鈴木すみよしブログ

身近な県政にするために。

県議会産業委員会 県外視察 八女市・熊本市

2018年01月17日 | 議会活動

 

平成30年1月17日(水)

 

 静岡県議会産業委員会の県外視察の二日目は、福岡県八女市の「茶の文化館」と熊本市の「フードパル熊本」を視察しました。

 

 八女市の「茶の文化館」は、旧八女郡星野村が茶の振興等を目的として、平成6年に開設した施設です。平成29年には茶の体験施設等の目的として改装されました。静岡県は本年3月に島田市にお茶の振興を図るための施設がオープンする予定で、その運営について参考とするために視察したものです。

 

 星野村でのお茶の始まりは、室町時代に遡るともいわれ、隣の黒木町霊巌寺から伝わったといわれています。明治に入ってからは、本星野の末﨑喜市翁が積極的に高品質なお茶の生産に取り組み、京都宇治から玉露の製法を学んだことが、星野玉露の原点となりました。以来、「藁覆い」による被覆栽培、手摘みによる摘採を守り続け、高品質の玉露茶を生産しています。

 「茶の文化館」では、展示ホールではお茶の育成や製法、種類等をパネルなどで紹介しています。また、八女茶工房では、お茶づくりや和菓子づくりなど、お茶に関する体験ができ、子どもから年配の方まで楽しみながらお茶のことを学べる施設となっています。

 私達も、施設の説明を受け、施設内を見学させていただきました。また、伝統本玉露である「しずく茶」という新しい飲み方を体験しました。玉露の味と香りを楽しみ、最後には茶葉を食べ、普段からお茶に慣れ親しんでいるにもかかわらず、新鮮な体験となりました。

(八女市星野の集落)


(お茶の伝承館)


(体験学習ができる)


(お茶で初めてGIを取得)

 

(八女茶を学ぶ)


 「八女伝統本玉露」は、お茶で唯一、GI(地理的表示)を取得しています。しかし、これによって茶の価格が上がったり、行政から特別な支援があるわけではありません。担当者の説明によれば、「単なる名刺」という見方をしています。これをどう、実態として光らせるか、市の担当者にお聞きしました。

 そこで取り組んだのは、「八女ブランディング事業」の展開です。目標は「世界最強のお茶へ」で、シャンパンでいえば、ドン・ペリヨンを目指すというものです。具体的には、次のように取り組んでいます。

 日本でもトップクラスの発信力のある人を探す。統一のロゴとパッケージをつくる。公式のホームページを立ち上げる。東京をはじめアメリカ(ニューヨークなど)でのエキジビジョンの実現。ソムリエをうならせるなどです。これらを実現させたことにより、国際的にも関心が高まり、高価な玉露のブランド化が進みつつあります。実際に、東京の大手デパートでも、八女伝統玉露は引き合いが出てきたということでした。

 ブランド化に欠かせないのは、プロデューサーの存在が重要です。そのアプローチについて説明をいただきましたが、大変、刺激的な内容でした。

 お茶をめぐる環境は大変厳しいものがありますが、今後の大きな取り組みは、高級ブランド化されたお茶が、高級レストランで飲まれる体制を確立することといいます。今後は、お茶に合うスイーツに挑戦していきたいとのことでした。

(八女茶のブランド化に取り組む市職員)


(これまでの茶の商いを全面的に見直す)


 

 次に視察したのは、熊本市にある「フードパル熊本」で、全国初の生活者交流型食品工業団地で、食のテーマパークとして平成9年にオープンし、現在、24社の食品工場が集積しています。簡単に言えば、「工場見学ができ、子どもから大人までが楽しめる製造・販売・遊が一体となった工業団地」です。平成20年には、農林水産省・経済産業省による農商工連携88選に選定されました。

 コンセプトは、生活者との交流、意欲的な企業づくり、質の高い就労環境、地域農業との連携、環境との調和を挙げています。団地内は環境に配慮し、建築協定(高さ制限13mまで)、環境景観協定などが締結されています。食品工業団地に必要な、上水道や排水環境も整備され、企業が進出しやすいということでした。

 今後は、地域農業との連携強化(地元特産品の販路拡大による地域活性化)、産業観光として誘客の核に、新製品開発(農・商工・学連携による、新製品・フードパルブランドの創出)を目指すとしています。

(フードパル熊本で取り組みイベントの一例)


(フードパル熊本の取り組みを説明する担当者)

 

(介護の必要な人用に開発された各種のムース)

 

 先進地の視察は、時としてこれでいいのかと思うこともあります。しかし、何よりも大切なことは、その取り組みが実践的に成果を現していることです。私達の物差しは時として現実的ではないことがあります。だから、視察という先進事例を見ることが大切です。今回の視察も、我々の考えを超えた取り組みに脱帽しています。

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