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「秘録怪猫伝」

2006年08月19日 | ★恐怖!な映画
「秘録」と言われれば見たくなるのが人情。

大映の生え抜き田中徳三がメガホンを取っているカラー作品で
生々しい血の匂いがたちこめるよう。

佐賀の鍋島丹後守(上野山功一)は少々わがままな殿様だった。
臣下の竜造寺又七郎(戸田皓久)の美しい妹を側室にと希望するが、
断られたためにカッとして、
家老矢淵刑部(戸浦六宏)と共に又七郎を斬り殺す。
絹糸のような雨がざーざー降る夜のことであった。

さらに一石二鳥とばかりに
難癖をつけて名家である竜造寺家を取り潰す。

悲嘆にくれた妹小夜(亀井光代) は
可愛がっていた猫「たま」に、
「私の血を舐めて魔性の力を持ち仇をとっておくれ」と
頼んで自害する。

その夜から、
怪奇な事件が相次ぎ
家来の小森半左衛門(本郷功次郎)は化け猫退治に
奮闘するが・・

「行灯油舐め」「鯉の食いちぎり」
はありますが鳥や鶏の手掴み、ねずみ捕り、はありません。
念のため。

猫に憑依された奥方やお女中が
奇怪な行動に出るさまが大変興味深い。

これは
正統派
お家騒動型無差別憑依化け猫映画・バイオレンス版
と言えるでしょう。

入江たか子の一連のファンタジックな作品とは
趣を異にするリアルな怪談だが、
天井をどす~んと破るなど、
破壊的でタフな化け猫の特性は共通している。

冒頭の、度肝を抜く渡辺宙明による
猫声フューチャーの音楽は必聴であるし
憑依した人物が怒りにまかせて終始発する「んぎゃ~~!」という
猫の声をかぶせた騒々しい叫びなど、
素晴らしい音響効果が、
跳梁跋扈する化け猫の臨場感を高めている。

もしも身近な人が
「毎日入っていた風呂に入らなくなって」、
「菜食だったのが、干物を食べたがったり」、
「こそこそと行灯の傍で手を舐めたり」
するようになったら、(そういう奥方が出ている)
化け猫に取り付かれていると思って間違いは無いので
速やかに退治しましょう。 

*映画の中のイイおんな*
亀井光代:武家のおなごというのは
着物の着方も一分の隙もない。
古典柄の小紋も定番である。
きちんとした役が似合う真面目な感じのする女優さんである。

1969年 監督 田中徳三
脚本  浅井昭三郎
撮影  今井ひろし
音楽 渡辺宙明
美術 太田誠一

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
「秘録」と言われたら (rivarisaia)
2006-08-21 01:55:46
それは確かに観たくなります!

しかも定番の「行灯油舐め」と「鯉の食いちぎり」が

入っているならなおのこと。

身近な菜食者が干物を食べたがった時には

気をつけようと思います。
返信する
こんにちは!! (ブラボー)
2006-08-21 06:38:28
rivarisaiaさんこんにちは!



「秘」がついていると

断然「見たい度」が高まりますね!



「食いちぎり」は正式には

「鯉の手づかみ」と

「食いちぎった後の残骸」が示されています。

迫力がある作品ですが、個人的には

入江たか子の化け猫映画の方が

好みです。
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