宝塚仁川/山田歯科エクセレンスクリニック 歯科医師・山田忠生
ところが、「理論」の講義を受けるときには講義室で、臨床歯科医師でない学生にとって、まったくイメージすら持つことのできない内容を、ただたtだ情報の言葉だけを暗記することを求められる。臨床歯科医師として、患者にわかりやすく病状や治療計画などを話すときのことを考えていただければわかる話である。その時点では、私たち学生は、まったく歯科医学に関しては無知な素人である。その私たちに対して、大学の先生は専門用語を駆使して講義し、覚えろと要求する。こんな無茶苦茶なことがあるだろうか。
私たちは、患者さんに懸命に間違いがなく、わかりやすい言葉や、さまざまなツールを利用して理解してもらえるように努める。しかし、大学の講義ではそんなことはお構いなしだ。部分義歯だクラスプだ、全部鋳造冠だ、歯槽膿漏固定だと、まったく想像もできないことが、そしてその治療方法などが、容赦なく説明される。
それらの試験をパスしないことには、「実際」の授業を受けることができない。そして、いざ「実際」の授業となったときには、「理論」などすっかりどこかに置き忘れ、目の前の作業という、まさしく小手先の器用さが求められることになる。それは、これぞ小手先細工という、およそ学問でもなければ、職人芸でもない代物である。