読書感想とロードバイク日記2

週末のお天気の日にロードで走っています。晴耕雨読ならぬ、晴れたらバイク、雨の日は読書の日々

「女王はかえらない」

2019年10月31日 | 日記
 降田 天(宝島社)

 よくできたミステリだ。三部構成でつながっているはずなのに、一部と二部で話が混乱する。種明かしは第三部で、犯人というか加害者が判明する仕掛けだが、最初のもやもやが、最後に完結するのだが、登場人物の整理が追い付かず混乱した。

 内容紹介は
第13回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作!
子どもたちの残酷すぎるパワーゲームはエスカレートし――。
『このミス』大賞初の女性コンビ作家が描く、学園ミステリー!

あらすじ
片田舎の小学校に、東京から美しい転校生・エリカがやってきた。
エリカは、クラスの“女王"として君臨していたマキの座を脅かすようになり、
クラスメイトたちを巻き込んで、教室内で激しい権力闘争を引き起こす。
スクール・カーストのパワーバランスは崩れ、物語は背筋も凍る、驚愕の展開に――。
伏線が張り巡らされた、少女たちの残酷で切実な学園ミステリー。

著者について
降田 天 (ふるた てん) プロフィール
鮎川 颯と萩野 瑛の二人からなる作家ユニット。   』

・・・この作家ユニットと言うのはユニーク。こういう小説つくりもありか。ミステリとしては、評価は分かれるのかな?
それでもこの面白さは一度読まないと分からないな
・・・ちょっとずるいよね、という感じも残るけど、おすすめです。
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「英国名門校の流儀」

2019年10月25日 | 日記
 松原直美(新潮新書)

 パブリックスクールを教員の眼から見たのは珍しい。英国のジェントルマン教育の原点がそこにはあるのだろう。
 日本二もってくるのは難しいのでしょうが、参考になりますよね。

 内容紹介は
『歴代首相からノーベル賞受賞者、名俳優まで輩出する英国パブリック・スクール。
その名門ハーロウ校で日本語教師となった著者は最高の教育現場を目の当たりにした。
独特の礼儀作法、「文武」に加えて重視される「芸」、
目に見える賞と罰、ずばぬけた教師陣――
映画「ハリー・ポッター」で使われた教室もある学舎で、10代の紳士たちは共同生活を
通して鍛えられていく。
日本人生徒の貴重な肉声も収めた、社会に資するリーダーの育て方。

(目次)
はじめに
第1章 パブリック・スクールとはどんな学校か
歴史ある名門校首相の7割を輩出イギリスの学校制度高額な学費ハウス制度
ラテン語が必修である意味歴史と伝統の踏襲紳士の作法長い入学者選抜プロセス私が教師になった経緯
第2章 学習意欲をどうやって伸ばしているか
科目ごとの習熟度別少人数クラス日本人生徒はどう受け止めているか能力を認め合う環境
詳細な通知表イギリスの大学入学試験難関大学の入試生徒の向上心を刺激する方法
研究者顔負けの取り組みギリシャ、上海、ルワンダ研修ネット時代だからこそ経験を
様々なソサエティ理系ソサエティスポーツ系ソサエティオリエンタル・ソサエティ
  デリケートな問題も議論する
第3章 「文武」に加えて重視される「芸」
文武両道の実現スポーツのレベル分けラグビーサッカークリケット
室内競技の数々その他のスポーツコンディショニング持久走教師や親も参加
有名俳優を輩出全員が演劇に参加シェークスピアは必須教養演劇の持つ意味
頻繁に開かれるコンサート聖歌隊優れた美術品で観賞眼を養うアートコンペティション
美術ソサエティ
第4章 目に見える賞と罰
生徒名簿に記される奨学生生徒手帳を親にも配布服装で示される生徒のリーダー
努力に対するさまざまなご褒美口頭と紙面による表彰年報も発行わかりやすい罰則
素行不良の罰重い罰とは「努力の成果は表彰されて当然」
第5章 国を守る意識を教える
軍は身近な存在戦争の英雄を追悼する軍事教練は必修軍事パレードも社会奉仕
海外でのボランティア活動にも参加自然保護活動
第6章 目覚めから寝るまで続く人格教育
集団の中で育てる個討論大会も人気生徒全員参加のクイズ大会日々の時間管理
テスト期間中もつまっている予定厳しい校則と不文律教員にも適用される厳しいルール
ネクタイ姿で食事簡単にできない外出不文律の存在規則は個性を抑えない
人の話を聞く訓練静かに待つ訓練私語厳禁TPOに応じたマナーの習得
食事のマナーも教育大人との会話を学ぶ
第7章 教師たちが尊敬される理由
高い知力と強靭な体力多国語を操る語学教師校長は働き盛りの壮年生徒と教職員との近い距離
「思い出の品」展示会教員が教え合う仕組みロンドンに学習塾が少ない理由見事なオンとオフの切り替え
生徒による教員の評価学校全体で取り組むいじめ対策学習障害対策
第8章親はどうかかわるか
父母との距離感父母が参加できる行事も保護者面談で目立つ父親の姿パーティにも参加
卒業生の恩返し
終 章 己を知る教育
自信はあるが尊大にはならない低学年の不自由、上級生の責任一流の知性に出会う
仲間との強い絆習熟度別クラスでの真剣勝負年間何十種類もの賞教員たちの努力
おわりに

