邦画ブラボー

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「ある殺し屋」

2006年10月25日 | ★ハードボイルドな映画
これも長年見たかった映画。
森一生監督・雷蔵主演の傑作現代劇。

小料理屋の主人というのは表の顔で
裏の世界では知らないものはいない凄腕の殺し屋、
塩沢(市川雷蔵)が
依頼された仕事を淡々とこなす。
ギターのつまびきが物悲しく彩る。

木枯らしの中を
スーツケースを片手にたったひとりで歩く男・・・・

女?要らないね。
金?どうでもいい
仲間?ひとりがいい

虚無 といえば眠狂四郎である。
任務を全うする非情な男・・は
「忍びの者」の忍者、「陸軍中野学校」のスパイを髣髴とさせる。
だが塩沢は何処にも属さない一匹狼の殺し屋だ。

何処から来たのか
何故殺し屋稼業なのか、そんなことは一切説明されない。

特攻隊だった過去や
戦争の重い傷をちらりと感じさせるが、
ランボーのようにしつこく強調されることはない
ゴルゴ13のように難しい顔のままで女を抱いたりもしない。

ただ乾いたムードが漂うのみだ。

塩沢さんカッコイイ!などと浮かれた言葉も似合わない。

脚本が増村保造 石松愛弘だもん、いいよね。

ミスターハードボイルドフェイス、
成田三樹夫と野川由美子、小池朝雄が色と欲担当。
渚まゆみもちょい役で出る。
多勢を相手にしての荒地での立ち回り
もとい戦いは、宮川一夫のカメラによって
身震いするほど美しく撮られている。

雷蔵は何をやっても凄いわ。

原作は「赤い殺意」や「秋津温泉」なども書いている藤原審爾。
読んでみたくなった。

*映画の中のイイおんな*
野川由美子 はすっぱで可愛い女をやらせたら
この人の右に出るものはいないでしょう。モチーフ編みのセーターを
ざっと脱ぎ捨てて下着だけになってもいやらしくないのは
バービー人形みたいなすっきりした体つきのせいかもしれませんな。
他には小林幸子も出ていますが、現在のお姿とは一味もふた味も
違ってます。

1967年 森一生監督作品
脚本  増村保造 石松愛弘
原作  藤原審爾
撮影  宮川一夫
音楽  鏑木創
美術  太田誠一

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12 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ひっそりと公開された映画です (さすらい日乗)
2006-10-25 23:43:35
この傑作が公開された頃の大映はほとんど末期で、ろくに宣伝もせず、ほとんど騒がれずひっそりと公開された。



私は、蓮沼のヒカリ座の3本立てで『ある殺し屋の鍵』を見て驚嘆し、偶然有楽町の有楽シネマで『ある殺し屋』をやっていたので、翌日に見てこれも感動しました。

技術的、内容的にも文句の付けようのない傑作だと思います。



この塩沢という殺し屋の二重性(市井の市民と殺し屋)は、勿論『忍びの者』で、これは同時に『陸軍中野学校』の椎名次郎でもある。

そして、この『ある殺し屋』の畳針で延髄を刺して殺す方法は、テレビの『必殺シリーズ』の殺人方法に受け継がれて行きます。



映画というものは、一つの手法が次のヒントになる、と言う具合に変化、発展して行くものです。



その意味で、近年、作者の著作権がやたらに主張されているが、こうした経緯を考えれば実に馬鹿らしいことだと私は思っています。

返信する
傑作ですね! (ブラボー)
2006-10-26 09:26:52
これほどの作品が

ひっそりと公開されたなんて・・



延髄ブスリは

仕置き人そのものですね。



ひとつの手法が次のヒントになり

変化・・発展・・と考えると

様々な事例が思い浮かびますね。



刑事ものなども

はるか昔に

やったことが繰り返され、

アレンジされている気がします。

おおっ!と驚くような

新手法・新展開も見たいものです。

返信する
市川雷蔵、初見 (マル季)
2007-03-07 20:01:07
この有名な俳優の出演作品を未見だったので借りてきました。
まだ途中までですが、時間の交錯がかなり大胆ですね。でも、全然観づらくないし、実験的な香りもしない。
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マル季さんへ (ブラボー)
2007-03-08 06:51:00
最後の立ちまわりもカッコイイですよ。
「ブルースのような映画」と
申しましょうか、
全体を貫く乾いたムードがたまりません。

雷蔵さんの作品、ぜひ色々ごらんになってみてください。
返信する
Unknown ()
2017-02-12 09:45:38
ほんとに、雷蔵さんは なにをやっても凄いですね。

美人、、、じゃなかった 「美男薄命」な方でした。

ご存知とおもいますが 雷蔵さんへの 熱い想い満載の

 「雷蔵贔屓」というブログがありますね。

コメントの最後に 必ず「おまけ」があり

雷蔵さんの珍しい画像を、毎回のせてくれてます。
返信する
愛さんへ (ブラボー)
2017-02-12 10:24:48
雷蔵さんの手記を読みました。
胸が締め付けられ、苦しかったです。

「雷蔵贔屓」、読んでみます♪
返信する
Unknown ()
2017-02-12 19:10:22
さきほどは、お手数おかけして申し訳ありませんでした。
 
「雷蔵贔屓」の管理人さまが、

「ようこそ雷蔵ワールドへ」

というブログも、運営されてますが

私は、こちらのほうから 最初に知りましたが

雑誌の対談や、たくさんのサプライズ発見できます。

ご存知でしたら、ごめんなさい!
返信する
追伸 ()
2017-02-13 11:39:41
「ようこそ雷蔵ワールドへ」のブログの方は

米国在住の、日本女性で、

 雷蔵さん関連のを 40年以上コレクションしたのが

たっぷり披露されてます。

それから 雷蔵さんのご本、急ぎませんので

タイトルを教えて下さいますか?

村松友見さんのと、雷蔵夫人(だったと思いますが)
の、著書は、読了してます。

その時は、私もほんとに、惜しく、せつない気持ちになりました。

これを機に、再読したくなりました。
返信する
愛さんへ (ブラボー)
2017-02-13 12:02:51
村松さんの、私も読みました。

自伝は、
「雷蔵、雷蔵を語る」 (朝日文庫)です。
表紙がステキ!
そしてすべて
雷蔵さんの言葉で語られています。
写真も盛りだくさんなのでファンには嬉しい本です。

共演した女優さんについても書かれており、
若尾さんについての文章もありましたよ♪

廃刊になっているようですが
図書館、または中古ではまだ出回っているようです。
 
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Unknown ()
2017-02-13 17:46:09
おはやばやと、有難うございました。
図書館で予約してみます。
返信する

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