邦画ブラボー

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「武士道残酷物語」

2005年07月01日 | ★ぐっとくる時代劇
話は現代から始まる・・

大手ゼネコンに勤めている
青年飯倉(中村錦之介)の恋人(三田佳子)が自殺未遂をする・・

病院で恋人を見守っている飯倉は
飯倉家にまつわる因果な歴史を語り始める・・・

7つの時代にまたがる7つのエピソードの主役を
語り部を兼ねた
中村錦之助が順に演じていくという構成。
この構成自体が変わっているが
まるで川が流れていくように、物語のつながりは自然だ。

役者がとんでもなく豪華。
監督は「橋のない川」などの今井正。

戦国時代の昔から、
脈々と受け継がれる呪いの「武士道DNA」とは?
理不尽な武家社会に甘んじて殉じた先祖たちの物語とは?
いずれも「ここまでやるか」な内容ですが
トーンは一貫して、凄まじいまでにシリアスです。

名優森雅之が、
美少年を愛する嫉妬深い殿様を演じて凄絶。
妖しい目の光が絶品で、これは全日本映画ファン必見!

凄いといったらもうひとり。
明治時代のエピソードの中の加藤嘉
その不気味さといったら(ワンショット衝撃映像があります)
珍奇なホラー映画の比ではありません。
必見。
よ~くご覚悟されてご覧下さい。

この二人の演技は見ておいて損は無いと思う。

主役錦之介の、まるで輪廻転生を繰り返しているかのような
7つの役の演じわけは文句なしにすごい。

そして現代・・もう武士はいないはずなのに・・・

ぞっとした。

侍社会から受け継がれる日本人社会の暗黒面を
これほどまでに暴き立てる作品も珍しい。
痛烈なメッセージ性を感じる。

同じように封建社会への憤りを描いた小林正樹監督の大傑作「切腹」
そして「上意討ち-拝領妻始末」も思い出した。

ただひとつ無礼を承知で言わせていただきたいのは・・

ビデオのジャケットなんですけど、
あまりにも恐ろしげではありませんか?
まるで海外輸出向けのように、
また、キワモノのようにけばけばしく、
ビデオ屋さんの棚で見つけても
まず題名でびびっているところへ
写真がこれでは
恐くて借りられないのではないでしょうか??(自分です)

素晴らしい映画なのにもったいないです。

今井監督が「忠臣蔵」を撮っていたら(!?)
今までの作品群とは180度違うものになっていたに違いない。

出演:中村錦之介 東野英治郎 渡辺美佐子 荒木道子 森 雅之 有馬稲子
加藤 嘉 木村功、三田佳子 岸田今日子 江原真二郎 山本 圭 

1963年 今井正監督作品 南条範夫原作「被虐の系譜」  鈴木尚之 / 依田義賢脚色

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
観たい! (オリイ)
2005-07-03 19:46:08
 こんばんは。いや~、面白そうな作品ですね。

 錦之助が殿様に迫られるというエピソードがあることは

何かで読んだことがありましたが、殿様は森雅之なの

ですか。これは“本気”のように見えて、下手に悪役顔の

俳優よりもリアルで怖いかもしれませんね(笑)。

ジャケットの絵柄も平田弘史の絵みたいでイカしてます。



 実に観たいのですけど、ウチの方のレンタル店には

絶対ないと思うので、スカパーかNHK BSでの放映を

待つしか……。
返信する
いいですよ! (spok23)
2005-07-03 21:34:17
オリイさんこんばんは。

そうなんですよ。この森雅之は必見です。

整った顔が嫉妬にゆがみ・・すごいです。



ジャケット・・そ、そうですか、イカシていますか。

平田弘史さんの漫画は「噂」には

聞いていますがまだ読んだことありません。



うちのほうのTSUTAYAには2軒行って2軒とも

ありましたけど・・



とにかく見ごたえがある映画でした。

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