山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

マツバラン(マツバラン科)

2020年08月20日 | シダ類
 茎だけで葉も根も持たない原始的な形をした常緑性のシダである。胞子体の地上部には茎しかなく、よく育ったものは 30cmほどになる。茎は上の部分で何度か 2 又に分枝する。分枝した細い枝には稜があり、小さな突起物がある。先端部の分岐した枝に粒のような球形の胞子嚢をつける。山梨県では桜の古木や竹林の林床に生育している。個体数はきわめて少ない。

 2018年山梨県絶滅危惧ⅠA類(CR)  2017年環境省準絶滅危惧(NT)


    桜の古木に着生したマツバラン 令和2年2月 南部町で撮影。


    あるのは茎だけで根も葉も無い。


    球形の胞子嚢を付けている。


    令和2年4月 桜の咲いた頃に再訪する。


    桜の花とマツバランを狙ったが光が入らず画像はいまいち。


    少し大きくなったような気がしないでもない。

 増殖能が低く何年も同じ個体数でこの木に着生していると聞く。敷地造成のため竹林での移植実験の記録があるが場所は不明である。撮影地の近傍にある桜の大木でも生育が確認され、中央市の竹林での生育も確認された。

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ギンラン

2020年08月20日 | ラン科
 広葉樹林の林床を好んで生育する純白の小型のランである。甲府市周辺や御坂山系、富士山周辺等、広範囲で生育しているが私が観察しているのはもっぱら甲府市近傍の低山である。直接の鹿の食害は無さそうであるが、山肌の乾燥化や笹の増殖、盗掘等により激減している植物である。


    ギンラン 平成28年4月 甲府市で撮影。 この頃は遊歩道や舗装路の脇を覗き込むと普通にギンランを見つけることが出来た。


    同上


    平成29年5月 甲府市で撮影。 このような大きな株にも出会うことがあったが今では見られない。


    令和1年5月 甲府市で撮影。 この頃にはその気で探さなければ見つからないほどに減少してしまった。


    同上。


    令和2年5月 甲府市で撮影。 見つかればラッキーである。


    純白のギンランの花


    令和2年5月 甲府市で撮影。 何本か群生しているのを見るのは久しぶりである。

 2018年版山梨県レッドデータブックでは絶滅危惧Ⅱ類であるが、このまま減少してしまうとⅠB類に格上げになるのではないかと思う。かつては普通に見られた花であるが甲府市近傍ではキンランと並んで減少に歯止めがかからない。

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エビネ

2020年08月20日 | ラン科
 甲府市近傍の低山や御坂山系、富士山周辺、県南部の山域など、広範囲に生育しており個体数も比較的多い。花屋やホームセンターなどでも安価に売られており育て易いことから国産のランの中でも比較的目にする種類だと思う。しかし、現在でも盗掘は良く目にする。この花は前年の葉が枯れずに越冬し、しかも大きくて目立つ葉であることから下草が生えていない冬から早春にかけて個体を発見することは容易である。かつ、亜高山帯や高山帯では無く里山や低山、あるいは山腹に生育していることが盗掘され易い要因になっている。鹿の食害はあまり受けないと思っていたが、大規模な食害に遭っている場所が見られている。


    自生のエビネ 平成28年5月 甲府市で撮影。


    この界隈では最も多く群生していた場所である。


    ピンク色のエビネ 平成28年5月 甲府市で撮影。 登山道脇に咲いていたこの株は翌年には見当たらなくなってしまい、盗掘されたと思われる。


    平成29年5月 甲府市で撮影。 新たな自生地が見つかった。


    同上 登山道からは離れている。


    平成30年4月 1、2枚目と同じ場所で撮影。 周辺の笹がだいぶ伸びてきた。


    笹に飲まれて群落が小さくなってしまっている。周辺にあった小さな個体は消滅してしまった。


    令和2年5月 同じ場所で撮影。さらに笹薮が深くなり群落は縮小している。定期的に下刈りが行われているようであるがこの場所は植生遷移により消滅の危機にある。


    令和1年5月 新たに見つかった株


    同上 この山らしいピンク色のエビネ


    接写


    令和2年5月撮影。前年発見した株は元気に花を咲かせてくれた。


    令和2年5月 新たに見つかった株


    平成26年5月 御坂山系で撮影。


    同上。 エビネがたくさん生い茂る素晴らしい谷だった。


    同上


    平成2年4月 同じ場所で撮影。 台風で流れてしまったと聞いていたが、それだけではなかった。


    酷い鹿の食害を受けていた。その後咲いたかどうかは確認出来ていない。

 甲府市のエビネは毎年のようにパトロールに出かけているが、登山道沿いに生えていたものは大部分が消滅しておりおそらくは盗掘によるものだと思われる。新たに見つかった場所をこれからも見守って行きたいと思う。

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ムギラン

2020年08月20日 | ラン科
 カエデやカヤ、イチョウなどの古木を好んで生育する着生ランである。光沢のある楕円形の葉の付け根にはムギランの名の由来となる偽球茎という麦の実状の茎が付いている。山梨県では県南部に生育しており群生するが、生育箇所は限られている。


    ムギランが着生したハウチワカエデの木 平成30年5月 南部町で撮影


    ムギラン 平成30年5月 南部町で撮影。


    トリーミング画像。 葉の付け根に麦の実のような偽球茎が付いている。


    平成30年5月 同じ場所で撮影


    トリーミング画像。 花を期待したのだが小さな緑色の蕾が見えるものの開花していなかった。


    令和1年6月 同じ場所で撮影。


    トリーミング画像。 蕾は見えるが開花していないようだ。


    カヤの木の枝に着生したムギラン 令和1年6月 身延町で撮影。


    トリーミング画像。 南部町を訪れた日と同じ日に訪問したが、こちらではもう結実していた。

 ムギランの花は小さくて緑色をしていて目立たない。いずれの場所でも遠い位置に着生しているために撮影が難しいが、まだ開花した花の撮影には成功しておらず、引き続き追いかけたいと思っている。

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オオクボシダ(ウラボシ科)

2020年08月20日 | シダ類
 渓谷沿いの湿った岩壁を好んで生育する常緑性のシダである。葉の長さ15㎝以下で極めて小 分布さいものが多い。葉身は狭披針形~線形、羽状に深裂し、側羽片は赤褐色の毛をつけ全縁。葉柄は 2㎜ほどで短い。胞子嚢群は楕円形で、羽片の基部近く中肋よりに 1 個ずつ並ぶ。奥秩父山系や南アルプスの渓谷、富士山麓に生育している。時として群生しているが、個体数は少ない。

 2018年山梨県絶滅危惧ⅠA類(CR) 2017年環境省なし


    オオクボシダ 令和1年9月 西沢渓谷で撮影。 


    同上。大きさは約5~10㎝ほどの小さなシダである。


    葉は深裂して全縁である。茶色い細い毛が生えている。


    ソーラスは羽片の付け根近くに1個ずつ付着する。


    マクロ撮影


    令和1年9月 西沢渓谷の別の場所で撮影。


    まだ未熟な緑色のソーラスが付着している。


    令和1年11月 瑞牆山で撮影。


    ズーム


    この場所は数個体しか発見できず。他の場所にも生育している可能性が高い。


    令和2年7月 富士山麓で撮影。 他にもっと多く着生している木を目撃したことがあったが、最近は見かけていない。

 小さくて見つけにくいシダであり生育地での個体数は少なく、探しにくい。しかし、探索すれば広範囲に生育している可能性があると思われる。

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