 著者について

まつばら・なおみ
1968(昭和43)年生まれ。タイの公立高校、UAEの国立ザーイド大学での勤務を経て、
2014年から18年まで英国のパブリック・スクール「ハーロウ校」で選択科目である日本語の
非常勤講師を務める。上智大学卒、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科博士後期課程退学。   』

・・・面白かった。
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「国家と教養」

2019年10月18日 | 日記
 藤原正彦(新潮新書)

 「国家の品格」の続編みたい。イギリス、フランス、ドイツの戦争にまつわる教養人を比較しつつ、最終的には本を読みなさい、と言うことが言いたそうです。
 
 内容紹介は(出版社から)
『「教養」とは、世の中に溢れるいくつもの正しい「論理」の中から最適なものを選び出す「直感力」、そして「大局観」を与えてくれる力だ。では教養を身につけるためにはどうしたら良いのか。教養の歴史を概観し、その効用と限界を明らかにしつつ、数学者らしい独創的な視点で「現代に相応しい教養」のあり方を提言する。大ベストセラー『国家の品格』の著者が放つ画期的教養論。

 担当編集者の話「担当編集者のひとこと
 教養が大事な理由
 経済性、合理性、有用性、スピードがますます重んじられるようになっている現在、「教養」の地位は下がり続けています。確かに、教養を身につけたからといって儲かるわけでもないし、出世して偉くなるわけでもない。
 それでも藤原さんは「教養は大事である」と言います。
 一つには、教養こそが「大局観」をもたらしてくれるからです。人生に指針となる意義を与えてくれるのも、とっさに適切な選択をできる「直感力」を鍛えてくれるのも、人間性に深みを与えてくれるのも、教養なのです。
 もう一つ、教養が大事な理由は、我々が民主主義社会に住んでいるからです。教養のない、すなわち大局観のない国民が主権者となる民主主義ほど危ういものはありません。教養なき民は、一時的な熱狂に身を任せ、国家を誤らせます。「国民の皆さま」から国家を守る礎、それが教養なのです。
 しかし、従来型の「教養」に限界があったのも事実です。ヒットラーを生んだのは、教養主義のチャンピオンとも言うべきドイツでした。エリート層が旧制高校型の「教養主義」に浸っていたはずの日本も、亡国の戦争に突き進みました。
 では、何が足りなかったのか。本書の中で藤原さんは、従来の教養における「ユーモア」や「情緒」といった人間性・社会性に対する感覚の不足、および政治感覚の欠如を挙げています。すなわち、旧制一高の校歌の「栄華の巷、低く見て」に表現されるような、俗世間の人間の実相を知り不条理にみちた社会と格闘する姿勢が、戦前の教養主義のエリート層になかったことが問題だった、との見方です。
 では、従来型の教養主義の限界を乗り越えるのにはどうすればいいのか。藤原さんが勧めているのは、西洋文学などの従来型の「教養」的読書よりも、日本の大衆文学や大衆芸能に親しむことです。
 日本の大衆文学・大衆芸能には、血と汗と涙と笑いが詰まっている。実世界を学び、道徳と情緒を学ぶ最高の素材なのです。こうした文学や芸能に親しむことで、「孤高の教養主義」の限界が打ち破られ、実社会の礎となるものとして「教養」が鍛え直される、と考えるのです。もちろん、どのように教養を定義するにせよ、その中核にあるのは「読書」です。本書では、藤原さんが愛読した本、人生を変えた本、読まなければと思いながら読めていない本など、読書にまつわる思い出もたっぷりと語っています。

