すがわらの工房日記

東北は岩手県一関市の呉服屋。こつこつと友禅染めをしています。

友禅の準備

2010-08-19 18:17:40 | 友禅

こんにちは

それではいよいよ友禅のお話です。

 

一口に友禅染めと言っても、世の中に色んな友禅があるようで

近頃巷では印刷した物や、果てはプリンターで出力したものまで友禅などと言って出回っているようです。まあ、見ればそれぞれ違いは歴然なんですけどね。

私が手掛けるのは所謂「手描き友禅」です。いちいち手描きと言わなければならないのは何だか複雑な思いがします。

では始めましょう。

  

まず友禅染をするためには

図案を起こします。デザインですね

デザインが決まったら品物の原寸大に書き上げます。

帯なら帯の大きさ、着物ならきものの大きさに描きます。それで図案の出来上がり

この図案が決まるまでが大変で、中々うまく決まらないときや、幾晩も夢に魘されたり

モノによっては一年がかりで描き上げる事もあります

何だったらこれが一番難しい作業です。

ですので画像の盗用転用はかたくお断りいたします。

  

図案が決まったら、生地を選んで「ゆのし」をかけて生地を整えます。

さて、ここからが友禅ですよ。

まず糸目(いとめ)と言われる糊を引いていきます

Dsc_0223

 

糊には餅米の粉に糠を混ぜて練ったものと

ゴム糊とがありますが、 

私は主にゴム糸目を使用しています

図案の上に生地を置いて、直接糊を引いていきます  

Dsc_0224

ちなみにこれはあくまで私のやり方で、人によって様々色々やり方があるのでこれが絶対ではありません。

また、餅糊とゴム糊では技法も全く変わってくるのでその紹介も機会があればいつかやりたいと思っています。

P7230006_2

この糸目がきちんと引けてないと色を挿す時大変難儀しますし

仕上がりも美しくありません。

デザインにもよりますが、基本的に糸目は細ければ細い程良いとされています

  

糸目を引き終えたら

今度は糊が生地にしっかり喰い付くように裏から揮発でゴシゴシ拭きますよ

Dsc_0291

  

張り場に生地を張ります

Dsc_0311

  

そして「地入れ」です

地入れは友禅には絶対必要な工程で、生地の染めムラ防止のために行います

かつて私が見習いだったころ、この工程をはしょった所為で大変な事になったことがありました

そりゃもう、今思い出しても変な所から汗が吹き出て来るほどです

やはり数百年もの間には私のような無精者がきっと何人もいたはずで、同じように省こうにも省けなかったからこそ現在でもやっているのであって、やっぱ年寄りの言うことは聞くものだな、と人生の本質に触れた気がしました。

  

地入れ液は「ふのり」を水に溶いたものです

あの海に漂うふのりですよ

ちなみに私はふのりの味噌汁が大好きです。

でもこれは食用ではないので食べないほうがいいです。その方が無難です。年寄りがそう言っていました。

P7230012_2

この様に鍋で煮て

 

P7230013

木綿のサラシにあけて

  

P7230015

ぎゅうぅぅ~っと絞って濾します

 

Dsc_0324

濃さを調節して出来上がり。

  

Dsc_0300

ゴシゴシ

Dsc_0298_2

ゴシゴシゴシ~♪

 

ムラ無くきれいにふのりを引いて地入れの出来上がりです。

今回はここまで。

次回はいよいよ色挿しに入れるかな~?

  

  

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