山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

ツリシュスラン

2020年09月08日 | ラン科
 山地帯の苔生した木に着生する常緑性のランである。7月から8月ごろに垂れ下がった花茎を出し、先端が半曲して白い花を総状に付ける。山梨県では富士山麓に生育しており個体数はきわめて少ない。


    ツリシュスラン 平成28年8月 富士山麓で撮影


    同上(トリーミング画像) 唇弁は赤紫色をしている。


    同上 別角度から撮影


    同上 垂れ下がった花茎の先端部が反転して花を付ける。


    平成30年7月撮影 同じ個体。


    同上。まだ蕾である。この年を最後にその後この個体は花を咲かせていない。周囲の苔が脱落・落下し危険な状態にある。

 撮影したこの個体の近傍での目撃情報があるのだが、いくら探しても発見できず、持っている画像はこの個体のみである。

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身延山のハナワラビを見に行くが・・・こんなはずでは??  令和2年9月4日

2020年09月08日 | シダの仲間
 山梨県で新たにエゾフユノハナワラビなるものが北岳で見つかった。メールで送っていただいたその画像を見ると、オオハナワラビに似ているが葉の先端部が鋸歯状ではあるが尖っておらず丸まっている。今年2月に身延山で撮影したオオハナワラビと思わしきシダの画像を見直してみると非常に良く似ている。その時は変わりもののオオハナワラビだろうと片付けていたのだが、ひょっとしたら別物なのかも知れない。もしエゾフユノハナワラビ、ないしは良く似たヤマハナワラビだとすれば、今頃は胞子穂が伸びているはずである。これは確認に行ってみる必要がある。


    現地に到着。簡単に葉が見つかり、周囲を探すと胞子穂が出ているものがあった。これは当たり!と思ったのだが・・・?


    拡大して見ると葉の辺縁が鋸歯状で尖っている。これはオオハナワラビではないか。


    胞子穂が出ていた別の株。やはり葉の辺縁が鋸歯状でオオハナワラビである。


    密に短毛が生えているところもエゾフユノハナワラビやヤマハナワラビとは違う。

 2月に見たのは葉が傷み始めて辺縁の鋸歯が脱落し始めた頃のオオハナワラビだったということなのだろう。残念。

 周辺のシダを散策する。


    ヒメワラビ


    シダレザクラの幹に着生したシノブとヒメノキシノブ


    シノブ


    ヒメノキシノブ


    岩に着生したシノブ。横に這う太い根が見える。


    岩に着生したカタヒバ


    青くて生き生きとしたハカタシダ


    岩に付着したチャセンシダ


    チャセンシダ


    チャセンシダとゲジゲジシダ


    大株のチャセンシダ


    ここはシダの宝庫である。

 エゾフユノハナワラビは残念な結果だったが、たくさんのチャセンシダを見て廻ることが出来た。他にも様々なシダが生育しており、この古い石垣が積まれたお寺の周辺はシダの宝庫である。十分に満足して甲府に戻る。午後から出かけて6時半から会合が入っていたが、中部横断自動車道が延びたおかげで十分に間に合うことが出来るようになった。

 ちなみに、2月に見たシダとメールで送っていただいたエゾフユノハナワラビの画像は以下の通りである。


    令和2年2月に身延山で見たハナワラビの仲間。


    オオハナワラビに似ているが葉の辺縁に鋸歯の突起が無く、葉質が厚い。


    こちらが今年の8月に北岳で見つかったエゾフユノハナワラビ。


    葉のトリーミング画像。辺縁は鋸歯状であるが尖ってはいない。やや葉質は厚めである。

 そっくりに見えたのだが甘かった。エゾフユノハナワラビは葉茎と葉の裏に細長い毛を生やすのが特徴であるが身延山のものは短い毛が密生しておりこの点からも別物だった。

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ホテイアツモリ

2020年09月08日 | ラン科
 亜高山帯の草地に生育する赤紫色のやや大型のランである。山梨県では南アルプスに生育していたが、鹿の食害や斜面の崩落、さらには盗掘により絶滅寸前である。最後の一株と思われていた個体が平成17年に盗掘されてしまい、一時は山梨県では野生絶滅かと思われていた。しかし、保護対策が行われるようになり平成29年ごろから数個体が花を咲かせるまでに復活してくれた。


    復活してくれたホテイアツモリ 令和2年8月撮影


    上記のトリーミング画像


    別株


    同上 痛み始めていて唇弁に皺が寄っている。

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 ⇒山梨県の希少野生動植物種と指定種・特定種について

 ⇒山梨県の絶滅危惧の植物 ~科別分類~
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シダを探索に行くが失敗 石割山  令和2年9月2日

2020年09月08日 | 番外編
 古い写真を見ていたら花の脇に何やら絶滅危惧種のシダらしきものが写っていた。山梨県レッドデータブックの分布域を確認してみると、その山域に生育しているらしい。これは確認に行かなければと思い、残り1日の夏休みをとって探索に出かけてみる。


    久しぶりに登る石割神社に至る長い階段。


    キバナアキギリが咲いていた。


    石割神社の下に群生していたこのアザミは?