「国家の品格」の出版から13年。著者一流のユーモアを交えながら、数学者らしい「本質的なもの」のみを伝えようとする姿勢は、前著からさらに磨きがかかりました。真面目な内容ですが、とても楽しい本です。    』

・・・例によって奥様の言葉が入っていて、笑わせるけどね。軽く読める。

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「ちゃんちゃら」

2019年10月16日 | 日記
 朝井まかて(講談社文庫)

 このところ、この著者にはまっている。
 今度は庭師の物語。江戸時代は庭師の地位が結構高かったようですね。その意味でもいい勉強になった。

 内容紹介は
『江戸・千駄木町の庭師一家「植辰」で修行中の元浮浪児・ちゃら。酒好きだが腕も気風もいい親方の辰蔵に仕込まれて、山猫のようだったちゃらも、一人前の職人に育ちつつあった。しかし、ある日を境に、一心に作庭に励んでいた一家に、とんでもない厄介事が降りかかる。青空の下、緑の風に吹かれるような、爽快時代小説!

江戸・千駄木町の庭師一家「植辰(うえたつ)」で修業中の元浮浪児「ちゃら」。酒好きだが腕も気風もいい親方の辰蔵に仕込まれて、山猫のようだったちゃらも、一人前の職人に育ちつつあった。しかし、一心に作庭に励んでいた一家に、とんでもない厄介事が降りかかる。青空の下、緑の風に吹かれるような、爽快時代小説!
 
 著者略歴
朝井/まかて
1959年、大阪府生まれ。甲南女子大学文学部卒業。2008年、小説現代長編新人賞奨励賞を受賞した『花競べ』でデビュー  』

 別の著者紹介です。

『園芸が好き、江戸が好き、朝井まかてとは?
 朝井まかては、1959年大阪府生まれの作家です。岡南女子大文学部国文学科を卒業後、コピーライターとして勤務した後、夫と共に独立し、制作会社を立ち上げました。2006年から、大阪文学学校に入学、小説の勉強に励みます。その時に書いたのが、『実さえ、花さえ、その葉さえ』(応募時タイトル)の1章で、学校の仲間に読んで貰ったときには、作品を読んでくれたことそのものがとにかく嬉しくて、泣けたといいます。

その後、『実さえ 花さえ』で2008年小説現代長編新人賞奨励賞を受賞して作家デビュー。2013年に『恋歌』で「本屋が選ぶ時代小説大賞」を、翌2014年に同作品で直木賞を受賞。続けて同年『阿蘭陀西鶴』で織田作之助賞を受賞しました。2015年には『すかたん』が「大阪の本屋と問屋が選んだほんまに読んでほしい本」に選出されています。

朝井まかては、小さな頃から植物と江戸の雰囲気が好きで、好きな物をどちらも取り入れた、植木職人や花師を主人公にした作品には定評があります。自然や植物の緻密な描写は、好きだからこそ蓄積されてきた著者の知識があればこそ成り立っているのでしょう。

元気でおきゃんな女の子、寡黙で優しい男性、はちゃめちゃに明るい男性。魅力的な登場人物からは、自然の一部としての人間を見ている朝井まかて自身の優しいまなざしを感じます。みな、ただ明るかったりただおとなしかったりするのではなく、表情や仕草が丁寧に描かれているので、心の深い部分の動きが伝わってきて、読者の感動を呼ぶのです。

台詞の勢いのよさも、朝井まかて作品の特徴です。爽やかな読後感は、読者に「また読みたい」と思わせる一因になっています。  』

・・・この「ちゃんちゃら」は、庭師のお話。著者の園芸好きに呼応しているのか、テンポが良い。ちょっとオカルトっぽい展開もあるけど、謎解きも入っている。
・・・最終のところで、誰のことか、判然としない書き方だが、そこが上手で、読者もホットるなんてうまいね~
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「偽りの春」

2019年10月11日 | 日記
 降田 天(KADOKAWA)

 https://kadobun.jp/media/001/201908/bc7faab24123918add8e92b247a803be.jpg

 ちょっと驚く展開が待っている。やっぱり他人に話しては面白さが伝わらない。けど、まあ、読んでのお楽しみということですね。
 ミステリのつくり方としては、相当工夫したなぁ。

 内容紹介は
『あなたは5回、必ずだまされる。第71回日本推理作家協会賞受賞作!

