goo blog サービス終了のお知らせ 

ハッチがいた日常

夫は病死、仕事も辞めて被災猫ハッチと暮らしたけれど、10年で終わってしまった。これからは本当の一人暮らしの日々。

微笑みに出逢う街角

2005年07月29日 15時11分14秒 | 映画
 見たかった映画を、今日、下高井戸シネマで見てきました。タイトルは、「微笑みに出逢う街角」。あのソフィア・ローレンが100作目の映画出演に選んだ映画だそうで、監督は、彼女の息子です。でも、心理描写もストーリーもとても繊細できめ細かく、男性が作ったなんて思えない(とは失礼!)。よくまあ、女性の内面をここまで表現してくれました。きっと、ソフィア・ローレンの育て方が素晴らしかったのでしょう。
 全く無関係の女性3人を主人公に、それぞれ細かくストーリーが進み、はらはらどきどきします。映画の舞台はトロント(私は初めて!)。そういえば、映画の導入部では、悪がき3人組がそれぞれ、彼女たちとの接触があります。そして、最後に空港で顔が揃うという、粋なプロット。それぞれの抱える問題は、かなり深刻でテーマが重いです。でも、それぞれが持っている家族愛が見事に表現されていました。
 中でも、気になるのは、チェリストの女性の背景でした。父親が酒乱でDV、実は22年前に母親を殴り殺したのです。その復讐のために、家族も音楽も捨てようとまでした彼女。本当は、もっと父親と話す時間があればと、もどかしい思い出いっぱいでした。刑務所に服役していたから、アルコール依存症もすっかり完治していましたよね。我が家の亭主も、それに近い状況です。今朝は、昨日飲みすぎて布団で眠らなかった腹いせに、飼い猫を蹴飛ばしました。ひどいことしますよね!そういう人間は、お酒を飲む権利はないのですが・・。
 ソフィア・ローレンの逸話も、身につまされます。半身不随の元陸上選手の夫の介護に追われる彼女の秘密。そして絵を描く才能をずっと押さえ込んできて、遂に爆発。
 よく、天才は男性が多く、女性が少ないと言われますが、その原因は、男女差ではないと断言します。家父長制度の長い歴史の中で、女性は家事労働に明け暮れ、無報酬の奴隷だったからです。家事労働をしなければならない女性が、才能を磨くことはよほど恵まれていないとできません。男女平等、女性解放への道のりは、まだまだ険しいですね。夢があるのなら、男女問わず、それに向って努力できる環境がほしいです。結婚前の恋愛についても、彼女の夫は彼女に「娼婦!」といいます。でも、女性はどうして貞節を要求され、男性は全く逆を当たり前とされるのでしょうか。そもそも、性を穢れと考えること自体、男性中心の論理です。ま、それはともかく、この映画を男性が作ったことに驚きを感じました。名優ドパルデューもソフィア・ローレンと共演しています。見終わって、感動がしばらく残っていました。久し振りにいい映画をみました。なお、この映画でチェリストの父親役を演じているマルコム・マクダウェルのサイトは、こちらです(当然、英語です)。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする