読書感想とロードバイク日記2

週末のお天気の日にロードで走っています。晴耕雨読ならぬ、晴れたらバイク、雨の日は読書の日々

「日本蒙昧前史

2022年01月31日 | 日記

磯崎憲一郎(文芸春秋)

ちょっと変わった本だ。一文が長い。句点で話を紡ぐ。独特のリズム感がある。
場合によっては悪文でしょうけど。
取り上げた主人公というかテーマが当時の事実に根ざしてはいるがどこまで本当かは少々あやしい。従って「物語」と言っているかも知れない。
でも面白いのです。

内容紹介は
『大阪万博、三島由紀夫の自決、五つ子ちゃん誕生、ロッキード事件、グリコ・森永事件、密林に二十八年身を潜めていた元日本兵―。もはや忘れ去られてしまった無数の「虚構ではない人生」を通じて、あの「蒙昧」の時代の生々しい空気が浮かびあがる。変幻自在の語りを駆使した芥川賞作家、会心の作。

著者略歴
磯崎/憲一郎
1965年生まれ。2007年、『肝心の子供』で文藝賞を受賞しデビュー。『終の住処』で芥川賞、『赤の他人の瓜二つ』でBunkamuraドゥマゴ文学賞、『往古来今』で泉鏡花文学賞を受賞   』

・・・引用すると「・・・21世紀の今を、蒙昧の時代、あいまいで、先の見通せない時代とみて、そこに続く、前史として戦後昭和の時代を描いた・・・」まさにその通り。
・・・これらの事件はいつ起こったのか。
 1976年 五つ子の父となった記者
 1972年 グアムから帰った元日本兵
 1970年 万博太陽の塔の目玉男  
なのです。つまりは70年代、昭和の後半。
・・・これは面白かった、ので買った、という人もいる。この独特な文が面白いですね。お勧め。😀  

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「人生のレシピ」

2022年01月31日 | 日記

神崎繁(岩波書店)

あくまでも真面目な本だが、最初の「人生のレシピ」でまとめられたエッセイは楽しく分かりやすい。哲学に親しみにくい方々でもとっつきやすいと思います。

しかし、その後のところは、ちょっと読むのに苦労するかも知れない。

内容紹介は『少年はある日、東京大学の卒業式の模様を新聞で読んだ。いわく太った豚よりも痩せたソクラテスであれ。え、ソクラテスって太ってなかった? 長じて哲学の専門家となってもこの問いに答えるのは難しいというが……。あれこれと調べて、繋いだり重ねたりしながら考えていくのが哲学者の流儀。知的ユーモア溢れる人生の処方箋がぼんやりと見えてくる。

■目次
◆人生のレシピ
ソクラテスは太っていたか?/ピタゴラスは豆嫌いのベジタリアン?/昔「隠棲」今「引きこもり」/人間は考える足?/星になった神々/海は「葡萄酒色」/女の領域・男の領域/笑う哲学者と泣く哲学者/プラトン流飲酒教育/古代ギリシャの夢占い/風の教え/一日のなかにも人生の春秋がある/メタボとメタボリック/聴く力/川の流れ、命のリレー/エコロジーとエコノミー/オリンピックと休戦協定/医の神々への誓い/葡萄と山羊と悲劇/かたちと色/市民と合唱/知識と贈与/対話の作法/哲学の役割

◆古代を読み解く
未来の発見者たち
エウリピデス/ヘロドトス/オウィディウス/プラトン/プルタルコス/アリストテレス/エピクテートス/ルクレティウス/ソクラテス
ドラーマとパトス――悲劇と哲学との関わりをめぐって
私の「欄外書き込み(マルギナリア)」から――ホッブズの『メデア』
言葉と表象

◆思考のためのレシピ
「思考」を翻訳することは可能か――?訳語としての「幸福」をめぐって
「探究する学」としての「哲学」の歴史
「日本哲学史」の可能性
きれいなものはどうしてきれいなの――「?天の邪鬼」の勧め
なぜ生きてるんだろう――?ふたつの「なぜ」 答えの前に

解説/三嶋輝夫
初出一覧     』

・・・著者は東北大の先生だったようだが、もう亡くなっているらしい。
講義は面白かったかなぁ~😉 


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「東京の謎」

2022年01月31日 | 日記

門井慶喜(文春新社1328)

面白い本です。
著者が芥川賞作家というのも珍しいと思う。小説じゃあなくて一種のルポ的な趣もあるかな。

内容紹介は
『『家康、江戸を建てる』『東京、はじまる』など、江戸・東京に深い造詣をみせる筆者が、東京の21の地域について過去と現在とを結び、東京の「謎」を解き明かす。回ごとに東京と町を築き上げてきた巨人たちとの交差が描き出されます。