高齢者詐欺グループのリーダー、光代は、手足として使っていたはずの仲間に金を持ち逃げされてしまう。さらに、彼女の過去の犯罪をネタに、一千万円を要求する脅迫状が届く。追い詰められた彼女は、普段は考えない強引な方法で事態の打開を図るが、成功したと思われたそのとき、1人の警察官が彼女に声を掛けてくる――。「落としの狩野」と言われた刑事を主人公に、人々の一筋縄ではいかない情念を描く、日本推理作家協会賞受賞作「偽りの春」収録、心を震わすミステリ短編集。

卓越した筆力で選考委員をうならせた、第71回日本推理作家協会賞(短編部門)受賞作!

大沢在昌
悪い奴の、そのまた上をいく悪い奴がいて、それを見抜く目をもつ警察官が登場する。だまされる快感を味わった。

逢坂剛
読む者の予想を次つぎにくつがえし、意表をつく展開に落とし込む筆力は、並のものではない。
(第71回日本推理作家協会賞 選評より)


著者について

●降田 天:(ふるた・てん)プロット担当の萩野瑛(はぎの・えい)と執筆担当の鮎川颯(あゆかわ・そう)による作家ユニット。二人は早稲田大学第一文学部の同級生。少女小説作家として活躍後、「女王はかえらない」で第13回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、同名義でのデビューを果たす。他の著書に『匿名交叉』(文庫化に際して『彼女は戻らない』に改題)がある。「小説 野性時代」掲載の「偽りの春」で第71回推理作家協会賞(短編部門)を受賞。     』

インタビューがあったので一部を引用https://kadobun.jp/feature/interview/172.html
『――『偽りの春 神倉かみくら駅前交番 狩野かのう雷太らいたの推理』が刊行となります。全編にわたって「騙し」が張り巡らされているため、詳しい内容を紹介しづらいんですが、まずは、書きはじめたきっかけを教えてください。
萩野: 最初はぜんぜん別の依頼をいただいていたんです。でも、それがうまくいかなくて。次に警察ものはどうかという話となって一作書いてみたんですけど、それもうまくいかなくてボツにして……。最後に、犯人側から描いてみるのはどうか、と考えて形式が決まりました。
――たしかに各話、犯人側の視点で展開しますね。題名から、交番のおまわりさんが語り手なのかな、と思っていました。
萩野:いずれは乗り越えなくてはならないんですけど、探偵側から書くのは苦手で、こういった形式になりました。それと、池波正太郎さんの「鬼平犯科帳」が好きなんですが、盗賊視点で話が進み、最終的には鬼平が捕まえるという話なんです。それもひとつの下敷きになったのかもしれません。
――「神倉駅前交番」が舞台となっていますが、この神倉にモデルはありますか?
萩野:鎌倉がモデルです。でも、しっかり鎌倉にしちゃうと、現実にあわせなきゃいけない。
鮎川:じっさいに鎌倉へ行ってみたら、交番が東口と西口の両方にあって。
萩野:派出所、駐在所とかもあって、どこまでが事件の担当範囲なのかなど、難しい部分が出てくるんです。
鮎川:最初は交番の話だから、もっとほのぼのとした感じになるんじゃないかと話していたんですけど、全然ほのぼのしなかった(笑)。
警察のことを知らずに書きはじめた
――第一話の「鎖された赤」では、青年による少女監禁の犯罪が語られていきます。その過程がじつにリアルです。
萩野:自分の母方の実家に土蔵があって、その仕組みを観察していたことがあるんです。それと、横溝正史原作の「八つ墓村」だったと思うのですが、映画を小さい頃に見て、座敷牢のようなところに閉じ込められているのがめちゃくちゃ怖かった。和風のものプラス、監禁事件で、しかもあるトラブルが加わると、もっと怖いことになるんじゃないかと考えて、プロットからつくりました。
――完成させる上でいちばん苦労したのはどういうところですか?
萩野:警察のことをぜんぜん知らずにつくりはじめてしまったので、警察の仕事を勉強するのがけっこうたいへんでした。
・・・・』

・・・という訳で、これは読むしかない。お勧めです。
・・・表紙の「神倉駅前交番 狩野雷太の推理」を読んでなかったので、この展開には驚いたのです。最初は犯人に感情移入したのでかなりびっくりでした。

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