鈴木すみよしブログ

身近な県政にするために。

国のこども・子育て政策の強化

2023年05月12日 | 議会活動
令和5年5月12日(金) 

 今年4月1日、こども家庭庁は「次元の異なる少子化対策を実現」を目標に発足しました。そのホームページでは冒頭で次のように設立の目的を伝えています。
 「こども家庭庁は、こどもがまんなかの社会を実現するために、こどもの視点に立って意見を聴き、こどもにとっていちばんの利益を考え、こどもと家庭の、福祉や健康の向上を支援し、こどもの権利を守るためのこども政策に強力なリーダーシップをもって取組みます。」

 少子化は社会の喫緊の課題であり、長くその対応策に取り組んできました。しかし、一向に改善の見通しは立たず、国はその課題に特化した所管庁を設置し、取り組もうとしています。

 先日、全国都道府県議会議長会の会報には、「こども・子育て政策の強化について(試案)」と題した資料が記載されていました。私たち地方議会は、この国の動きを十分に理解し、地方の実情に合った施策展開を提言していく必要があります。まずは国が示す取組の概要について触れてみたいと思います。

 国の試算では、2030年は少子化対策の分水嶺と表現しています。現状のまま進み30年代に入ると日本の若年人口は現在の倍速で急減し、少子化はもはや歯止めの利かない状況になるとされ、これからの6~7年が、少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンスとみています。

 少子化対策の基本スタンスでは、結婚やこどもを産み、育てることに対する多様な価値観・考え方を尊重しつつ、若い世代が希望通り結婚し、希望する誰もがこどもを産み、育てることができるようにすること、すなわち個人の幸福追求を支援することで、結果として少子化のトレンドを反転させる。
 少子化のトレンドを反転させることは、経済活動の活性化、社会保障機能の安定化、労働供給や地域・社会の担い手の増加など、わが国の社会全体にも寄与。「未来への投資」としてこども・子育て政策を強化するとともに、社会全体でこども・子育てを支えていくという意識を醸成することが必要としています。

 基本理念では、①若い世代の所得を増やす。(賃上げや雇用のセーフィティネット構築など)。②社会全体の構造・意識を変える(「共働き・共子育ての推進」、「こども・子育てにやさしい社会づくりのための意識改革」)。③全ての子育て世帯を切れ目なく支援する(「ライフステージを通じた子育てに係る経済的支援の強化」、「全てのこども・子育て世帯を対象とするサービスの拡充」等を掲げています。

 ここではボリュームが多いので記述しませんが、基本理念に掲げた個々の取組を実現するため、今後3年間に実施する「こども・子育て支援加速化プラン」を策定し、具体的な施策を列挙しています。

 国が危機感を持って取り組むことは評価しつつも、6~7年で実績を上げるためには、相当の財源確保と覚悟が必要です。また、冒頭で触れた「こどもの視点に立って意見を聴き、こどもにとっていちばんの利益」が肝のように感じます。受益者の意見が施策に生かされるよう十分な配慮が必要と考えます。
 地方自治体も地方の実情に合った施策を早急に立案し、これまで以上に本腰を入れる必要があります。県議会もその責任の一端を担うことを自覚して、取り組んでいきたいと思います。
コメント
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