寺さんの【伝えたい話・残したい話】

新聞記事、出来事などから伝えたい話、残したい話を綴っていきます。
(過去掲載分は「付録」の「話・話」を開いて下さい)

(第3576話) サポート感謝

2023年10月31日 | 出来事

 “小さな介護事業所を開設して18年-。自分の天職だと思って頑張ってきましたが、この事業所のために会社を辞めてまで生活相談員を務めてくれている娘をはじめ、事業所スタッフにはどんなに感謝してもし尽くせません。
 8月上旬、私は病気で10日間仕事を休まざるを得ませんでした。食欲がなく、疲労感で全身は重く、敷地内にある自分の部屋から出ることもままなりませんでした。そんな中、娘がわが部屋まで届けてくれた、かゆとみそ汁のおいしかったことといったら・・・。また、自室の窓から偶然、いつもは朝が苦手なはずの娘が私の代わりに職場に来てごみ出しをする姿を目にしたときは感激のあまり涙がこぼれ落ちそうになりました。娘は私にとって最高の事業パートナーで、こんな孝行娘は他にいません。「これからも、よろしくね」”(10月5日付け中日新聞)

 名古屋市の介護施設経営・吉村さん(女・71)の投稿文です。ことにもよるが、多くのことは自分1人はこなせない。いろいろの人の手助けがあって成り立っているのである。吉村さんは介護事業所を運営されている。それこそ多くの方が働いておられるであろう。そして、自分が病で10日間ばかり働けなかった。そんなとき娘さんが、普通にはしないことまで頑張ってされた。本領を発揮されたのであろう。吉村さんはこのことに感謝されている。娘さんを見直されたであろう。娘さんも母親の常日頃の苦労を実感されたであろう。不運な出来事であるが、お互いによかったのではないか、と思う。
 ボクの家も昨年から今年にかけて、妻がコロナに罹り、リンパ腫治療で入院し、ボクも今年、9日ばかり手術で入院した。そして、先日は高血圧で大変な目に遭った。その度に娘らが駆けつけてくれた。ないに越したことはないが、家族の情を知る機会になった。


(第3575話) コロナ遺産

2023年10月29日 | 出来事

 “旅行が好きで、よく出かけていましたが、愛犬が高齢になり介護が必要になってからは、旅行はできなくなりました。その愛犬は18歳で亡くなりました。折しも新型コロナウイルス蔓延の時期で、スポーツジムも友達とのランチもヘアカラーもやめてしまいました。新型コロナ感染症が5類に移行しても、以前の生活に戻る気力がおきません。庭いじりと読書の日々です。「出費が少ないから遺産が沢山残せるわ」と笑う私に、息子からメールが届きました。
 『2人とも、労働世代の時に一生懸命働いてくれたおかげで今の自分と家族があります。頑張って貯めたお金を、今度は自分自身のためにいっぱい使ってください。自分に残すお金は必要ないです。死んだ後に貯金残高を見て少なかったら「ああ、いい人生を過ごしてもらえて良かったな」と思います。これだけしか残してないのか、なんて思うことは絶対にありえません』
 優しいメールをありがとう。そうね、平均寿命まではまだ歳月があるから、もっとアクティブに行動してみようかな。でもね、庭の果樹や野菜で四季を満喫し、読書する穏やかな日々も、結構いいものですよ。”(10月3日付け中日新聞)

 名古屋市の主婦・森さん(73)の投稿文です。なんと優しい言葉掛けであろう。【死んだ後に貯金残高を見て少なかったら「ああ、いい人生を過ごしてもらえて良かったな」と思います】という言葉に到っては、感激しかない。こう言われたら少しでも有効に使おうと思うであろう。口では何と言おうと、遺産は多ければ多いほどいい。普通ではこの言葉は出てこない。
 コロナ禍の何事も控える雰囲気が少し変わってきて、いろいろな行事が再開され、出かける人も増えてきた。余生を考える高齢者には辛い時代であった。体力も気力もなくした人は多い。森さんもそんな辛さを味わいながら、この言葉にもう一度アクティブに行動してみようと思われたようである。
 実はボクも全く最近、高齢者の辛さを味わった。人と話している間にふらつきを覚え、家に帰って血圧を測ったら200を超えているのである。急いで病院に行き、治療を受け、4時間くらいで帰宅できた。その後、慎重に行動しているが、これが老化ということかと、実感した。本当に明日はないのである。


