竹取翁と万葉集のお勉強

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後撰和歌集 巻18 歌番号1255から1259まで

2024年05月16日 | 後撰和歌集 現代語訳 巻18

歌番号一二五五

原文 止遠幾久尓々者部利个留飛止遠美也己尓乃本利多利止

幾々天安比末川尓万宇天幾奈可良止者左利个礼八

読下 遠き国に侍りける人を、京に上りたりと

聞きてあひ待つに、まうで来ながら、訪はざりければ

 

原文 与美飛止之良寸

読下 詠み人知らす

 

原文 伊川之可止満川知乃也末乃左久良者奈万知天毛与曽尓幾久可々奈之左

和歌 いつしかと まつちのやまの さくらはな まちてもよそに きくかかなしさ

読下 いつしかと待乳の山の桜花待ちてもよそに聞くが悲しさ

解釈 いつ、お出でになるかと待つ、その言葉のような遥か彼方の紀伊国の待乳山の桜のように、待っていても私からは遥か遠くにいると噂に聞くことは悲しいことです。

 

歌番号一二五六

原文 堂以之良寸

読下 題知らす

 

原文 以世

読下 伊勢

 

原文 以世和多留可者々曽天与利奈可留礼止々布尓止者礼奴三者宇幾奴女利

和歌 いせわたる かははそてより なかるれと とふにとはれぬ みはうきぬめり

読下 いせ渡る河は袖より流るれど問ふに問はれぬ身は浮きぬめり

解釈 五十瀬と書く「いせ」、その言葉ではありませんが、たくさんの瀬を渡らす大河が、私の流す涙の袖から流れ出ますが、私から貴方の様子を問いかけても、貴方から私を問われない、そのような我が身は、水に浮くではありませんが、悲しみに憂く身なのです。

 

歌番号一二五七

原文 堂以之良寸

読下 題知らす

 

原文 幾多乃部乃比多利乃於本以万宇知幾三

読下 北辺左大臣

 

原文 飛止女多尓美衣奴也末知尓堂川久毛遠多礼寸三可万乃計无利止以不良无

和歌 ひとめたに みえぬやまちに たつくもを たれすみかまの けふりといふらむ

読下 人めだに見えぬ山路に立つ雲を誰れすみがまの煙といふらん

解釈 人が気にもしない山路に立っている雲を、誰が取り立てて、人が住み着いて炭窯の煙と言うでしょうか。

 

歌番号一二五八

原文 越止己乃飛止尓毛安万多止部和礼也安多奈留

己々呂安留止以部利个礼者

読下 男の、人にもあまた問へ。我やあだなる

心ある、と言へりければ

 

原文 以世

読下 伊勢

 

原文 安寸可々者布知世尓加者留己々呂止者美奈加美之毛乃飛止毛以不女利

和歌 あすかかは ふちせにかはる こころとは みなかみしもの ひともいふめり

読下 飛鳥河淵瀬に変る心とはみな上下の人も言ふめり

解釈 (貴方は、自分自身の振る舞いの感想を人に聞けと言いますが、)歌に詠う飛鳥河の変わりやすい淵と瀬、そのれと同じように変わりやすい心持ちと、皆、身分の高い人も低い人も、そのように言うようです。

 

歌番号一二五九

原文 飛止乃武己乃以末満宇天己武止以比天満可利尓

个留可布美遠己寸留飛止安利止幾々天比左之宇

満宇天己佐利个礼者安止宇加多利乃己々呂遠

止利天加久奈武毛宇寸女留止以比川可者之个留

読下 人の婿の、今まうで来む、と言ひてまかりに

けるが、文おこする人ありと聞きて、久しう

まうで来ざりければ、あとうがたりの心を

とりて、かくなむ申すめる、と言ひつかはしける

 

原文 武寸女乃波々

読下 女のはは(女母)

 

原文 以末己武止以比之者可利遠以乃知尓天満川尓遣奴部之佐久左女乃止之

和歌 いまこむと いひしはかりを いのちにて まつにけぬへし さくさめのとし

読下 今来むと言ひしばかりを命にて待つに消ぬべしさくさめの刀自

解釈 すぐに、婚姻の申し込みに伺う、と言った貴方の言葉を命の糧にして娘は待っていましたが、この私は待っている内に命が消えてしまいそうな姑の刀自です。

注意 詞書の「あとうがたり」とは婚姻の申し込みのこと。「さくさめ」は姑のこと。

 

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