邦画ブラボー

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「散歩する霊柩車」

2006年09月07日 | ★人生色々な映画
その映画館
渋谷・円山町のラブホ街にある。

「中年の男性に寄り添う、伏し目がちの若い女、
訳ありげなふたりが早足で駅の方に急ぐ・・・・」そんな
アベックももしかしたら見ることが出来るかも・・

てな想像は、通りに足を踏み入れるやいなや、あっさり打ち砕かれた。
学生のグループがワイワイ騒ぐ横を
若い男女が爽やかに談笑しながら、スタスタと通り過ぎていった。

あまりの屈託の無さに泣きて三歩歩まず・・

こ、こんなの円山町じゃないよう!
もっとこう・・・何かあるでしょう???
後ろめたさとかドロっとしたものとか・・

今どき「上村一夫」の劇画に出てくるような
情念の世界を期待した私がバカだったのだろう。
「アベック」という言葉だけで「すでに昭和」だし。

少しばかりへこんだ気持ちは
散歩する霊柩車」が始まって
すぎ江(春川ますみ)のシュミーズ姿(これも昭和)を見た途端、
すっきりと立ち直った。

なんてビートがある肉体なのだろうか。

ワンピースにギュウギュウ押し込まれた
はちきれんばかりの体とリキッドアイライナーで縁取られた目。

春川ますみの存在がメインヴォーカルだとしたら
ダンナのタクシー運転手
ミスター悪党、西村晃は(またの名を黄門様とも言う)
その歌声に絡むヘビーなテナーsax、いやウッドベース・・だろうか??

思わずこの名コンビによる「赤い殺意」を思い出して
にんまりしてしまったが、
うかうか聞き惚れてばかりもいられない。
しこたま毒がある音楽なのだから。

二人は、
「すぎ江が死んだ」と偽って霊柩車に乗り込み、
かつて関係があった男たちの元へ金をせびりに行く計画を立てる。

洒落た題名「散歩する霊柩車」は樹下太郎の原作。

欲と欲が絡み、もみ合い破滅していく人々を
ブラックなユーモアをたたえて描く。
監督は「吸血鬼ゴケミドロ」の佐藤肇。

霊柩車の運転手は面白い役回りなのだけど
意外な人選で新鮮だった。

脇は渥美清、金子信雄、曾我廼家明蝶、
加藤嘉、小沢昭平、花沢徳衛、岡崎二朗
大辻伺郎、浜村純と、不思議なくらい豪華。

辛口な展開で緊張した気分は
ラストの西村晃の歌で一気に開放される。
岩谷時子作詞、西村晃作曲のイカス歌。
ぜひCDが欲しいものだ。

浮かれ気分もすぐに吹っ飛ぶブラックなオチも用意されていて
それもまた最高だった。

*映画の中のイイおんな*
春川ますみ :豊満、グラマー、いい響きですねえ。
最近聞かれなくなった言葉だけど。
針で突くとぱちんとはじけ飛びそうな体を
ジッパーで洋服に押し込めるシーンが良いです。
ついでに小柄な西村晃もはじけ飛びそうです。
太く黒く、目じりでキュッとあがるアイラインが
60年代テイストでステキ。
ハイヒール履いて歩く姿がコケティッシュ。

監督 佐藤肇
脚本 松木ひろし 藤田伝
原作  樹下太郎  撮影   西川庄衛
美術 進藤誠吾
音楽   菊池俊輔

主題歌 「散歩する霊柩車」
作詞 岩谷時子
作曲   西村晃
編曲  菊池俊輔
唄 西村晃 春川ますみ

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