(第3574話) 専業主婦

2023年10月27日 | 意見

 “7月31日付本欄「プロ意識があってこそ」を読み、生きる時代も年齢も違う人が昔の私と全く同じことを考えていたことを知りました。私が結婚した四十数年前、女性も外で働くことが多くなりました。子どもを保育園や親に預けて出勤する姿をうらやましく思いました。心ない人から「若いのに、あなたはなぜ働きに出ないの」と聞かれ、心が揺らぎました。そんなとき、母は「まず家庭、自分の足元を一番に考えて。主婦の仕事は甘くない」と諭し、もっと自覚するよう促されました。そんな折に世で流行してきたのが、家事を賄う主婦代行業。その対価がとても高くて、改めて主婦の労働力の価値を思い知リました。家族のために心地よい空間をつくり、四季折々を感じさせるような心遣い、健康や笑顔のもととなる食事作りは全て私の手にかかっています。専業主婦はプロとしての称号。その昔、私が悩みながら出した答えです。”(9月29日付け中日新聞)

 愛知県安城市の主婦・久野さん(72)の投稿文です。今は労働力不足の時代となり、男性も女性も働かざるを得なくなった。時代の流れでしょう。でもボクたちや久野さんの時代は違った。主婦でも働く人はあったが、まだ専業主婦が多かった。ボクの妻も子どもができた機会に勤めを辞めて専業主婦になった。そのころからボクは一つの考えを持っていた。女性も男性と同じように働かせろ、同一賃金にせよ、と言う運動は多かった。なぜ主婦の労働を金銭価値に置き換え、それを所得と見なす運動をしないのか、疑問であった。男女平等と言っても、肉体的にはどうにもならないのである。月経も出産も女性のものである。この負担は大きい。制度的にいろいろ保護は進んできたが、あくまで労働力としてである。こんな考えを誤解なく書こうと思うと長くなるので止めるが、今となってはもうどうにもならないだろう。働ける人は皆働かざるを得ない時代になってしまったから。


(第3573話) 火の見櫓

2023年10月25日 | その他

 “わが故郷、現愛知県愛西市の旧八開村には地域ごとに火の見やぐらがありました。備え付けの半鐘を鳴らすことで出火時はもちろん、音の出し方によって住民に各種情報を伝える連絡手段を担いました。火事では半鐘を荒々しく何度もたたき、神社の催しの開会の合図でゆっくりと数回鳴らしました。しめやかな音が1~2回だと、自宅での葬儀後、死者を火葬場に送ることを意味し皆で合掌しました。
 嫁ぎ先の同県弥富市でも昔は見かけた火の見やぐらでしたが、いつの間にか姿を消してしまったようです。地域住民をつなげたアナログ調の良さを懐かしく思い返す今日この頃です。”(9月28日付け中日新聞)

 愛知県弥富市の主婦・大河内さん(53)の投稿文です。火の見櫓、もう忘れていた懐かしい言葉にひかれて取り上げた。ボクの村にも火の見櫓はあった。鉄筋コンクリートの建物の上に立っていた。何メートルの高さであったろうか、子どもの頃、恐々数度登ったことがある。コンクリートの建物には手押し車の消防車が入っていた。何かの行事の開始を知らせるために、叩かれていたと思うが、大河内さんのようにしっかりした記憶はない。いつ頃なくなったのであろう、その記憶もない。ただ今も建物は物置として残っている。何かの行事の時、今でも時折火の見櫓に集合と、声がかかる。もうほとんどの人は、そこに火の見櫓が立っていたことは知らないはずだ。昔は消防団もあった。ボクも若い頃入っていた。それもいつの間にかなくなった。もう昔の記憶が残るのみである。


