泡 盛 日 記

演劇人(役者・演出家)丹下一の日記です。

「TIME=時間」について

2024-04-11 13:02:18 | 丹下一の泡盛日記
昨夜、帰宅して連れ合いと録画した映像を見ながら「TIME=時間」について考えていた。
邯鄲の「粥が煮えるまでに50年の人生」と同じような、今までの時間は夢だったのか、という体験を台湾の川床劇団の台南公演で実感したことを思い出したのだ。
たった一人のために上演されるこのパフォーマンスは、指定された市内のカフェに入ることろから始まり、無人の市場(この公演が台南市の芸術祭に参加したから実現した企画)や車で移動して招かれた古い木造の小屋などあちらこちらの移動演劇でもあり、移動中の車の中で隣の座席に座った女優(ダンサー)の動きの美しさは脳に焼き付けられた。
その全てが終了し、こちらで降りて、と車から降りると、目の前に最初のカフェがあった。
その時の衝撃的な「気分」「感覚」は忘れられない。
時間が巻き戻ったようだ、と感じたのだ。
今までのことはカフェの前に立った自分が見た「夢」で、これからカフェに入らないといけない、と感じてしまった。
入らなかったけど、そのドアの前まで行って立って、しばらくその感じを味わっていた。
日本で上演できたら素敵なのに、と考えて、ある財団の人から最近面白い劇団はないかと聞かれた時に話したら「観客一人じゃ話になりません」と。
彼にとって大事なのは期待できる観客数であって、内容は興味ないのが残念だった。
そういえば、時間論(分厚いんだよ、この本が)を読みかけだったことも思い出す。

水曜日の午後は、打ち合わせで新宿まで。
来週からは「小栗判官照手姫」の稽古に入る。
様々なことが周辺で勃発しているが、この時間は再生するための「季節」なのに違いない、と考えている。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする