静かな劇場 

人が生きる意味を問う。コアな客層に向けた人生劇場。

司馬温公のカメ割り

2012-06-13 20:29:50 | Weblog
 明治の初頭。大阪に初めて小学校が設立された
時のこと。
 中国の司馬温公の偉人伝を、教師がとりあげた。
 温公、七歳の頃。友人と外にあった大きな水ガメ
に登って遊んでいるうちに、一人の子供が誤って
水ガメの中へ転落したのだ。
 驚いた子供たちは家へ知らせに、それぞれ走った。
 温公ひとり踏みとどまって、
〝まてよ、家の者が来るまでに溺れて死ぬだろう。
どんな高価なカメでも、人の命には代えられない〟
と石でカメをぶち破り、無事に子供を救出した。
 熱っぽく語った教師は、
「幼くして、カメを割る勇気があったからこそ司馬
温公は、歴史に残る人になったのです」
と激賞した。
 感動した生徒たちは、早速帰宅すると台所へ直行
し、手あたり次第にそこらのカメを割り出した。
「なにをする!」
 驚いた家族がたしなめると、子供たちは胸を張っ
て、みなが言う。
「隣の太郎や向かいの花子にも聞いてみい。子供の
頃からカメを壊すような者でないと、立派な人には
なれんと先生が言ったんだから……」
 隣の太郎はラッキョガメを、向かいの花子はミソ
ガメを、至る所でカメ割りがなされている始末。
 このために、父兄たちの登校反対の、チン騒動の
一幕があったという。


という話を読んだことがあるが、
子供たちは、「幼くしてカメを割る勇気があった」
というところしか理解しなかったのだろう。

これならただの笑い話で済ませられようが、
この子供たちのような人たちが、今日の浄土真宗に
あふれているようである。

「雑行を捨てよ」と聞き、善を投げ捨てドヤ顔の人

「善の勧め」を聞いて、善をすれば救われるのかと
思い、30年やったけど救われなかったとボヤく人

いずれも司馬温公がカメを割った心の分からなかった
子供たちなのだろう。
案の定、真宗界はミソガメやらラッキョガメやら
子供たちに破壊され、散乱し、腐臭を放っている
有様である。