(第3572話) 体冷やさぬ 

2023年10月23日 | 行動

 “夏にはそうめんを食べ、冷たいジュース、かき氷を口にするのが常だったが、4年前に生活習慣を改めた。当時の職場の男性客が「20年以上風邪をひいたことがない」と言うので秘訣を聞いたのがきっかけだ。この男性客は夏でも焼酎のお湯割りを飲み、クーラーの利用は控えて扇風機を使い、薄い長袖のシャツを着て靴下をはいて寝ていた。理由は「冷たいものを口にすると体温を上げるのにエネルギーを使い、体がぱてやすくなる」だった。
 以降、私は年中温かい飲み物を口にして、腹巻きを離さずクーラーの部屋では薄い長袖のシャツを羽織った。結果、夏風邪をひかなくなり、今年の猛暑も無事過ごせた。”(9月28日付け中日新聞)

 愛知県豊川市のパート・吉田さん(男・67)の投稿文です。ボクは何時の頃からか知らないが、体温が36度を切っている。低くなったものだと思う。これは生活の仕方に問題があったのだろうか。そして、体温が低くなるとどんな問題があるのか、無関心であった。少し調べてみた。低体温とは35度以下を言うとある。低いといろいろな病気を発症する危険があるようだ。吉田さんはこの様にしてまで、体温の維持を図ろうと努力をされている。体を冷やすのは良くないことは知っている。見習うべきであろう。でもボクは病気かと思うほどの暑がりである。夏に長袖や靴下などとんでもないことである。ただ冬については少し注意している。まずビールは飲まないことにしている。そして温かい食べ物を食べることにしている。
 ボクはつい先日、血圧が急に上昇して嘔吐し、倒れ込んだ。もう何が起こるか分からない。体温についても体質や老化などのこともあろう。もう少し勉強をする必要がありそうだ。


(第3571話) 読み続けたい

2023年10月21日 | 意見

 “私の家では新聞をとることをやめました。少し悲しいです。そう遠くないうちに新聞がなくなってしまうかもしれません。新聞の発行部数は減り続けています。これに対してインターネット社会の昨今、ニュースアプリかサイトの利用者はどんどん増えているそうです。
 あるアンケートによれば、新聞を読まない主な理由は「アプリの方が楽」「新聞だと本当に読みたいものが探しにくい」でした。でも私は新聞の方が信頼できると考えています。アプリの情報は、おそらく新聞のように多方面のチェックを受けておらず、真偽が不確かなものもあると思うからです。私は、新聞を読み続けたいです。”(9月27日付け中日新聞)

 名古屋市の中学生・矢野さん(男・12)の投稿文です。新聞を取らない家庭が増えている。と言うより、娘の家が最近取らなくなってしまった。娘の家庭は普通の家庭であり、ここがこれでは、取らない家庭が多くて当たり前の気がする。確かに新聞に頼ることは少なくなったかもしれない。ボクでも最近の新聞は読み甲斐が少ない、と思っている。広告が多くて、娯楽欄が増えている気がする。毎朝ボクは新聞を取ってきてすぐに読むが、30分程度で終わってしまう。但し、翌日「編集日誌」を書き写しをするので、読み漏らした記事は読む。また「話・話」 のために後日再度読む。よってかなり読む時間を持つし、いろいろ活用している。ただ読むだけではない。妻はかなり時間をかけて読み、娘の家が新聞を取らなくなってしまったので、これはと思うページは切って届けている。
 この投稿は中学生である。ここまで述べるのは立派なものである。言っていることに間違いはないと思う。再度、家庭で取って欲しいと思う。


