鈴木すみよしブログ

身近な県政にするために。

自然に親しむ子どもが少なくなった

2020年11月25日 | 議会活動

令和2年11月25日(水)

 

 先日ブログに載せたNPO法人が主催する「心身ともに健康なまちづくりスタディセッション」では、「統合医療」のパイオニアである富士宮市在住で朝霧高原診療所院長の山本竜降氏の活動について触れました。

 その講演内容について、私も共感したものがあり、記事として載せられなかったので追加したいと思います。

 

 それは、子ども達の自然体験の大切さについてでした。山本氏は講演の中で「自然から遠ざかるほど病気に近づく」というヒポクラテスの言葉を引用しています。人が健康でいられるためには自然の力を欠くことはできず、自然は人にとって「癒やしの空間」を想起する重要な構成要素であり、それには花、樹木、草、森、水、川、空、海などがあります。

 

 自然に親しむ力をつけるためには子どもの頃からの体験が重要です。しかし、子ども達の親世代も自然体験が豊富だとは言いがたい育ち方をしてきました。私が20年前から取り組む環境教育において、地域の自然をフィールドとした活動においては、子ども以上に親の体験不足を痛感する場面が幾度もありました。

 私が環境教育に関わり始めたのは、子どもの頃から遊び場だった自宅近くの小川や雑木林での遊びとしての体験を、次世代にも繋げていきたい。しかし、これらの自然がどんどん少なくなることへの懸念があり、残すべき貴重な地域資源を実感して欲しいと考えたことからでした。また、自宅の中においてテレビゲームで過ごす子どもの多さや、「キレる」、「我慢できない」、「人の痛みが分からない」、「いじめ」、「登校拒否」などの子ども達を巡る問題が山積している時期でもありました。平成13年頃、文部科学省が発表したこれらの問題と自然体験との関連について調査した資料を目にし、自然体験が子どもの成長に及ぼす好影響を考えた時に、改めて子ども達に自然体験の機会を増やしたいと強く感じたことがきっかけとなっています。親世代が自分の子どもに自然体験をさせることが困難であれば、経験ある地域の大人がその代わりを受け持っても良いのではと考えたからです。

 

 今回の講演で示された資料には、耳を疑いたくなるような事例もありました。川村学園女子大学が2004年に小学校5年生から中学校2年生を対象とした調査では、「日の出、日の入りを1回も見たことがない」と答えた子どもは50%を超えていた。救急医療センターでは、蚊に1カ所だけ刺された男児を、父親が連れてくるケースがあり、他に異常な状況も見受けられなかった。蝉をつかめない子どもがいて、掴み方の加減が分からないようであった。魚の絵を描くように指示をすると、約半数が切り身の魚になる。土や虫は汚いもので、除外しなければならないと考えている子がいた等です。

 

 講師は、「子どもがするべき30の自然体験」として、「自然の直接体験」、「自然の恩恵」、「生き物から学ぶ」を挙げています。説明で使われた映像がありますので参考にしてください。

 

 今回の講演の題材は、「統合医療」の理解と高齢化社会を迎えるにあたり取り組んでいる医療と介護、地域で生活を支え合う仕組みである「地域包括ケアシステム」の構築についてでありますが、年齢に関係なく人と自然との関係の重要さについて触れています。子どもの頃からの自然体験が豊富なことは、将来さらに加速する高齢化社会に負けない大人になるために必要なことと再認識しました。

コメント
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