邦画ブラボー

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「南の島に雪が降る」

2007年08月21日 | ★人生色々な映画
今まで見た古今東西の
戦争映画の中で一番素晴らしい映画。

過激なシーンがほとんどないのに
戦争の不条理、異常さがひしひしと伝わってくる。
体験を元に、原作者加東大介が自ら演じているので
リアリティがある。

舞台はニューギニア、マノクワリという地区。
食料も乏しく、疲労困憊した
兵士の戦闘能力はもはやゼロだった。
そんな状況下、士気を高め兵隊を元気付けるために
演劇部隊が作られることになる。
加東軍曹(加東大介)、前田一等兵(西村晃)ら
元プロの役者が中心となって
開催されたオーディションには
腕に覚えのある面々が続々と詰めかける。

有島一郎、桂小金治、伴淳三郎など
芸達者たちの一芸披露が見もの。
美術、結髪、脚本家なども集まり準備万端、
わくわくするような展開だ。

そして遂にやんやの拍手の中で手作り劇場
「マノクワリ歌舞伎座」の幕が開く。

劇中劇のクオリティの高さはもちろんだ。
姉の沢村貞子が言うところの、
「生まれ着いての役者」加東大介の真骨頂を見ることが出来るほか、
伴淳の至芸やめったに見られぬ西村晃の色っぽい女形、
有島一郎のおとぼけ演技がこたえられない。

ホントに得した気分。

他にも
小林桂樹、三木のり平、渥美清、森繁久弥、フランキー堺、など
よだれが出そうな?役者が次から次へと登場する。

森繁の「五木の子守唄」は哀愁漂って万感胸に迫りすぎるほど。
個人的には三木のり平の爆笑一芸も見たかった!

故郷を思い出し涙するもの、女形の役者にすがりつくもの、
みな戦時下と言うことをすっかり忘れているかのようだ。

戦闘シーンを映すばかりが戦争映画ではないということを
教えてくれる。
全世界の人に見て欲しい作品だ。

タイトルの意味を知った時
思わず涙がちょちょ切れた。(古)
水も食料も無きゃ死んじゃうけど
人間だからそれだけじゃないんだよ~

「硫黄島・」より良かった~~~
原作も読むぞ!

1961年 久松静児 監督作品
原作 加東大介 脚本 笠原良三
撮影 黒田徳三 音楽 広瀬健次郎 美術 小島基

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
小学生のとき講演を聞きました (さすらい日乗)
2007-08-22 23:52:50
兄の大学の文化祭で加東大介本人の講演を聞いたことがあります。
当時、多くのところで彼は講演していたようです。
とても面白かったことを憶えています。
返信する
さすらい日乗さんへ (ブラボー)
2007-08-23 07:08:04
講演ですか。聞きたかった!
貴重なお話ありがとうございます。

ちょうど沢村貞子関連の本を読んでいたところ
この映画を見て、
益々加東大介の人となりについても
興味を持ちました。

幼い頃から自慢の弟で
役者一家の希望の星だったと言う彼の舞台姿を
劇中で見られたのは収穫でした。
戦争での恐ろしい体験(陰の部分)については
書くのも嫌だと言っていたとか。

いつもさすらい日乗さんのブログでは
溜飲を下げさせていただいたり
勉強させていただいたり、大笑いしたり、
お世話になっております。
更新楽しみにしています!
返信する
御無沙汰してます (ぶーすか)
2007-08-26 07:19:33
こんにちは。戦争映画にしては残酷で悲惨なシーンが少なくて、笑えるシーンが多い楽しい作品でした。伴淳の無気味な女形には爆笑でした。何もない戦場で立派な劇場を作り上げてしまう、職人魂にも感服。戦争でかり出されなければ彼等がどれだけ優秀な職人だったかと思うと、戦争の残酷さを改めて考えさせられました。
返信する
ぶーすかさんへ (ブラボー)
2007-08-26 08:20:08
こんにちは!

同感です。
戦争で貴重なひとりひとりの
個性や才能をつぶしてしまうなんて
ほんとにもったいなく、馬鹿げたことですね。
繰り返し放送して欲しい名作だと思います。
返信する

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