逝きし世の面影

政治、経済、社会、宗教などを脈絡無く語る

大山鳴動(異次元の制裁)してネズミ0匹(現状維持)

2017年09月12日 | 東アジア共同体
『竜頭蛇尾どころか、・・・』

北朝鮮のICBM発射に続き6度目の核実験では、日本の安倍晋三首相は石油の全面禁輸などの『異次元の制裁』をぶち上げたが、結果的には大山鳴動してネズミがゼロ匹(現状維持)に終わった。

★注、『ロシアの外交専門家のトンデモナイ「目からウロコ」の説明』

中露を含む安保理五カ国全員が賛成して満場一致で決定された『制裁決議』の意味ですが、実はロシアとか中国が北朝鮮の『制裁に賛成した』との意味では全くないのである。
それではロシアや中国は自分が賛成でもない『制裁決議』に(意に反して)賛成した『別の目的』とは何であったのか。
日本人有識者は2003年にアメリカ(ブッシュ政権)が安保理決議でイラクの大量破壊兵器に対して何の『制裁決議』も可決出来なかったことを根拠にして独自で暴走した(単独で戦争を始めた)ことを全員忘れているが、当たり前ですがロシアも中国も忘れていないのである。
リビアの反政府武装勢力(アルカイダ)を支援した欧米の飛行禁止処置にロシアや中国が賛成したのは、決して『賛成だったから』ではなくてアメリカ単独の先制攻撃を防ぐ目的だったが、共和党ブッシュ政権よりも民主党オバマ政権の方がたちが悪くて、アルカイダを使ってカダフィを殺したが、その後は無政府状態になっている。
現在アメリカは共和党のトランプ政権なので、ロシアも中国も元々の『制裁決議に賛成することで→アメリカの単独攻撃を防ぐ』との従来の方針に戻っていた。

『オルタナティブ(alternative)な北朝鮮ニュース』 

『中国環球時報「韓米が北朝鮮攻撃すれば軍事介入する」』

2017年04月22日 中央日報
中国国営の環球時報が、韓米両国が北朝鮮を攻撃すれば中国も軍事行動を開始するだろうと報道した。
人民日報の姉妹紙・環球時報は、『北朝鮮の核・ミサイル発射と韓米軍事訓練の同時中断』を提案したが韓米両国が受け入れないと主張した。
同紙はトランプ米大統領のツイッターした内容を紹介。 「こうした状況で我々は一歩ずつ前進する漸進的方法を選択する必要がある」と強調。「米国が考慮する『外科手術式攻撃』に対して中国は外交的手段で反対する」。
もし韓米両国が38度線を越えて北朝鮮に攻撃を加え、北朝鮮政権を転覆させようとすれば、中国も直ちに軍事的介入を進行するだろう」。
4月22日 中央日報(抜粋)

『元ネタは同じなのに、・・・韓国の保守系三大紙の「中央日報」と日本のマスメディアは書いている内容が正反対』

読売産経は言うに及ばず朝日や毎日などの全国紙とかテレビのニュースなどの日本の主要なマスメディアですが、安倍晋三のアンダーコントロールが酷すぎて、内容が低下の一途を辿って政府広報紛いの状態に陥っている。
元ネタは同じ環球時報だが、韓国紙(中央日報)は『韓米が北朝鮮攻撃すれば軍事介入する』なのに、日本のマスコミは全員が『米朝戦争が起きても中国は中立を守る』(北朝鮮側に立たない)と報じかたが正反対だったのである。
普通に考えれば、日本か韓国か。何れかが明らかなフェイクニュース(デマ)でる。
中国共産党の環球時報の当該記事を読んでみると、確かに日本のマスコミが報じたように、『米朝戦争が起きても中国は中立を守る』(北朝鮮側に立たない)とはっきり書いてある。
ただし『北朝鮮が先制攻撃したら』との条件付きだった。
これは当たり前で、北朝鮮が勝手に戦争を始めて自動的に中国が巻き込まれたら大迷惑。中国共産党の環球時報が『中立だ』(勝手に北朝鮮が戦争をするなら。中国は助けない)と言ったのは当然だったのである。
その続きが韓国紙(中央日報)の書いた『韓米が北朝鮮攻撃すれば軍事介入する』との厳重警告だった。
中朝両国間の軍事同盟は北朝鮮の核やミサイル実験には影響されておらず、今でも健在だった。(アメリカ軍は北朝鮮単独なら勝てても、中国軍相手なら必ず長期戦の泥沼になり勝てない)

