邦画ブラボー

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「死んでもいい」

2005年02月08日 | ★愛!の映画
劇画:
筋を重視し、画風・ストーリーともに現実味を志向した比較的長編のもの。(大辞林)

劇画がもっとも熱かったのが70年代だ。
上村一夫の、
「同棲時代」、小池一夫&上村一夫の「修羅雪姫」や石井隆の劇画、
「天使のはらわた」シリーズなども映画化された。

石井隆は劇画家であり脚本家であり監督でもある。
この「死んでもいい」は「天使のはらわた 赤い眩暈」に続く監督2作目。
石井作品に登場する、ネオンと夜と雨、
名美という女はこの映画の中にもやはり登場する。

彼にとっての永遠の女性、象徴であるかのような名美。
今回は大竹しのぶが「名美」に扮して秀逸!

煙草を手にぐずぐずぐずぐずと喋る。
「このまま帰らないかな~あの家には。」
「明日があさってになって、あさってが・・」
「私がどうにかしなくたって、世の中どうにかなっちゃうもんでしょ・・」
(イライラ・・)

ずるずると、流れるままに生きる女。
こんな女にひっかかったら最後!

女も女なら引きずられる男も男・・の三角関係。
三つ巴に絡まって行き着く先は・・・
古今東西、幾度となく繰り返されたテーマ。
だけど、やっぱり見てしまうんだなこれが。

永瀬正敏(信)がふとしたことから出会った人妻
大竹しのぶ(名美)に惚れるんですね。
名美の夫は現場を押さえながらも妻とどうしても別れられない。
若い永瀬は突っ走り・・
そんなことしてるうちに来るべき時が来る・・

夫が現場に現れるタイミングが絶妙。
ドキドキしてしまった。
逢引の場所にばったり無邪気に現れる夫、
そして大急ぎで隠れる間男!(古~)
見つかったらどうなるかということを考えただけでもホラ~!

だって相手が、室田日出男
二人とも簀巻きにされて東京湾に投げ込まれるのか?
と思うじゃないですか。
だけどこの夫は、娘ほど年の違う名美を惚れぬいていて、
泣けてくるほどお人良しなのだ。

無表情な信(永瀬)は喘息の持病を持ち、
社会の底辺を流れ流れている若者。
ラブシーンも切羽つまったって感じでよかった。
名美は小さな不動産屋を営む亭主と別段不満も無く暮らしていた。
信とそうなって、両方の男にその場その場で応対。
甘えるんですよ。
(イライライラ)

そんな様子を見てむっとするのはやはり大竹の演技が上手いから。
大竹しのぶと名美の区別がつかなくなっていくのだった。
私のイライラ最高潮に達すると同時に、ドカンと!来た。

物語を象徴するかのようなシーンがいくつか。
電灯にくっついた蛾の死体。
ひらひらと舞う色とりどりの布。

三人がぴたっと役にはまっていて、
最後まで濃密なテンションを保っています。
ラストはとてもリアルで緊迫していた。
だって相手が室田日出男ですからねえ・・・

徹底的に女とその性にこだわる石井監督。
女とは何か?を追求しているかのよう。

題名がいつも鮮烈でイイと思っていた。劇画的だ。

1992年 監督:石井隆 脚本も 石井隆

追記:室田日出男さんのことを調べていたら、2002年に肺がんで
亡くなったとのこと。知らなかった!
非常に残念。この映画での室田さんも素晴らしかった。
ご冥福をお祈りいたします。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (マイコ)
2006-01-21 21:29:11
こんばんは。



39☆SMASHのマイコと申します。

先日は私のブログにコメントしてくださって、ホントにありがとうございました。



確かに、お人よしな旦那さんでしたよね。

見てて可哀想で仕方なかった・・・(泣)



永瀬目当て(あと、タイトルにも惹かれた)で借りた映画でしたが、室田さんの渋さにもキュンとなっちゃいましたね(笑)



名美みたいな女は、たくさんいると思います。

流れのままに生きていく女・・・。



女って恐ろしい生き物なんですね。

私にもそんな一面があるのかなぁ・・・??(汗)
返信する
Unknown (spok23)
2006-01-21 21:59:19
マイコさん、こんばんは。

コメントいただき、嬉しいです!



永瀬クンは

いい味出してましたねえ~~

名実を見つめる目がなんとも

よかったです。



女の恐い面が

とても出ていましたね。



ホントに、恐ろしいこってす・・(笑)
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