(前回からの続き)
日本政府が尖閣諸島の有人防衛化に着手しない理由ですが・・・やはり胸のうちで、これによって中国との関係をさらに悪化させたくはない、という意識が強く働いているためではないか。かりに自衛隊が魚釣島などに常駐拠点を作ったら当然、中国は猛抗議をしてくるとともに、周辺海域に巡視艇どころか軍艦とか戦闘機をいま以上に送り込んでくるでしょう。これらによって日中関係は一気に緊張し、さらに冷え込んでしまう。であれば、中国をいたずらに刺激しないように無人のまま放置しておこう、幸いアメリカ様が「尖閣諸島は日米安保の適用範囲」と言ってくれているわけだし・・・といったあたりではないでしょうか、政府の考えは。
・・・でもこれは、尖閣が日本の固有の領土であるとする政府の公式見解と矛盾します。というのは、もし上記が本心ならば、自衛隊を配置することにためらいを感じさせるほどの激しい対立が尖閣諸島の領有権を巡って日中間に存在することを政府自らが認めることになってしまうからです。「尖閣は日本領だ。だから自衛隊の基地を作ることに関して外国にあれこれ言われる筋合いはない!」という正論を口に出せず、行動に移せないということになります。
・・・まあこのあたりは分かる気はしますけれどね、外交当事者はたいへんですから・・・。でもそんな遠慮をいつまでもしていたら、上述のとおり、尖閣が第二の竹島になってしまうかもしれませんよ。無人島をひとたび外国人に乗っ取られたら、もう取り返せませんからね・・・
そのほかに考えられるのは、尖閣諸島を無人状態にしておくことで、大量の武器兵器の購入に当たって「同諸島を守るため」という口実を成り立たせることができるため(?)。本稿冒頭でご紹介したように日本政府は、尖閣防衛を念頭に、(実際にはぶっ放せっこない?)新型ミサイルの研究開発等を進めるとしています。その総額は数百億円を超えるくらいの巨大なもの・・・となればコレ、(とくに欧米先進国の)軍事メーカーにとっては(言い方は悪いが)オイシイわけです。日本としても彼らへの支払いが増えれば、貿易不均衡の緩和につながるので、悪いことではない・・・(?)
ということで政府は、そのあたりに関連する財政支出が批判を浴びることなく継続できるよう、同ミサイル等が尖閣防衛に有効であるかのように見せる必要を感じているのではないか。したがって、ミサイルよりもずっと低コストで実効力のある尖閣への自衛隊配置の推進は、ミサイル不要論につながりかねないので、NGとなる・・・みたいな。
もうこうなってくると尖閣は完全に巨額「防衛利権」のタネになるわけですけれどね・・・