(第3570話) 問診票記入

2023年10月19日 | 意見

 “医療機関を訪ねるたび、診察を受けるための問診票を書かなくてはなりません。たいてい受付で筆記具と一緒に手渡され、待合室で書き込みます。膝の上で書くため、きちんとした字で細かい内容を記すのはなかなか大変で、医師が判読に困ることも過去にありました。そんな中、問診票をホームページに掲げ、事前に自宅でダウンロードして記入できるスタイルを採用している診療所がありました。自宅でゆっくりと整理をしながら問診票を書くことができた分、診察はとてもスムーズだった気がしました。
 ITが日進月歩の昨今ゆえ、医師、患者双方に利便性が高い方法を医療機関には探ってほしいです。”(9月22日付け中日新聞)

 愛知県瀬戸市の棚尾さん(男・86)の投稿文です。これは良い提案と思う。医院で問診票を書くのは当然必要なことである。でも何も医院で書く必要はない。今や手段は大きく違ってきている。棚尾さんが言われるように、事前に書いておけば楽であろう。ゆっくり考えたり思い出すこともできる。その場では一瞬の判断である。間違いもあろう。言われるように読みにくい文字になることもあろう。事前になく方法は、棚尾さんの言われるように様式をダウンロードする方法もあろう。今やスマホの時代である。これを使う方法もあろう。ボクはもう70歳代後半、前人類であるが、世の中のこと、すべて見直す必要がある気がしている。


(第3569話) エンドロール

2023年10月15日 | 出来事

 “「今週末に放映されるアニメの背景描いたから、名前が出るよ」と、都内で1人暮らしをしている娘からラインがあった。すぐに録画を予約した。数日後、私はテレビの前に陣取った。夫と息子は私の背後にいて、肩越しから画面に釘付けになっている。
 私たちはアニメにはまったく興味がないので、本編は早送り。どの場面なのか聞いても、きっとわからないから、それについては家に帰ってきた時にでも聞いてやろうと思っている。エンドロールだけが目的なので、息を詰め「まだかな」「最後の方だよね」「五十音順かな」とみんなでワクワクしていた。そうこうしているうちに、背景のアニメーターの名前はあっという間に流れて、見逃してしまった。
 「あれ?」「しまった」「あったっけ?」。そこであわてて巻き戻して、一時停止画面から娘の名前を見つけた。「おー」「すごいすごい」「ほんとにある」。私たちの興奮は、しばらくおさまらなかった。
 娘は自分の夢を叶えるため、ずいぶん回り道をし、都内での生活費にも苦労はしていても、一歩ずつ進んでいるのだった。一時停止は、なかなか解除できそうにない。いつか映画館でエンドロールを観たいと思っている。”(9月21日付け中日新聞)

 愛知県瀬戸市の主婦・吉田さん(63)の投稿文です。エンドロール、この言葉は知らなかった。読んでみておおよそは想像がついた。調べてみれば「映画やテレビなどで,映像作品の最後に出演者・制作者・協力者などの氏名を流れるように示す字幕」とある。最後の早さは読み取れない。吉田さんがまさにそうであった。こんな読み取れないものに意味がるのか、いつもそう思っていたが、関係者となるとまた違ったのである。一瞬でも写ると感激なのである。
 そしてボクはいつも思うのである。主役や大きな役の人は、1人、また2人、また数人で冒頭に延々と紹介される。あの長さはたまらない。そして分かっている人が多いのである。この部分はもう少し短縮して、エンドロールの方にもう少し時間を取って欲しいと思うである。エンドロールに出てくる人は知らない人が多い。そして読み取れない早さである。流すならある程度読み取れるものにしないと意味がないのではないか。制作側の意図、慣習もあろうが、ここは一考してもらってもいいのではないかと思うのである。


(第3568話) 先祖のご加護

2023年10月12日 | 出来事

 “最近、先祖や神仏に守られている気がしてならない。7月中旬、仏壇の花を新しくしようと坂を上って畑へ摘みに行く際、高さ40センチほどの段差を前にして突然ふらつき、バランスを崩して後方に倒れ、後頭部を石にぶつけた。しばらく体中がしびれたが、スマートフォンで救急車を呼んだ。搬送先での精密検査で異常は見つからなかった。こぶができたのと切り傷があるぐらいで2日入院して退院できた。災難だったが、傷や痛みが消えるにつれ「大した後遺症もなく回復したのは奇跡だ」と考えるに至った。
 夫らがいる仏壇に多大な感謝を表明して、仏壇の花は晴れて後日替えることができた。“(9月21日付け中日新聞)

