平成28年10月8日(土)
「おひまち」という言葉をご存じでしょうか。「お日待」とも書きますが、10月の中旬に「五穀豊穣」を祈り、秋の収穫に感謝する地域行事です。「おひまち」がない地域は、「秋まつり」として実施しているところもあるようです。
詳しくは、それぞれ調べていただけると面白いと思います。
(「おひまち」開催を知らせるポスター)
(幟と紅白幕でお祭りを演出)
(夜の帳がおりて、提灯が灯ると祭りは最高潮に)
(境内には多くの出店が出て、また、テーブルでくつろぐ地域住民の姿が)
(地域の青年団が、屋台で祭りの雰囲気を盛り上げる)
(奥の舞台では、郷土芸能が披露された)
さて、先ほどの慣習に倣い、私の住む地域も、10月14日に近い第2土曜日に「おひまち」が開催されます。今日は、14日に近い第2土曜日ではありませんが、市内各地で「おひまち」が開催されました。
慣習を破る日程ですが、聞いてみると秋は毎週どこかでイベントが開催され、「まちづくり」と称される市民活動は、一地域内で収まりません。隣り合った地域や市内をいくつかのゾーンに分けるとか、市全体を活動範囲とする市民活動など、活動範囲が居住地域外に広がっています。
「おひまち」は、古くから伝わるどこにでもあった風習ですが、新しく形成された団地のような市街地や、古くても「おひまち」をやっていない地域、人口が減少したことにより、かつての行事が存続できなくなった地域などがあり、「おひまち」ルールが広く定着しているわけではないようにも感じます。
今日の開催について聞いてみると、来週は様々な行事が密集し、特にルールに沿った開催予定日は15日ですが、翌日16日に区民体育祭や市民全体の行事である福祉まつりが予定され、それに配慮した日程変更となったようです。
富士市では、市民全世帯に市内各地のイベント情報を記したカレンダーを配布します。改めてこれを見てみると、行事の多さに驚きます。しかも、カレンダーにすべてのイベントが記載されているわけではありませんので、その数は想像を超えるものがあります。
しかし、イベントは、市民活動の一環ですから、その数が多いということは地域が活性化しているという意味にとれます。
議員としての立場から、各地からイベント開催のご案内をいただき、可能な限り出席をさせていただきます。その度に感じるのは、地域毎に、どのイベントにも同じ顔ぶれが役員として連ねていることも少なくなく、イベントの企画から準備、運営、片付けなどを考えると、大変な仕事をこなしていることが想像できます。改めて、そのご尽力に頭が下がる思いですが、役員の皆さんにお聞きしてみると、本音はかなり無理をされていることも感じました。
特に町内会長さん達は、地域行事以外の本来の仕事も多く、作業量を減らしたいという意見も聞こえてきます。その負担は、町内会長の受け手がいないということにもつながり、その他のまちづくり役員も同様な課題があると聞きます。
まちづくりにおいても、多忙な時代を迎えたことを改めて感じました。
「おひまち」の話に戻りましょう。
今日訪問させていただいた「おひまち」は7箇所。どこも氏神さんを祀る神社境内が会場です。きれいに飾りをつけた氏社には、多くの善男善女が子どもから大人まで集まり、太鼓や鐘の音、神楽などの郷土芸能を楽しみ、外から来た私も心地よい空気を感じました。
役員は大変な仕事だろうと想像しつつ、感想を求めたところ、「地域の笑顔をこんなにいっぱい見ることができて、その苦労はどこかに行ってしまった。」と話されていました。
今、地域の文化を次世代につなげていこうという機運があります。昔から受け継がれてきた「おひまち」は、肩の力を抜いて地域文化を継承できる、素晴らしい行事であることを再認識しました。