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リスクオフ深刻化のプロセスと金(ゴールド)との関係②

2012-07-21 00:03:40 | 金(ゴールド)

(前回からの続き)

 リスクオフ最終形:「金>円>ドル>ユーロ>新興国通貨」に至るプロセスを「第一、二、三段階」として、それぞれの段階ごとに各通貨の強さの序列がどのように変化していくのかなどについて、私見を述べて行きます。まずは第一段階。

○第一段階:円≧ドル>金>ユーロ>新興国通貨
 「世界金融不安」から徐々に「世界金融危機」に移行していくステージです。

 おもに通貨ユーロ不安にスポットが当たるという、ここ数ヶ月の状況です。欧州の金融不安、つまりPIIGS諸国の国債価格低下(利回り上昇)や、欧州の一部金融機関の破綻や経営不安が表面化したような段階です。

 すでにスペインやイタリアなどはまさにこうした局面に入りつつあり、実際に両国の国債価格が下がる(利回りが上昇して自力での資金調達限界ラインとされる7%程度に達する)とともに、1000億ユーロもの欧州安定メカニズム(ESM)の資金がスペイン金融機関救済のために投入される予定になっているようです。

 もっともここまでではギリシャのデフォルトやユーロ離脱、あるいは欧州の大手金融機関の連鎖破綻といったような、それこそユーロ崩壊に直結するようなシステミックリスクは発生していません。この場面では、ユーロや新興国通貨は売られますが、一方で円や日独国債、そして何よりもドルおよび米国債が安全資産とみなされて買われることになります。

 そして特徴的なのは、この段階ではが「リスク資産」と位置づけられてドルに対して売られること。世界第2の通貨ユーロの信認低下、その裏返しとしての基軸通貨ドルに対する信頼感や流動性確保の観点などから、ドルがユーロ・新興国通貨に対して選好される半面、ドルの代替通貨とみなされる金が敬遠されるトレンドとなっています。

 さらに世界屈指の金輸入国・インドの金需要が景気後退やルピー安の影響で落ちてきていることもあり、ここのところの金価格、とくにドル建ての金価格は1トロイオンス1550~1600ドル前後と、昨年秋のドル建て史上最高価格水準(同約1900ドル)から15%あまり低くなっています。

 この「第一段階」の局面では、ドル/円に大きな変化がない中で、ユーロ圏で何らかのネガティブな材料が出てユーロ/ドルと金価格が同時に下落するタイミングが日本人にとって金を買うチャンスと思っています(投資等のご判断は自己責任でお願いいたします!)。

 こうした中、アメリカ経済は、ユーロ圏の動揺や金価格の低下などにより、それなりの恩恵を受けられる立場になります。つまり、おもにユーロ圏からの逃避マネーがアメリカに集まることなどにより金利の低下がもたらされること。現に、7月20日時点での長期金利は1.47%と、アメリカ史上最低レベルとなっています。

 この低金利は住宅バブル後の借金の負担に苦しむ家計にとっては好ましい状態であるとともに、金融機関も、とりあえずのところは、貸し倒れ急増といったような経営危機につながる深刻な事態を免れることができます。

 こうした環境の下、住宅価格が下げ止まる傾向が見られたり、雇用数の増加が続いているといった統計結果が出てきていることなどから、アメリカ経済は底堅いという前向きな見方や、アメリカはユーロ危機から「デカップリング」でやっていけそうだ、といったような楽観論まで一部で語られるようになっています。

 しかし、欧米の金融不安は決してこの「第一段階」で止まってくれるほど甘いものではありません

 欧州ではPIIGS諸国の一部の債務不履行や大手金融機関の経営破綻、ECB(欧州中央銀行)による問題国債の無節操な買い入れなどによりユーロが暴落・崩壊の危機に瀕するでしょう。そしてアメリカは、このユーロリスクの多大な悪影響を貿易面や金融面で被るとともに、近々、わが国が経験したような住宅バブルの真の清算をしなければならないときを迎えるでしょう。

 こうして欧米諸国はリスクオフの「第二段階」である「金融危機」のステージへと入っていくことになります。

(続く)

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