★注、日本の場合にはアンダーコントロールが弱い(権威や信用度が低い)スポーツ紙やエロ系の大衆紙の方が余程信用できるでしょう。
北朝鮮のICBMや水爆実験で、日本のマスコミも変化していて大手新聞社も環球時報が『中立だ』『勝手にしろ』と言ったのは『北朝鮮が先制攻撃した場合には、』との一番大事な付帯条件をやっと報じ出した。確実に世の中は変わりつつある。

『猪木氏「北朝鮮の空気が変わってきている」一問一答』9/11(月) 日刊スポーツ 北朝鮮を訪問していたアントニオ猪木参院議員(74)会見要旨

猪木氏 
今回のテーマは、1つには自民党の中の、ある方が正式ではないんですが、出来るだけ早く訪朝したいという意向を(北朝鮮側に)伝えました。
「前向きに、猪木先生の意向に沿う形にします」と返事ももらいました。
訪朝議員団を結成した場合、受けてもらえますか? と話をしたら「喜んで、ぜひぜひ」と。平壌宣言の問題もありますが、ひざを付き合わせない限り、向こうの言い分も分からない。
核ミサイルの問題も、ちょっと触れました。この核開発がいつまで続けるんですかと聞いたら「米国と国際社会が圧力を加える限り、我々は実験を続け、よりレベルの高いものにしていきます」という答えでした。
空気が変わってきている。
政治の世界は表と裏がありますので、本音の話の部分は、話し合いをしないとしょうがない。
日本政府が取ってきた圧力、圧力(の外交路線)から、話し合いの空気に変わってきている。話さないと、しょうがないだろう…ずっと私が言ってきている。人の流れを絶やさないこと。今は日本側がドアを全く閉ざしている状況。制裁も何も、加えるのは簡単だが解除(するのは難しい)…北朝鮮の片棒を担いでいるんじゃないかと言う人もいるかも知れませんが、そうじゃなくお互いの言い分もある(から対話が必要)。

(金正恩)委員長はその席には出ていない。8日は労働党で1時間15分、話した中で核のことを話した。私の勝手な考えとしか言えないのかも知れないが(北朝鮮側は)とにかく話し合いをしたいという意向は持っている 。
訪朝団が来れば、引っ掛かっている話を含め、次の段階に入ることが出来る。核の1番の被害者は日本で、もっと、日本が手を振り上げてでも世界に訴えて欲しいという、私なりの意見も申し上げた。
 
グアム(ミサイルを発射)については話はしない。安保理の件は「制裁を加えるなら、我々は技術を開発して強固なものになる」という答えでした。

(核実験に成功し自信を)つけているんじゃないですかね? ここまで強気で突っ張っていくという部分からみても。ただ「猪木先生の提案(議員の訪朝)については、出来るだけ我々も前向きに検討します」と言っていました。

(拉致問題は)ちょっと触れましたけど、毎回、平壌宣言の解決で、という話。

(核弾頭の搭載など具体的な話は)そこまで私は突っ込んでいない。かなり固くなる話なので、やんわりと質問した。いろいろな方が行かれて、ひざを突き合わせれば。

(訪朝団について)ずばり自民党という名前を出させてもらった。出来れば超党派という話になりますけど、政権を持っている自民党がどう決断するか、ということだと思います。

