(前回からの続き)
深刻な運用難に苦しむ邦銀を救うためにも、日銀は早急に金融緩和を縮小するべきだ、まずは買い入れ国債の平均残存期間は「最長で10年までとする」くらいに変更し、10年超長期国債は同対象から至急、除外するべき―――と前回、書きました。
しかし・・・いっぽうでこれ、マーケットから完全にテーパリング(異次元緩和縮小)と捉えられてしまいそうです。そうなったら円高ドル安が進むとともに、アメリカの長期金利をさらに押し上げることになりかねない・・・ってことは本稿1回目で書いたように今回、はっきり分かりました。先述のとおりこれこそ真にヤバい事態です。米長期金利は現時点ですら微妙な水準にあるのに、日銀が邦銀(とその預金者や株主)に配慮して上記実行を決めたら3%以上に跳ね上がってしまうのではないか。これ、いまのアメリカには耐え難い高さといえます・・・(?)
というわけで日銀はいま、極めて難しい選択を迫られています、邦銀?それともアメリカ様?どちらの希望を叶えるべきか・・・?
・・・って、以下は個人的な推測ですが、日銀はおそらく「アメリカ:6」「本邦金融機関:4」くらいの割合で「心配り」をするのではないでしょうか。具体的には(日本の、ではなく)米長期金利の動きを鬼のように凝視しつつ、国内金融各社に配慮して10年超国債の買い入れ額を慎重に減らしていく、といったオペを進めるだろうということです。このとき、同金利を3%寸前(2.9%くらい?)にまで上げてしまったらアメリカの耐久限界ライン接近!と判断し、日銀はただちに同・国債の購入量を増やして米金利の引き下げを促す、みたいな・・・。もちろんこれで日の丸銀行の経営は再び苦しくなりますが、ここは「米6>日4」つまりアメリカ様が逝ってしまう(米金融危機が起こる)よりはマシ・・・ということで、各行およびその株主や顧客には我慢を強いる・・・って感じ?
これにより、邦銀各社はいよいよ苦境に陥り、先述「口座管理料」を預金者から徴収したり、なかには「新規預金お断り!」なんてところも出てくるかもしれません。これらに国民の多くは反発し、一斉に日銀(≒安倍政権)に対する非難の声を上げるでしょう。したがって、いまから対応策を講じる―――まずは「銀行は高い人件費等にコストダウンの余地あり」つぎに「デフレ阻止のために止む無し」さらに「口座管理料は欧米の銀行では当たり前」トドメは「そんなことより『北』だろ」などと本邦メディアに繰り返し報道させ、人々に「仕方ないか・・・」と認識させることで、世論が反アベノミクスに傾かないように誘導する―――ことがよろしいかと思いますので、政府・日銀にはこれらの速やかな実施をお勧めいたします(?)。
―――以上、先日の市場動向から学んだ日銀は、米経済および金融マーケットの動揺を食い止めることができるのは、やはりわれわれだけだ、との強い覚悟と自負をもって、上記等によって断固、アメリカの命運=長期金利の「操作」に乗り出す―――これこそ日銀が現行金融政策の名称に「金利操作付き」のフレーズを入れたことの真意だった、というわけです(?)。米FRB(米の中銀)を差し置いて(?)アメリカ様をお支えするなんて日銀、いまや世界最強の中央銀行なんじゃね!?