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【バブル崩壊とC/Fが高めた企業のキャッシュ信奉】日本企業の「キャッシュリッチ」ぶりに思うこと②

2016-11-29 00:02:59 | 日本

前回からの続き)

 日本企業の手持ちキャッシュ(現金預金)が過去最高額に達している―――これには1980年代後半から90年代にかけてのバブルの発生と崩壊が大きく影響しています。前回書いたとおり、90年代初頭のバブル崩壊により企業の多くが一転、過剰債務の処理に追われるようになり、なかには破綻してしまうところも出てきました。それらの多くは俗に「黒字倒産」と呼ばれたように、損益計算書では利益が出ていたにもかかわらず、資金ショートに追い込まれて次々に倒れてしまったわけです。周囲のそんな惨状を目の当たりにした企業の経営者には、借金の支払いに充当するキャッシュがいかに大切か、という思いが強くなっていきました。

 ポストバブル期のそんな状況のもと、キャッシュフロー計算書」(C/F)の作成が1999年度から上場企業に義務付けられたことも、企業のキャッシュ信奉を高める契機になったと考えられます。C/Fは投資家に対して企業の支払い能力等に関する情報を開示させるもの(従来の貸借対照表および損益計算書とこのC/Fの3つは「財務三表」と呼ばれている)。これをひとつのきっかけにわが国の企業は、自身資産に対する投資家の疑心暗鬼を払しょくするべく、さらに(マーケットの攻撃から身を守るためにも)支払い能力を向上させるために、手持ち現金預金をいっそう厚くするようになったと推測されます。

 ・・・バブル期以降の上記のような経緯が前述、本邦企業の現在の「キャッシュリッチ」ぶりにつながったと考えています。こう振り返ってみると、企業が抱えるこの潤沢な現金預金の背後には、それなりに合理的な経営判断があったということもできるかと思います。

 それにしても・・・近年、とくに(第二次)安倍政権発足(2012年)以降の企業内キャッシュ増加の勢いは急だといえます。前回ご紹介の上記グラフでも読み取れるように、2011年度から2015年度までの4年間で44兆円あまり、率で21%以上も増えています(2015年度は前年比で15.4兆円、率で約6.5%も増加)。わが国ではバブルの後始末も終わり、上場企業大半の自己資本は強固になっているから、各社はそこまで現ナマにこだわらなくてもよさそう。それに前述のとおり、キャッシュほどは企業の売上高や経常利益が増えているわけではないのに・・・

 ではどうしてここ4~5年、企業の持つ現金・預金の額が急増しているのか?―――これは本ブログでしばしばご紹介している通貨の強さの序列を示す不等式「(金>)円>ドル>ユーロ>新興国通貨」で説明がつけられるところと思います。

続く

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