは終わりです。 そのバリを細かくして行きましょう。
仕事を早く済ませようとして、返り刃を無理矢理しごき取ってしまうと
ちぎれた刃先に粗さが残り、しっとりとした切れ味には成りません。

ここは、ひたすら表10回に対して裏1回程度の行程を繰り返し
返り刃が取れるまで根気よく・根気よく・根気よくですな。
最後は、一番細かな仕上げ砥石の裏押しで終わらせると取り切れなかった
バリが表を向き、囓る(かじる)もしくは噛む(かむ=咬む)危険が少ないでしょう。

プロはここが内緒にしたい部分でも有り、それぞれの奥義が有るんですな。
従って・・・ オイラの方法も ↑ の方法とは異なります。
もっと合理的にです。 ここでは狂った調子を叩くなどは省いていますので
何かを期待して読み進めてきたのなら「ゴメンね」

研ぎは呼吸の乱れや研ぎ手の集中力で仕上がりが変わるほど繊細な
作業ですので一生懸命、魂を込めて研ぎます。 でも馴れるとよそ見もできますよ。

切れ味は研ぎ手の人間性を如実に表す様にも思います。

巷で「馬鹿とハサミは使い様」と言われますが・・・
馬鹿が(失礼・例えです)使っても、良く切れる様に仕上げないといけません。
自分で研ぐ人でも、切れ味に妥協は駄目ですよ。
ハサミは枝毛製造器では有りません。 まして、ピンセットでも無いのです。

アクセス解析で検索のキーワードに「はさみ研ぎ」が多いので
サービスとしての記述です。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