釣具店で
今年の2月、アマゴの年券を買おうと賀茂川近くの小さな釣具店を訪れた。
初めての店だ。これまで年券を買っていた店は去年廃業してしまったので。
店内は暗く、客も店主もいない。
「こんにちはあ」と言うと、電気がついて、奥から「はあい」とおじさん。
「アマゴの年券がほしいのですが」
「もう扱うてないんですわ」とすまなさそう。
「そうですか、でもなんでですの?」
「もう売れんのですわ」
なぜ売れない アマゴ券
いろいろ尋ねると、おじさんは次のように話してくれた。
「解禁日には皆さん、ワーッと釣りに行きます。何十匹も釣ります。その
日でほぼ終り。皆さんが異口同音に聞いてくるのは『次の追加放流日はい
つ?』。
そんな釣り、おもしろいこともなんともありまへん。そういう人は、○○川
の解禁が終わったら、××川の解禁へと追いかけているんです。そんなこ
とですから、アマゴ釣りの人気はどんどん下がるんでしょう。
これが、もしも禁漁になった秋に稚魚放流をやれば、少なくとも夏くらい
まで楽しめるんですが・・・」
ということだった。
賀茂川 今昔
最近、山渓さんからコメントをいただいた。
10年ほど前まで賀茂川へよく通ったものだが、ある時期から急に釣れなく
なり、今は奈良方面へ釣りに行っておられるとのこと。昔は稚魚放流もあっ
たらしい。
ぼくが賀茂川に入ったのは14年前だ。その頃は確かに放流量も多かったし、
何よりも放流地点が多かった。だから人出が多くとも、探せば釣れる場所は
あった。
ぼく自身の記録では、2007年が激減の年、それ以降は急落。追加放流もい
つしかなくなった。
稚魚放流
しかし、賀茂川でも稚魚放流をしていたということはぼくも知らなかった。
ネットでみるかぎり、京都府下で今も稚魚放流をしているのは、久多、美山、
上桂の三川だ。これらの川は確かにいい。シーズン中ずっと楽しませてくれる。
ただ、稚魚放流をしなければ川からアマゴはいなくなってしまうのだろうか?。
川が魚を育む力はそれほど弱いものなのか。
そうだとしたらとても悲しい。
豊かで奥深い川であってほしいものだ。
それとは別に、個人経営の釣具店が消えていくのもさびしい、が、ぶらりと
訪ねるには入りにくい。これも時代の流れか。