この報道のなかで、批判者が多いことは、悲しい限りである。
ただ、私としては、正しく23年の歴史をしっかり見ていただきたい
と考える。
1987年を前後にして、行革という国の施策が声高に叫ばれ、
3公社民営化が実施された。
国鉄がJRになったのである、それも分割という形をとって、
そして、時の総評の中核であった国労、全動労の組合員を狙い打ちに
したのがJR不採用事件である。
民営化の内容よりも、労務施策が優先された時代、
「不当労働行為」が実施されたのである。
そして、国鉄職員の約7600人がJRに採用されず、1990年には国鉄清算
事業団に残っていた1047人が解雇されたのである。
そういうなかで、I L O(International Labour Organization)国際労働機関は
国労などが行った結社の自由委員会への提訴(一九九一号事件)を受けて、その見解
を四回にわたって明らかにしている。
ILOは、日本政府に対し当該労働者に公正な補償を保障し、当事者にとって満足の
いく解決に早急に到達するよう要請していた。
その要請すらも、明らかにしないまま、時の自民党政府は、長年放置してきたのである。
☆ ILO :世界の労働者の労働条件と生活水準の改善を目的とする国連最初の専門機関。
本部はジュネーヴ
(創作品 2010年4月9日制作)
政権交代した民主党は、自民党が創った負の遺産を政治的に決着させ、
額に汗して働くものに、団結と連帯、それらの再生の意義を示して
くれると信じている。
批判のひとつに、このリストラ・不景気になかで、ゴネ得だとの
声がある。
私はそう、思わない。
この「不当労働行為」がまかり通るようになってから、
日増しに弱体化していった労働者運動、経済界の一方的な
施策の強行の数々。行革という名の国の施策展開、大企業での
組織再編という合理化の数々。
この23年間の歴史をふりかえってもらえば、理解できるものである。
解雇された1047人の国労組合員、そして、その家族は、
団結と連帯の旗のもと、人として生きるために、
歯を食いしばり、多くの犠牲を払いつつ、
闘い続けた結果での決着方向である。
いま、あらためて、
私は、国労組合員、家族会、とりわけ、直接に犠牲をこうむった子供たちに、
尊敬と敬意をあらわします。
2010年 4月11日 記: 松瀬 徹
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