検証・電力システムに関する改革方針

「自然エネルギーですべての電力をまかなう町」の第2部です。

木工団地の視察  連載小説124

2012年10月10日 | 第2部-小説
  将太と公平が東北のT町に視察をして得た収穫は沢山あった。1番の収穫は案内してくれた課長の林業振興にかける情熱だった。とにかく熱いと思った。しかし案内された木工団地を見た瞬間、これは占部町では無理だと思った。T町の木工団地は一朝一夕にできたのではない。苦い体験も経て、関係者の話し合いと挑戦があって今日があった。そして今現在、経営再建の途上だと聞いた。それは意外な事実だった。順風満帆ではなかったのだ。

 占部町は余りにも疲弊しきっている。前向きに取り組む人が余りにもいない。そんな中で50億円以上もかかる加工場をつくるのは現実的でないと思った。

 大滝町長は県が推進しようと提案した第3セクター構想を否定した。その理由は機械を操作する技術者がいないこと。販売ルートがない2点だった。
 機械を導入すれば製品ができるものではない。製品を作るのは機械ではない。機械操作を熟知した熟練技能者がいてこそ確かな製品をつくることができる。
 T町木工団地の理事長は「木は生き物だ」といった言葉は印象的だった。季節によって、日によって木は違い、採れた山によっても違う。人工乾燥をするとき含水率がほぼ等しいことが大切だし、ヤング率が等しい集成材をつくるためには原木の段階で目視で材のヤング率を見分けることができなければいけない。機械ができることは偉大だが木材を見て微調整ができなければ、規格品はつくれない。結局、いかに優れた技能者をかかえているか。確保しているかにつきる。

 公平は工場視察で大きな刺激を受けた。今、T町のような木工団地を作るのは下地がなく、無理だが不可能ではない。いつかT町のような木工団地をつくりたいといった。
将太「町長になれば夢を実現できる」
公平「T町でできて占部でできないことはない」
将太「そうですよ」