宝塚仁川/山田歯科エクセレンスクリニック 歯科医師・山田忠生
Dr.ハリースミスと出会ってから学会終了後も1週間、一緒に過ごすためにスケジュールを調整した。ある日の午後、私が彼の技工士の許を訪れたとき、アガ・ハーンのリハビリテーションをしている模型を見せてもらった。アガ・ハーンは世界有数の富豪の一人である。毎年、彼の誕生日には臣下の者が、彼の体重と等しい金や貴金属を献上している。Dr.ハリースミスはちょうど彼の治療が終わったところで、私にはとてもすばらしい仕事だと思えた。私たちはあまり考えようとしないだろうが、今日行っていることは疑いもなく50年後から見ればどうしようもなく思えるはずである。
ある日、Dr.ハリースミスが運転手つきのロールス・ロイスで迎えに来た。それは借り物だと思ったが、Dr.ハリースミスによればアガ・ハーンが歯を救ったことに対しての休暇プレゼントとして、彼に贈ったとのことだった。それこそが感謝だと思った。その日の午後、私たちはベルサイユで開かれた学会後のカクテル・パーティに参加し、第1次世界大戦の和平条約が締結されたときのテーブルでシャンパンを飲んだ。
学会終了後の1週間、私は起きている時間はすべて、Dr.ハリースミスと過ごした。ちょうど私の父であってもおかしくない年齢で、彼には息子がいなくて娘が一人いるだけなので、私を養子にしたようなものだった。私のために何かをしてやりたいと思っていることが感じられた。ある日の朝、患者とのコミュニケーションについて話をしていたが、彼はこう話した。「それで、あなたはボスワースのコースを受けたのですか。」