邦画ブラボー

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松本清張の「遠い接近」

2006年03月28日 | ★人生色々な映画
戦局も悪化していた頃。東京。
年老いた両親や妻、小さな子供を抱えた働き盛りの職人(小林桂樹)に、
ある日徴兵命令が来た。

昔胸を病んだこともあり、免れるだろうと思っていた矢先のことだった。
つつましく暮らす家庭を襲う大きな不安。
おじいちゃんが笠智衆、吉行和子が夫の身を案ずる妻。

あれよあれよという間に本入隊が決まり、
市井の生活とは異なる軍隊での生活が始まる。
平凡な男のとまどいが痛いほどに伝わってくる。

古参の兵隊(荒井注)の暴力にも黙々と耐える日々だったが、
ふとした折に「赤紙」は役人によって不公平に発行されていることを知る。

一方、大黒柱を失った家族は縁故を頼って東京を離れるが、
8月6日、疎開先の広島に原爆が投下される。
終戦。

男は恐ろしい執念で赤紙発令に携わった役人(下元勉)を探し出す。
完全犯罪をもくろんで遂に復讐を遂げるのだが・・

赤紙がきたばっかりに一家を全滅させてしまった・・・
小林桂樹が家族を失い怒りに燃える男を演じている。

「不公平」に対しては
人間諦めがつかないというか、怒りが強くなるものなのでしょうね。
まして家族が全滅してしまったなら・・
神経逆撫でされた主人公は攻撃行動に出る。

中条静夫がいかにも辣腕刑事らしく
理路整然と小林を追い詰めていく過程に緊張感がありました。

松本清張は「闇市の復員兵役」で出演。
ヒッチコックみたいに
どこかに出ているのを探すのがこのシリーズの楽しみになってしまった。
何処にいてもすぐみつけられるのがやはり清張さん。
台詞を喋るとずっこけるけど、ルックスは俳優としてなかなかいけると思う。

芸術祭優秀賞受賞作品

この作品も面白かったので「ドラマ特選」コーナーに入れました。

1978年 原作 松本清張 演出:和田勉

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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
是非DVD化してほしいです (ダムダム人)
2006-09-26 21:41:44
遠い接近は私が高校の時にみました。

ただ、その時は途中からみたので

話の前半がわかりませんでした。

就職してから数年経って原作を読み

ますますドラマが見たかったです。

たまたま数年前、BSで放送したときに

知人に録画してもらってやっと全編を

見ることが出来ました。

これは是非DVD化して欲しいです。
返信する
ほんとですね (ブラボー)
2006-09-26 22:19:29
ダムダム人さん、こんばんは。



面白かったですね!

小林桂樹と中条静夫の行き詰る

応酬、それに下元勉の自然な演技も

特筆に価すると思いました。



このようなクオリティの高い作品は

ぜひDVD化して欲しいですね。



原作は読んでいないので

ぜひ読みたいです。

小林桂樹はシリアスな演技も上手いですね。
返信する
名作ですね (銀河流星)
2009-05-17 00:47:04
小林桂樹さんの演技に脱帽。

よく、まとめられている名作だと思います。

小林さん扮する「岩尾」の胸中が、手に取るように分かります。

ラストで、中条静夫さん扮する刑事とのやりとりの果てに、すべてを悟った「岩尾」の表情、なんともいえぬ岩尾の表情のあとに続くセリフ・・・そしていきなりの「完」という文字。

うまいですねえ。感服しました。
返信する
銀河流星さんへ (ブラボー)
2009-05-17 07:28:21
小林さんは
男の心理を見事に表現していましたよね。
こんな俳優さんは今見当たらないのでは
ないでしょうか??

最初から最後まで目が離せない!のが
和田演出の凄いところですね。
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秀逸 (ポロット)
2021-04-28 18:25:29
このドラマが印象的だったので原作読みました。
それでわかったのは原作に忠実でありながら
脚色・演出が光ると言うか、ドラマの作り方を
知ってるという感じですよね。
特に最後の刑事さんとのやり取りを見て
そう思います。
「わからないのは動機だけです」という刑事の言葉
その言葉がある意味安川に受けたシゴキなんかより
よほど、広島で家族を亡くしたこと
と同じくらいではと思うくらい厳しい
返信する
ポロットさんへ (ブラボー)
2021-04-29 09:42:32
こんにちは。
コメントありがとうございます。
ほんとに素晴らしい作品です!

脚本の大野靖子さんは多くの清張ドラマを
手掛けていらっしゃいますね。清張さんの信頼も
あつかったのでは。
和田勉さんの
演出も冴えわたっていますし、
小林さん初め、脇の役者さんたちが一体となった、思わずうなっちゃうドラマですね。
「わからないのは動機だけです」!!
・・確かにおっしゃる通りです。
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