まこの時間

毎日の生活の中の小さな癒しと、笑いを求めて。

名古屋場所こぼれ話

2008-07-23 | 暮らし

父は昔からせっかちだ。言い換えればおっちょこちょいなのだ。
もちろんそのDNAは完璧に娘に引き継がれた。
父はO型、母はAB、弟はA型、わたしはB型。
血液一家離散だ。誰が交通事故にあって出血多量になっても救えない。
その救えない状況は、常に日常にもある。
父は、ホテルの朝食では、杖をついているくせに、お盆を片手に、バイキングでは誰よりも早く食べ物を取り席についていた。
わたしはお粥、母はごはんをよそっていたら、
「ごはんあったんか・・」と、言う。
替えてくるか?と、聞くとわしはパン食でいいんや。
と、笑いながら誰かのを見て
「パン焼けばよかった・・」パンの前にオーブントースターがあったのに、全く目に入っていない。

ついでに、父も弟も7時の朝食に旅行カバンを持ってきていた。
「バス旅行じゃないんやから、いっぺん部屋へ戻って歯を磨いてゆっくり出ればいいがいね」と、言うと「歯を磨いてきたしいいんや」と、負けていない。

また、一番几帳面で信頼の弟も、気を使ってくれてホスト役で気配りしていたのに喫煙ルームと禁煙を間違えたことに後で気づいた。
母と私は6Fで、クリーンな禁煙ルームで、自分はタバコを吸いたいため7Fの喫煙の階を取ったと思っていたが、逆であったことを翌日の朝に白状した。
「それなら、同じ階でもよかったねぇ。そういえばタバコ臭い気もしたわ」
と母。わたしは、ぼおっとしていた。

母は夜、窓から名古屋城がライトアップされているのを見て
「きれいやぁ。父ちゃんの階からもお城が見えるやろか。」と、やたら心配していたので弟に電話する。
弟は眠そうに「見えるよ・・。もううたた寝しとったのに・」だった。
母は、やはり父を愛しているのだなあと思った。
わたしは、名古屋城を見て旦那に見せたいとは露ほども思っていなかった。



帰りのホームで「ひやしきしめん」を立ち食いすることにした。
母は何も食べたくないので、カバンの番をしているという。
父とふたりで立ち食いの「ひやしきしめん」を注文する。
父はおごってやると言って、ふたりで700円を出す。
ふと横の人の熱いきしめんを見て「熱そうやな。食べれるかな」という。
「あのね、冷やしきしめん頼んだんやぞ」というと、
「ぶふふ」と、恥ずかしがっていた。
その後、どうもこれが悪かったのか、父は敦賀を過ぎてから吐き気をもよおし、
わたしは、下痢をした。
トイレへ行きたいと思うが、こういうときに限って、車内販売のワゴンが通路を塞いでいる。
欲しいときは、ふりむくとデッキの向こうにいるくせに、どいて欲しいときは、やたら人気であちこちで呼び止められている気がする。

父もわたしも食いしん坊が祟ったのである。
母は、何も食べずに車内販売のサンドイッチを買って食べていた。
冷やしきしめんは確かにまずかった。

概ね大過なく過ごした名古屋場所で、最後に落ちがついた。