猪木氏は疲労感をにじませながらも、報道陣の質問に対し、北朝鮮で見たこと、話したことなどを繰り返し、丁寧に説明した。その上で、対話の重要性を訴えた。
9/11 日刊スポーツ
(憑き物が落ちた?軍事馬鹿の田母神俊雄とかスポーツバカのアントニオ猪木が日本共産党の志位和夫よりも左翼的で政治見識が高い識者だったとの笑い話)

『クラウゼヴィッツの「戦争論」を読まずに、「核ドミノ」論を語る不見識』

『戦争は他の手段を持ってする政治の継続である』(政治・経済の延長が戦争である)とのクラウゼヴィッツの『戦争論』を頭から無視した議論が横行しているが、その最たるものが『北朝鮮』が核を持てば、→日本にも韓国にも台湾にも連鎖するとの『核ドミノ』論であろう。
1960年頃のアメリカですが、『ベトナムが共産化するとタイやマレーシアも共産化する』(だから今のベトナム戦争は正しい)との非科学的で無茶苦茶なドミノ論で、米軍による非人道的な侵略戦争を正当化していた。
ベトナム人が求めていたのは植民地からの自主独立(民族解放)であり、その独立運動の主力がたまたまホーチミン(べトミン)の共産党だっただけ。コミンテルン(世界共産党)による革命運動とは直接的には関係が無かったのである。
そもそも個別の条件を無視した『ドミノ』理論は無理筋だった。
ロシアのプーチンが指摘すうように北朝鮮が雑草を食っても核開発をしている原因とは『朝鮮戦争が今も終わっていない』ことに尽きるのである。
もしもアメリカが朝鮮戦争を終わらせずに『北の核』を容認すれば、必ず南朝鮮(韓国)でも日本でも(ひょっとしたら台湾でも)核武装論が当然の問題となる。(大統領選挙の最中にトランプが、日本や韓国の核武装に言及していた)

『安保理常任理事国(米ロ英仏中の5カ国)以外の核武装国に共通するお家の事情とは何か、』

1947年の分離独立以来インドとパキスタンは4度も全面戦争を行っている敵国同士であり、両国の間には平和条約が無く国境線も確定していない。停戦しているだけで事実上、戦争が継続している一番危険な状態だったのである。
だからインドとパキスタンの双方は核武装する必要性が存在した。
同じく核武装しているイスラエルも事情は全く同じで、1948年の建国宣言以来周辺アラブ諸国との間で4度の全面戦争(最初の3回はイスラエルの奇襲で、4回目はアラブ側の奇襲攻撃)を経験していた。置かれた条件がインドとパキスタンとまったく同じなのである。
だからイスラエルは核武装した。
世界最初の核実験は1945年トリニティ実験 (Trinity)のアメリカだった。ソ連は1949年、イギリスは1952年、フランスは1960年、中国は1964年。
フランスが核武装したからと言って、隣国のドイツやイタリアやスペインが核武装するなどの話は出ていない(核ドミノ論が出ない)原因とは『戦争状態ではない』からなのである。
今の北朝鮮ですが1953年の朝鮮戦争休戦協定から半世紀以上も事実上戦争が継続中であり、インドとパキスタン、イスラエル以上に『核兵器』を必要としているのである。(原因と結果の因果関係がこれほどはっきりして話も滅多にない)
北朝鮮に核の放棄を迫るなら、平和条約締結による朝鮮戦争の平和解決(米朝和解)以外の道が無い。ところが、これが一番難しい(今の日本にしても韓国にしても同じで、1945年の敗戦から72年の「戦後レジューム」ではなくて、1953年から64年間続いている『朝鮮戦争停戦レジューム』だった)



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1 コメント

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『空振りのマスコミ戦争ラッパ』 (ローレライ)
2017-09-13 08:58:03
『中国ロシア検定下の安保理決議』に『空振りのマスコミ戦争ラッパ』と言う所。
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