検証・電力システムに関する改革方針

「自然エネルギーですべての電力をまかなう町」の第2部です。

電車は終日、運行中止  連載小説136

2012年10月24日 | 第2部-小説
  将太「福島・いわきの会社も大丈夫とわかったしね」
公平「そうでしたね。連絡が取れて無事とわかったときは拍手がおこりましたから」
将太「だが、そのあとまさか福島原発が爆発するとはだれもおもわなかった」
公平「あの日、何も知らないから電車が動くまで時間つぶしを居酒屋でした」
将太「何も知らないというのは恐ろしい。2、3時間もすれば電車は動くだろうと思ったからね」
公平「もう動いているだろうと思って店を出て駅に行くと駅前は人であふれていた。改札に『本日は終日、運行中止』の張り紙」

将太「あれにはまいったね。仕方ないからわたしはあのあと駅前のホテルに行った。するとドアに「本日は満室」の張り紙。別のホテルもそうだった。そこではじめて事態を知って」
公平「それで、お互い、延々と歩いた」
将太「わたしは自宅まで6時間歩いた。国道の歩道は両側とは人でいっぱい。だれもが黙々と歩いていた。1番困ったのはトイレだった。公衆トイレが一か所もなかった」
公平「どうしたのですか」
将太「あのとき、飲んだでしょ。トイレが近くなり、早めにしないとやばいことになると。だって空き地などまったくないのですから。コンビニと24時間営業の店があったのでそこを借りたので助かった。公的機関の誘導案内はいっさいなかったね」

公平「携帯電話がまったくつながらなかったでしょ」
将太「いったいどうなっているのか。情報がまったく分からない。ただ電気はついていたから歩道は明るかった。車はぎっしり。歩く方がはるかに早かった。非常時、車は役に立たないと思いましたね。それと火災がなかったから助かったと思う。あれで火災が発生していたら大変なことになっていたと思う。もし車が燃えたら国道は導火線になる。車がぎっしり渋滞しているのだから次々爆発する。あの渋滞は恐ろしいと思った」
公平「首都で直下型地震が起きたら、逃げ道がなく蒸し焼きになりますよ」
将太「自分が逃げる先がどうなっているのか分からない。火の海の方に逃げているかも分からない。分からないというのは本当にこわい」