    総苞片は短くあまり開出せず、茎には毛が生えている。おそらくスズカアザミと思われる。


    石割神社


    神社の直下に生えていたオウレンシダ


    神社の境内に生えていたオウレンシダ


    モミジガサ


    ホトトギス


    山頂到着。富士山は雲隠れし、空模様が悪い。


    山頂に咲いていたこのアザミは?


    総苞片が長くて開出しており、先ほど見たアザミとは別物である。どうやらトネアザミ(タイアザミ)らしい。

 2時間かかって山頂到着である。問題のシダがあるのはこの先のはずであるが果たして探している絶滅危惧のシダなのかどうか?期待しながら現地に行ってみる。


    昨年は手入れに来なかったところ、保護柵は破損してネットが外れてしまっていた。


    やはり・・・アツモリソウは消滅している。テンニンソウは除去したもののスゲが生えてランが生育するような環境では無くなっている。


    目的のシダはこんな感じのシダだが・・・裏にソーラスが付いていない。


    枯れかけているうえに立ち上がっていない。


    これは比較的新鮮だが予想していたものとはだいぶ違う。


    その近くにあったのがこのシダ。これはありふれているヒメシダで、おそらく先ほど見たのはこれの栄養葉であろう。だからソーラスが付いていない。

 探していたのはタチヒメワラビという絶滅危惧のシダで、ブナ林の林床に生える珍しいシダである。羽片近位部の小羽片が大きい特徴があり立ち上がって生えるはずである。以前に見た画像ではそのような形に見えたのだが、どうやら違ったようである。


    平成24年6月に撮影したアツモリソウの画像だが、花の手前右側にタチヒメワラビらしきシダが写っている。しかし別物だったようである。

 探しているうちに雨が降り出してしまい、雨の中を探索したものの目的のタチヒメワラビらしきシダは見つからなかった。おそらく写っていたのはヒメシダの栄養葉だったのであろう。雨の中を下山となった。また別の場所を探索してみたいと思う。
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ホソバショリマ(ヒメシダ科)

2020年09月08日 | シダ類
 山地上部の丘陵部に茂る夏緑生のシダである。葉は2 回羽状深裂し、長楕円状披針形で下部数対は耳状で淡緑色である。胞子嚢群は裂片の辺縁寄りに着く。流線型をした中型のシダで、葉質は柔らかく鹿の食害を受けている。全国的にも局地的に生育する珍しいシダで、山梨県では県南部の1ヶ所でのみ生育が確認されている。

 2018年山梨県絶滅危惧ⅠA類(CR)  2017年環境省なし


    山上に生育するホソバショリマの群生  令和2年6月 南部町で撮影


    同上


    根元に近い部分の葉が次第に小さくなり、全体的に流線型をしている。


    茶褐色のやや幅広い鱗片を付ける。


    葉質は柔らかく、鹿の食害を受けている。


    訪問時は残念ながらソーラスはまだ付いていなかった。


    ホソバショリマの群生

 ソーラスがまだ確認出来ておらず、再訪したいと思っている。

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マツラン(ベニカヤラン)

2020年09月08日 | ラン科
 山地の針葉樹と広葉樹の混合する樹林帯で木の幹に着生するランである。主にハウチワカエデの古木に着生している。4月から5月ごろに紫色の混じる黄色ないし黄緑色の花を咲かせるが6月になると紅色に変わる。これが別名ベニカヤランなる名前の由来である。山梨県では富士山麓に生育しており、生育地は限局しているが生育地での個体数は比較的多い。


    まだ蕾のマツラン 平成29年4月富士山麓で撮影


    同上


    開花したマツラン 平成30年4月 富士山麓で撮影


    同上 蜂が吸蜜に訪れている。


    同上(トリーミング画像) 葉には黒紫色の斑点が入る。


    令和1年6月 富士山麓で撮影。 6月になると花弁は紅色に色付く。


    同上


    同上 これが別名ベニカヤランと呼ばれる由縁である。

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