はじめに なぜ東京を「とうきょう」と読んではいけないのか
第一章 ――東京以前--
第一回 なぜ源頼朝は橋のない隅田川を渡ったのか
第二回 なぜ大久保長安は青梅の山を掘ったのか
第三回 なぜ麹町は地図の聖地になったのか
第四回 なぜ浅草は東京の奈良なのか (新書のための書き下ろし)
第五回 なぜ勝海舟はあっさり江戸城を明け渡したのか

第二章 ――東京誕生(明治以後)--
第六回 なぜ銀座は一時ベッドタウンになったか
第七回 なぜ三菱・岩崎彌太郎は巣鴨を買ったのか
第八回 なぜ早矢仕有的は丸善を日本橋にひらいたのか
第九回 なぜヱビスビールは目黒だったのか
第十回 なぜ「東京駅」は大正時代まで反対されたか
第十一回 なぜ野間清治は講談社を音羽に移したのか

第三章 ――関東大震災--
第十二回 なぜ後藤新平は震災復興に失敗したのか
第十三回 なぜ日比谷は一等地の便利屋なのか
第十四回 なぜ新宿に紀伊國屋書店があるのか
第十五回 なぜ五島慶太は別荘地・渋谷に目をつけたのか
第十六回 なぜ堤康次郎は西武池袋線を買ったのか
第十七回 なぜ羽田には空港があるのか

第四章 ――戦後--
第十八回◎なぜトットちゃんには自由が丘がぴったりだったか
第十九回◎なぜ寅さんは葛飾柴又に帰って来たのか
第二十回◎なぜピカチュウは町田で生まれたのか
第二十一回◎なぜ代々木の新国立競技場は案外おとなしいのか

むすび なぜ江戸は首都になったのか    』

・・・知らなかったことが多くて面白い。
・・・人物に重きを置いていて読み物としての面白さもある。おすすめ。😋 
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「こんど生まれたら」

2022年01月25日 | 日記


内館牧子(講談社)

老人向きの小説ですが、中年でも先が見えて面白いかも知れない。
なんだかんだ世の中はお節介で、老人に一定パターン、つまりは趣味を持てとか運動しろとか、老人ホームに入ったらお絵かきや軽作業などを押しつけてはいないか。
これに反旗を翻した傑作?高齢者のお話である。

内容紹介は
『70歳になった佐川夏江は、夫の寝顔を見ながらつぶやいた。
「今度生まれたら、この人とは結婚しない」
夫はエリートサラリーマンだったが、退職後は「蟻んこクラブ」という歩く会で楽しく余生を過ごしている。
2人の息子は独立して、別々の道を歩んでいる。
でも、実は娘がほしかった。
自分の人生を振り返ると、節目々々で下してきた選択は本当にこれでよかったのか。進学は、仕事は、それぞれ別の道があったのではないか。
やり直しのきかない年齢になって、夏江はそれでもやりたいことを始めようとあがく。

2大ベストセラー『終わった人』『すぐ死ぬんだから』の著者が放つ最新「高齢者」小説! 

著者紹介
内館 牧子(ウチダテ マキコ)
1948年秋田市生まれの東京育ち。武蔵野美術大学卒業後、13年半のOL生活を経て、1988年脚本家としてデビュー。1991年ギャラクシー賞、1993年第1回橋田壽賀子賞(「ひらり」)、1995年文化庁芸術作品賞(「てやんでえッ!」)、日本作詩大賞(唄:小林旭/腕に虹だけ)、2001年放送文化基金賞(「私の青空」)、2011年第51回モンテカルロテレビ祭テレビフィルム部門最優秀作品賞およびモナコ赤十字賞(「塀の中の中学校」)など受賞多数。小説家、エッセイストとしても活躍し、2015年刊行の小説『終わった人』は2018年に映画化され、累計40万部の大ヒットを記録。続く『すぐ死ぬんだから』も単行本だけで30万部のベストセラーになっている。2000年より10年間横綱審議委員を務め、2003年4月、大相撲研究のため東北大学大学院 に入学、2006年3月修了。その後も研究を続けている。  』

・・・インタビュー紹介
「――『今度生まれたら』で70歳の主人公を描いたのは、内館さんが70代を迎えられたことがきっかけですか?

