鈴木すみよしブログ

身近な県政にするために。

伊豆半島南部地域行政関係者との意見交換から

2023年09月18日 | 議会活動
令和5年9月18日(月)

 先週末、伊豆半島南部地域行政関係者との意見交換のため、下田市をはじめとする1市5町からなる賀茂地域に出向き、2町長と県の出先機関の責任者との意見交換を行いました。
 私はこの3月まで、県監査委員としてこの地域の県出先機関に出向き、監査の視点で調査を行いましたが、半年ぶりに地域の現状についてお聞きし、改めて過疎化が進むこの地域の現状の厳しさを実感し、これまで以上に踏み込んだ対策を講じていく必要があると実感しています。


(西伊豆町町と意見交換)


(南伊豆町長と意見交換)



(県出先機関責任者との意見交換)

 西伊豆町長ならびに南伊豆町長からは、それぞれの町の課題をお聞きしましたが、共通しているのは急激に進む高齢化と人口減少による過疎化に、単独では限界があり、地域の特性に合った県などの外部からの支援を強く求めていることです。
 伊豆半島地域を支えているのは観光産業で、新型コロナウイルス感染症により大きなダメージを受けたものの、4月以降は大きな回復傾向にあります。しかし細かく見ていくと、熱海市や伊東市、伊豆市などの交通の便の良い場所までは回復していますが、それから南の地域は遅れています。
 交通網の整備はこの地域の活性化に重要であり、現在建設が進む伊豆縦貫道には大きな期待がかかりますが、完成までには長い年月がかかり、その間に進むであろう地域の衰退は大変気になるところです。マリンスポーツやサイクリングなど、新たなメニューによる来訪者も増えているようですが、限定的と言えます。

 南伊豆町には100度の温泉を活用した温室栽培があり、メロンなどの栽培が行われています。昨今のエネルギー高騰を考えると、まさにこのような農業には最適な場所と思われますが、継承する人がおらず、このような地域資源の良さが失われていくことも聞きました。農業に参入したい若い人も出てきており、マッチングも必要と感じています。ただ、生活環境が整ってないと、移住や定住にはつながりません。

 県の出先機関の責任者からは、県の立場で賀茂地域を支援しているものの、その効果は限定的で大きな危機感を抱えていることが報告されました。この地域の総人口は5万7千人ほどで、高齢化率は県平均が30.4%に対し、46.3%です。一番低い下田市は42.7%、一番高い西伊豆町は52.6%です。産業別就業人口はどの地域も第三次産業が70%以上で観光が主力産業となっています。人口減少は県のピークよりも10年以上前から始まり、減少傾向は加速しています。

 賀茂地域振興を統括している県の責任者によれば、この地域の重要課題は三つあり、医療危機が他地域に比べて深刻で、特に救急体制の脆弱さは地域内での医療体制が整わず、域外への救急搬送が重要となりますが、交通網も脆弱で命を守ることに苦慮している。命の道となる道路整備は一刻も早く願うところだ。
 地震・津波に関しても特に津波の影響が大きく、災害が発生した場合に救援などが届くまでには時間がかかり、地域防災力の強化で乗り越えていくことが重要。
 平成の大合併の機を逃し、広域連携の強化がなければ地域の生き残りも危ぶまれる。県としての支援は重要と述べています。

 半年前の監査の時には、域内首長の意見を聞く機会はありませんでした。今回、その機会を得て、さらに県の担当者の話を聞くと、より一層の危機感を持っています。県庁にて議論する内容には、現地の危機感はあまり伝わってきません。この地域の特化した取組、半島でつながっているとはいえ、「陸の孤島」という表現が当てはまるこの地域は、視点を変えてこの地域に特化した対策を講じていく必要性を感じました。
コメント
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