54のパラレルワールド

Photon's parallel world~光子の世界はパラレルだ。

純粋なる音楽

2005年11月16日 | ハコ
人間は音から逃げられない。無音状態というのはありえない。アイソレーションタンクに入って外界から完全に隔離されたとしても、自らの心臓の音、血流の音が聞こえてしまう。(室井さんの「芸術環境論B」より)

では、聴覚異常の人はどうなのだろうか?と思ったわけです。脳の聴覚を司る部分が欠損していたりすると、音を感知しない。それは無音だろう。
聴覚異常者にとって心臓の音はどう聞こえるのだろうか。音は聞こえなくとも鼓動を感じることはできるはずである。触覚として心臓音を感じる。では外界のさまざまな音も振動として触覚で感じるのではないか。クラクションを鳴らせば、その強烈な振動によって、普通の人と同じようにビクッとなってしまうのではないか。聴覚異常者にとって音楽とはどのように聞こえるのだろうか。音楽を触覚で聴くとはどういう感覚なのだろうか。
身体で音楽を聴くという感覚は普通の人でもあるだろう。LIVEに行くと音が骨まで響いてくるし、踊るという行為は身体による音楽である。しかし、聴覚で音を聴くという経験なしに身体で音を聴くというのは、まったく別な体験である。それは私たちがイメージする音とはまったく異なるものかもしれない。純粋に振動として音を感じる。音楽を純粋に聴くというのはそういう感覚なのかもしれない。