 岐阜県恵那市の近藤さん(女・90)の投稿文です。人間自分自身で生きているつもりであるが、多くは生かされているのである。自分ではどうにならない部分が多いのである。近藤さんは階段で倒れたことからそのことに気づかれた。もっとひどいこともあるし、このまま死ぬこともあり得る。それがこの程度の怪我でおわった。もう人知ではない。こうした運の良さを何に感謝するか、近藤さんはそれを先祖のお陰と思われた。先祖に見守られているのだと。
 もっと身近に自分の体を見てみるといい。手足など自分の意思で動かせるものもあるが、自律神経のように意思とは無関係にはたらき体内をベストの状態に保ち続けてくれるものもあるのです。体温や呼吸の維持、発汗や食べ物の消化など、生命の維持に必要なことを自律神経のはたらきによって行うことができているというのです。もう自分の意思ではありません。少しこじつけかも知れませんが、生かされているのです。誰によって、それを近藤さんのように先祖と思う方もいるだろうし、仏様と思う人もいるでしょう。そして感謝なのです。

 


(第3567話) その日は突然に

2023年10月10日 | 出来事

 “人生90年とも100年とも言われるようになった。人生の終わりなど想像もつかぬ日々を過ごしていた私が突然、胸の痛みと苦しさに襲われて、病院に担ぎ込まれて緊急手術を受けた。命は助かったが、2ヵ月もの入院となってしまった。
 さあ大変。自分の入院など予想していなかった。何の準備もしていない。子どちらが巣立って、部屋を別々にして20年以上。私の部屋になど入ったこともない夫に「たんすの何番目に入っているあれとこれ持ってきて」とスマホでお願いする。入院当初、病院の食事を受け付けなくて、夫はコンビニのサンドイッチやアイスクリーム、それに新聞など、一日も欠かさず病院の詰め所まで届けてくれた。結婚して50余年。2ヵ月も―人暮らしをさせた上、洗濯などしたことがないのに、私のパンツまで洗わせてしまった。離れて住む娘は見舞いに来て「お父さんも案外やれているじゃない」「お母さんのありがたみが分かったんじゃない」などと言う。けれど、私は夫がいてくれたから、今回の病気を乗り越えられたと思っている。全く人生、何か起こるか分からない。夫より先に逝くかもしれない。突然やって来るその日のために、準備が必要なことをつくづく思い知らされた今回の入院である。”(9月17日付け中日新聞)

 三重県伊勢市の主婦・小熊さん(74)の投稿文です。ボクの妻も昨年、出産以来の入院を2回した。1回目は4日ばかりで、サッと過ぎた。2回目は11日と本格的入院であった。そしてまさに小熊さんの家庭と同じ状況である。まずは洗濯機の使い方から教えてもらわねばならない。順序をメモに書く。してみればそれ程のことではない。でも干して乾かししまい込むとなると、結構な仕事である。もののありかも教えてもらわねばならない。そして食事である。11日分は準備できない。できることはして行ってくれたが、自分でも賄えるものは賄う。近くに住む娘が差し入れもしてくれる。そして何とか乗り切った。
 わが家は突然の入院ではない。あらかじめ用意した入院である。炊事洗濯はほとんどしたことがないボクである。でも何とか乗り切った。もっと長くなったらどうなるか、多分もっと慣れてスムーズにいくだろう。でも大変なことに違いはない。家事は毎日である。
 そして本当の恐れは、妻が先に逝くかもしれない、と言うことである。この病気を知る前は、妻が当然長生きすると思っていた。妻はボクより2歳若い、そして女性は男性より平均寿命が8歳長い。平均で10歳は妻が長生きするはずである。それが怪しくなったのである。ボクの老後はどうなるのだろう。