地獄列車＜３３１日目＞ Stayed in アイアントレイン

　昨日、国境では余ったモロッコディルハムをモーリタニアウギアに変えただけだったので、もうほとんどお金がなかった。今日＆明日は土日なので、両替所が開いてなかったら、ヌアディブーに釘付けになってしまう。

　なので、朝イチで中心部へ行って両替所を探した。両替の文字はいっぱいあるけれど、なかなか開いているところが見つからない。マジでヤバいかも…と思ったところで、なんとか開いている両替所を発見し、無事、ウギアをゲットした。
　ヌアディブーの街の様子。




　これでヌアディブーに用はないので、さっさと今日の列車で移動することにした。
　宿のヒトに列車の時刻を聞いてみると、１時だとか３時だとか４時だとか、結局、よく分からない。近くのレストランのヒトや他何人かに聞いてみると、３時という答えが一番多かった。
　昼食。


　乗り遅れるのはイヤだったので、余裕を見て１時過ぎに宿を出た。
　駅までタクシーを捕まえようとしたんだけれど、ガイドブックでは『駅は街の南』と書いてあるのに、みんな北の方を指さす。半信半疑だったけれど、タクシーに乗っていくと、ホントに街の北の外れに駅はあった。


　まだまだ時間はあったので、本を読んだり、ボォーっとしたりして過ごしていた。
　目の前の道路を何の気なしに見ていると、一台のトラックが駅に向かって左折しようとしていた。すると、クラクションとともに、左から乗用車が猛スピードで突っ込んできた。

　トラックの荷台に乗っていた２人が宙を舞い、突っ込んでいった乗用車は道を外れて停車した。宙を舞った２人はなんとか大丈夫そうだったが、乗用車の運転手は動かない。そのまま通りがかった車に乗せられて病院へ向かっていった。

　怖い怖い。

　モロッコに入ってから、これで３度目の事故の目撃。いつ自分が事故に遭うかと思うと、おちおち車に乗ってられない。今日は電車で良かった…

　３時をちょっと過ぎて、電車はやってきた。世界一長いというだけあって、確かに長い。一両目が通りすぎてからも全然スピードを落とすことなく、しばらく走っていたから『実は停まらないんじゃないか？』と不安になったほど…
　列車を待っているヒト達。


　列車が停まって、みんな乗り込む。意外なことにみんな客車に乗り込む。タダなんだから、てっきりほとんどが貨車に乗るもんだと思っていたのに…

　５、６人の現地人が貨車に乗り込もうとしていたので、慌てて近づいて一緒に乗せてもらった。

　貨車の中は鉄鉱石のくず（砂鉄）が少しだけ残っていた。思ったほど汚くはない。とりあえず端っこに荷物を置いて、出発を待った。




　ちょっとテンション上がる(笑)。
　西アフリカを選んだ１つの理由がこのアイアントレイン。

　乗客もすべて乗ったようで、いよいよ出発。激しく揺れる。最初は嬉しくて立っていたが、風が強いので座って、寝転んだ。

　寝転んでも風は強い。フードを被って、顔にはスカーフを巻いてでないと、とても耐えられない。パラパラパラパラと雨のように砂と砂鉄が降り注ぐ。１ｈほどで、体中が砂だらけになってしまった。

　砂＆砂鉄も辛いが、加速＆減速のときの衝撃も尋常じゃない。常時、震度５くらいで揺れてて激しい音が鳴っているところに、震度７くらいで『ど～～ん！！』っと地面から突き上げられる感じ。
　しかも衝撃は前の車両から順番に来るので、慣れてきたら１秒くらい前には衝撃が来るのが分かってしまう。それがまたイヤな感じだった。

　でも、日中はまだ良かった。
　楽しめたし、汚れるけれど、苦ではなかった。

　日が落ちてからが、地獄。

　寒い。

　強烈に寒い。

　『満点の星空を見ながらロマンチックな移動♪』なんて思うような余裕は全くない。確かに星空はスッゴいキレイなんだけれど…　星空見たいだけなら、メルズーガに行けば良い。

　風が強くて体感温度がみるみる下がる。服は着込める分だけ着込んだけれど、足りない。『どうしよう？マジでヤバいぞ』と思ったところで、テントを羽織ることを思いついた。これで、風よけができたおかげでだいぶと楽になった。

　ところが夜９時を回ったくらいから、今度は地面の冷たさが染みてきた。素直にマットを敷けば良かったんだけれど、電車を降りるときのことを考えて、片付けるもんが増えないようにと、とりあえず我慢することにした。

　夜１１時にようやく列車はどこかに停車。ホントにどこに停車したんだろう？　砂漠の真ん中。とりあえず目的地のシュムではないようだ。

　今日は当然ながら一睡もできそうもない。

　＜今日の移動＞ヌアディブー→（シュム）
　アイアントレイン。約１１ｈ。タダ♪
　世界一長いという列車。２．３ｋｍあるらしい（ロンプラ）。モーリタニアの内陸から鉄鉱石をヌアディブーに運ぶための列車で、鉄鉱石を運ぶための貨物車両ならタダ。最後尾の２両（たぶん）だけは客車で、お金がかかる。
　現地人と同じ車両に乗るべき。１人じゃ荷物を乗せるのも結構大変。あと、降りる駅も分からん。
　感想は上記参照。

　＜宿泊地＞アイアントレインの後ろから４両目の車両　タダ♪
　上記参照。

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