武道の源流、姫路に集結! - 第36回 日本古武道演武大会 見聞録⑭/諸賞流 和 -

2013-03-02 21:58:28 | うんちく・小ネタ
撮影日 : 平成25年2月10日(日)
会 場 : 兵庫県立武道館 (姫路市西延末) 



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諸賞流 和 (しょしょうりゅう やわら)



諸賞流和は、平安時代に坂上田村麻呂によって創始された夢想観世流和(むそうかんぜりゅう やわら)に始まる柔術です。
夢想観世流の流名は、田村麻呂が清水観世音に祈願して、夢想の中に和(やわら)を伝えられたことに因みます。

時代は下って鎌倉時代、源頼朝が鎌倉に幕府を開いた時、朝廷の勅使を饗応するため角力会を催しました。
各地から強者が集められた中で、夢想観世流27代目・毛利宇平太国友が、体格は小柄ながら抜群の強さを発揮して、頼朝をはじめ諸将が大いに感嘆しました。
諸将が賞した(褒め称えた)ことに因み、以後、流名を「諸賞流」に改めました。

江戸時代、陸奥国の盛岡藩(藩主:南部家)の家臣・岡武兵衛庸重が鎌倉に行き、諸賞流和に入門します。
そして、47代目の宗家を継承しました。

以後、諸賞流和は盛岡藩で継承されてゆき、57代目・松橋宗年の時、御留流(藩外不出)の武術に定められました。

諸賞流和は、明治維新後も盛岡で継承されてゆきます。
昭和54年(1979)には、盛岡市指定の無形文化財にも認定されました。

現在も盛岡市に道場を構え、稽古が行われています。






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立会 「大殺」

相手の太刀を瞬間にかわし、当身を入れて倒す。
最後に逆手で決める。



1901





1903





1904





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「山落」

目潰をかけて、肩を押しながら足をかけて倒す。
そして拳骨で急所を打つ。





1907





1908





1909





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「大小搦」(だいしょうがらみ)


相手に刀を取られ引き倒されながらも、一瞬の隙を突いて足で急所を蹴る。



1920
① 刀で相手に斬り掛かろうとしたところを・・・




1922
② 刀を奪われてしまった。




1923
③ そして、引き倒されるが・・・




1924
④ 一瞬の隙を突いて、足で相手の急所(首)を蹴る。




1925
⑤ 見事に形勢逆転。相手を締め上げる。




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小手乱


柔道の巴投に似た投げ技だが、一番先に急所を蹴る。
そして、頭から投げ落とす。



1927







(以下、次号)


武道の源流、姫路に集結! - 第36回 日本古武道演武大会 見聞録⑬/心形刀流 剣術 -

2013-03-02 10:06:08 | うんちく・小ネタ
撮影日 : 平成25年2月10日(日)
会 場 : 兵庫県立武道館 (姫路市西延末) 



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心形刀流 剣術 (しんぎょうとうりゅう けんじゅつ)



心形刀流剣術は、江戸時代初期に伊庭是水軒秀明(いば じょすいけん ひであき)が創始しました。

流名は、「心は己が心、形も同じく身の形、刀はその用いるところの刀なり」という剣術理念に基づいています。
すなわち、「心正しければ技正しく、心の修養足らざれば技乱れる」として、心の修養を第一義、技の練磨を第二義としているのが特徴です。

その後、八代目・伊庭軍兵衛秀業の時、江戸下谷に道場を開きました。
ここで多くの門弟を指導するようになり、「江戸四大道場」の一つに数えられるほどの隆盛期を迎えます。
この時、秀業から免許皆伝を受けた伊勢亀山藩士・山崎利右衛門(雪柳軒)は、国元に帰り亀山藩(藩主:石川家)の撃剣指南役に任ぜられました。
この系統は脈々と受け継がれ、現在に至っています。

 ※ 「江戸四大道場」・・・北辰一刀流、神道無念流、鏡新明智流の三流派の道場に心形刀流を加えた呼称です。



幕末期に至り、九代目・伊庭軍兵衛秀俊が幕府の講武所師範役に、養子の八郎(八代目・秀業の息子)が教授方に任ぜられました。
これによって心形刀流剣術は全国各地に伝播することになります。


明治維新後、各地の心形刀流剣術は衰退・廃絶してゆきましたが、伊勢亀山(三重県亀山市)では途絶えることなく流統が継承されました。
現在も、亀山城内に構えられた剣術道場・亀山演武場において稽古が続けられています。






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