鈴木すみよしブログ

身近な県政にするために。

県議会産業委員会 県外視察 福岡市

2018年01月16日 | 議会活動

平成30年1月16日(火)

 

 静岡県議会議員産業委員会の県外視察で、今日から福岡県と熊本県に来ています。初日の今日は、福岡市の食肉市場と同じく中部水処理センターの2箇所を視察しました。県外視察は、例年10月頃実施していますが、今年度は衆議院議員選挙と重なったことで、年明けのこの時期となりました。

 

 福岡市食肉市場は、昭和34年に九州唯一の食肉中央卸売市場として開設されました。この施設は、最高水準の衛生管理体制を備えたと畜場と部分肉加工施設を併設し、食肉市場としては日本初となるISO9001を取得し、2年前にはHASSAP(食品衛生管理)に基づく、食品の安全性に特化したISO22000を認証取得しています。本県では今後県内に食肉センターの設置を計画していますが、この先進事例を調査するために視察させていただきました。

 

 説明を聞いた後の質疑応答では、今後の課題として、牛や豚の集荷量が減る傾向で、その確保に努めていかねばならないこと。その背景には、牛や豚を育てる農家が減少していることが挙げられ、農家の高齢化と担い手不足が大きな原因であること。また、九州には30箇所の食肉センターがあり、これらとの競合による確保が課題ということでした。このところ豚の集荷は増えているようですが、牛は減っており、短期間で育つ豚と生育に時間のかかる牛との違いがあるとのことでした。農家にとっても、収益やリスクを考慮してのことかもしれません。

 他の施設との競合では、畜産の先進地である鹿児島県や宮崎県にも進出することが必要で、高速道路の開通により、途中に中継拠点を設けて、小口の農家との取引が可能となったといいます。 

 

 食肉についても、ブランド化による影響は大きく、消費者が好む味覚に合わせた品種などへの挑戦も欠かせないということでした。かつては、サシの入った肉が好まれましたが、現在は赤身も人気があり、それらへの対応も必要ということです。

(施設の入り口にて)


(関係者から説明を受ける)


(施設の概要を説明していただく)


(競りを行う環境。高度な情報システムの導入として説明を受けた)


(食肉処理の現場) 

 そのほか、ISOの取得について、意義や取得手続き、手順書の作成、衛生管理のあり方などについても質疑応答がありました。

 

 2箇所目は、福岡市中部水処理センターで、水素エネルギー関連産業の振興を目的として、福岡市が進める「水素リーダー都市プロジェクト」の拠点を視察しました。

下水道汚泥の処理過程で発生するバイオガスから水素を生成し、その水素を燃料電池自動車へ充填する世界初の設備を持っています。

 

 FCV(水素燃料自動車)は、今回の視察の中でどのような位置づけかも関心事の一つとして視察しました。水素を燃料電池として電気を発生させ、動力源はモーターで動く自動車ですが、現在価格は800万円以上もする高価なものです。国は補助金を出して購入しやすい環境をつくっていますが、それでも高いというのが私の感想です。

 福岡市がなぜ水素自動車に取り組むのかといえば、水素はクリーンエネルギーとして、化石燃料の代替えによる二酸化炭素増加の抑制に効果があります。また、新しい産業の創出や災害に強いまちづくりに貢献するとしています。新しい産業とは、関連産業の振興に影響する(裾が広い)ことが挙げられます。災害関係では、FCVは外部への電源供給が可能で、災害時には移動電源車の活用が期待されています。

 そのような効果があっても、国だけでなく福岡県や福岡市でも支援の助成金を準備しましたが、結果は市民の申し込みがなかったということでした。

 福岡市の水素エネルギーの導入についての優位性は、世界トップクラスの水素研究拠点である九州大学の存在があること。福岡県が進める「福岡水素エネルギー戦略会議」などによる産官学の取り組みに参加しやすいこと。地域の企業が取り組む水素エネルギーの事業展開があることで、FCV・ステーション先行配備地域に指定されている環境などがあります、市内には、4箇所の水素ステーションや約50台のFCVが走行していることなどが挙げられます。しかし、水素エネルギーの活用はFCVだけでは広がりません。今後は、FCVのような燃料電池モビリティ以外でも、需要の拡大に向け取り組んでいくとしています。

(施設概要を聞く)


(下水汚泥から水素をつくるプロセス)


(下水道汚泥から生成した水素をFCVに充填する水素ステーション)


(下水道汚泥から水素を生成するプラント) 

 静岡県ではまだ先に取り組む課題ですが、福岡市では先進的といっても良い取り組みが大いに参考となりました。

コメント
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