そうね。ある雑誌のインタビュー記事に書かれた「内館牧子さん(70)」の(70)にすごくショックを受けたんです。(69)とは全然違うなあと。29歳から30歳になった時と同じような衝撃でした。その時に70歳の主人公を描いてみたいと思ったんですね。

――主人公は70歳ですが、30代の私にも気持ちが重なる部分があってすごく面白かったです。「今の自分の人生を生きる」、エールをもらいました。

70代をターゲットにした本だから、あなたの年齢だと倍以上ですよね。そう言ってもらえてよかった。結構怒る人がいそうなテーマでしょう? 今回描いたのは、何をするにも「時」があるってことだから。女性誌でもなんでも「いくつになってもチャレンジできる」「年齢は関係ない」って言うけど、今から私がボルダリングができるかと言ったら、ねえ?
・・・(中略)
だから『今度生まれたら』で書きたかったのは「時を外すな」ということです。70代の方が、若い頃の夢を叶えられなかったことを虚しく思うばかりでなく、70代という「時」を外さずに、70代の「今」何をやるか。そのことをしっかり考えたいと思いました。 (後略) 」

・・・まあ、楽しんで読めますよ。高齢者におすすめ。😎 
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「誰もが嘘をついている」

2022年01月24日 | 日記
セス・スティーヴンズ=ダヴィッドウイッツ(光文社)


ビッグデータを分析して人々の本音を解き明かしたノンフィクション。
役立つかどうかは保証しませんが、面白い分析です。

内容紹介は
『実際人々はどれほどセックスをしているのか?
アメリカには人種差別主義者がどれほどいるのか?
ビッグデータで証券市場に勝てるのか?
不況時に児童虐待は本当に減っているのか?
本を買った人のうち何パーセントが読み終えるのか?

検索は口ほどに物を言う
人は実名SNSでの投稿や従来のアンケート調査では見栄を張って嘘をつく一方、匿名の検索窓には本当の欲望や悩みを打ち明けている。グーグル、SNS、ポルノサイトの検索データなど、ありとあらゆる「ビッグデータ」が利用可能になり、それを分析する手法が確立された今、通説とはまったく違う人間の本性が明らかになる!

通説や直感に反する事例が満載
  • 黒人への差別表現はグーグルで「頭痛」「経済学者」と同程度検索されている。
  • 失業者は検索サイトで「職業安定所」や「新しい仕事」よりも、ポルノサイトを探している。
  • 男女ともにセックス回数を過剰に自己申告するが、結婚生活最大の悩みは「セックスレス」。
  • インドやバングラデシュの男性が、ポルノサイトでとりわけ多く検索する言葉は「授乳」。
  • ジョークが検索されるのは世間が悲しいムードのときではなく、うまくいっているとき。月曜や曇天・雨天には検索頻度は低く、週末は高くなる。
  • 名門校にギリギリで合格した人とギリギリで落ちた人の人生にはどのような違いがあるか。
  • オンラインのP2P借金サイトでコメントを書かせると、借金を返す人と返さない人は言葉遣いに差がある。踏み倒す人は特定の単語を使う傾向にある
グーグルの元データサイエンティストで、ニューヨーク・タイムズにも寄稿する著者が、グーグルの検索データを分析して米国の隠れた人種差別を暴くのを皮切りに、男女の性的な悩みや願望から、名門校入学の効果、借金を返す人と踏み倒す人の差まで、豊富な事例で人間と社会の真実を明かしていく。

ビッグデータとは何なのか、どこにあるのか、それで何ができるのかをわかりやすく解説する一方、データ分析にまつわる罠、乱用の危険や倫理的問題にも触れる。ビッグデータ分析による社会学を「本当の科学」にする一冊!

★英エコノミスト紙2017年ベストブックオブザイヤー
★米PBSニュースアワー2017年ブックオブザイヤー
★米Amazonベストブックオブザイヤー(2017年ビジネス&リーダーシップ部門)
★ニューヨーク・タイムズ・ベストセラー 

著者について
スタンフォード大学で哲学を専攻し優等で卒業後、ハーバード大学で経済学の博士号を取得。グーグルのデータサイエンティスト、ペンシルバニア大学ウォートン校の客員講師などを経て、現在はニューヨーク・タイムズ寄稿者。グーグルの検索データなどのビッグデータと既存の調査結果を分析して、人種差別やヘイト、鬱病、児童虐待、性的嗜好などさまざまな社会現象の真相を探っている。ニューヨーク在住。  』

・・・こういう研究ができるのがアメリカだねー
・・・少々眉唾気味の印象もあるけど、面白かった。つまみ読みでも楽しい。「セックス」話はひと目を引くし、一時、著者も本書のタイトルに入れようとしたらしいが、学術的なところはなくなるね。ややこしい。😊 



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